2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解

本校は、聴覚に障害のある幼児児童生徒のための特別支援学校で「ことば豊かに 強く 明るく」を校訓としている。聴覚障害のある幼児児童生徒にとってESDを社会とのつながりと捉え、「持続可能な社会づくりのために、自ら考え主体的に社会と関わろうとする幼児児童生徒の育成」を活動理念としてESDに取り組んだ。具体的には、幼稚部、小学部、中学部、高等部それぞれの発達段階や実態に応じて、①環境教育に関わる活動、②伝統文化の継承に関わる活動、③国際教育に関わる活動を行った。

① 環境教育に関わる活動

幼稚部では、季節ごとに校内外の自然に触れ、親しんだ。5月からカタツムリやカブトムシなど、身近な生き物の飼育・観察を行ったり、9月~11月に校内で虫捕りをしたりした。図鑑で名前や特徴などを調べることで、生き物に親しみをもつようになった。また、死んでしまった生き物の墓を作る活動を通して、生命の大切さや尊さに触れることもできた。

校内の畑では、年間を通して季節の野菜を育てた。水やりや間引きをする中で、野菜の生長を感じ、収穫を楽しみにする様子がみられた。収穫した野菜を持ち帰ることで、家庭での食育にもつながり、野菜への苦手意識の軽減、食への興味・関心が広がってきている。

また、小学部や中学部で実践している、ごみの分別方法を参考にして、教室内のごみ箱に分別表を貼った。表に描かれている絵とごみを照らし合わせて、楽しみながら分別する姿がみられるようになった。

中学部では、5月に実施した学校から南栄駅までの通学路清掃を行った。普段利用している通学路に思った以上にごみが落ちており、驚く生徒も多数いた。自分の生活を振り返りながら、環境に配慮していく意識を育てることができた。9月に実施した野外活動では、海岸の清掃活動を行った。その中で、海岸に落ちているごみの量を知り、海の環境が汚染されているという実感や課題をもつことができ、ごみがでる原因を考えるきっかけとなった。活動に前後して、インターネットを利用して海に関する環境問題を調べたり、海に関するクイズ(海の生物、海のプラスチックごみとその対策)にまとめたりすることができた。

高等部では、総合的な探究の時間内において、ESD探究グループが「節電」「ごみの分別」について考えたり、文化祭ではアンケートを取ったり、自分にできる取組を実践した。自分たちも持続可能な社会の担い手であることを意識し、身近な問題についてどうすればいいのか、と考えるきっかけになった。

② 伝統文化の継承に関わる教育

小学部では、クラブ活動や総合的な学習の時間、音楽等において、全ての児童が和太鼓の練習に取り組んだ。地域への発信として、8月24日(水)に、3~6年児童が地域の発表会(豊橋市教育委員会主催「小中学生のための芸能フェスティバル」)で練習の成果を発表した。また文化祭のオープニングセレモニーでは、小学部全児童で「海のおはやし」を演奏した。ESDの取組の成果を十分発揮することができた。

③ 国際教育に関わる活動

小学部では、国際理解活動として、6月に「JICA中部なごや地球ひろば」を見学した。国際協力やJICAの取組などについて学習した。また昼食は、ウガンダの給食を食べた。外国の文化体験を通して、世界の様々な課題を知るとともに、SDGsへの関心を高めることができた。

中学部、高等部において、外部講師を招いた国際理解交流をそれぞれ年1回実施した。アメリカ(中:10月)、パキスタン(高:10月)についての話を聞き、他国の文化へ関心や知識を広げることができた。

高等部では、総合的な探究の時間において、国際理解活動に取り組んだ。興味のある国の文化について調べる学習を行った。国際理解交流の時間にお互いの国の文化や特色などについて紹介し合うことで他国との文化の違いに対する理解を深めることができた。

来年度の活動計画

2023年度も、「持続可能な社会づくりのために、自ら考え主体的に社会と関わろうとする幼児児童生徒の育成」を活動理念として、①環境教育、②伝統文化の継承、③国際教育の三つの分野を柱にした取組を継続していく。

次年度も、野菜の栽培、生き物の飼育など自然との触れ合いを大切にした活動(幼稚部)、和太鼓の練習と地域での発表(小学部)、地域の清掃活動や体験的な活動を取り入れた環境学習(中学部)、姉妹校であるカナダのマニトバ聾学校との交流(高等部)など、年齢や発達段階に合わせた特色ある活動を行っていく予定である。