2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育, 貧困

当校は「真に自立した人間を育てる」を教育目標としている。宮沢賢治の理念を継承しながら、シュタイナー教育を実践している。ESDとシュタイナー教育を、考えを一にしたものと捉え、ESDの実践を通して、自然や人とのつながりの中で主体的に取り組み、対話しながら課題解決していける人間を育てることを目標としている。

 

①小中学部における地域・自然と関わる取り組み

3年生から各クラス畑を持っており、一年を通じて農薬や肥料に頼らない形での野菜作りに取り組んだ。季節ごとに収穫される作物を実際に調理し、食べることで日本の文化、環境と自分との関わりについて感じることを大事にした。3年生は米作りにも取り組み、校内で田おこしを行い、田んぼを作るところから収穫まで取り組んだ。また地域の田んぼで、地域の方々と共に作業に関わるなど、近隣の住民との関わりも農業を通して育んだ。

今年度は1~4年生は保護者と合同で、どんど焼きを実施した。準備の段階から保護者が関わり、教師、保護者、生徒が直接合同で触れ合えるイベントになった。

当校は多摩川沿いに校舎が立地し、特に低学年では散歩をし、体験を通して自然に学び、季節の移り変わりを肌で体感することを大事に考えている。

8年生では「限界体験」と称して、宿泊を伴った自然に出ていく取り組みを毎年行うが、今年度は多摩川の源流から河口まで、130数kmを登山、サイクリング、カヌーといった、自分の力を動力とする手段で5日間かけて辿って行った。毎日目にする多摩川を始まりの一滴から、大きな流れとなり海へ流れ込む所まで自力で辿る体験は、予定通りに進まないことも多く、その都度皆で話し合い、どのように目標に到達するのかという試行錯誤の連続だった。まさに世界と自分が結びつく体験だった。

 

②高等部におけるヨーロッパオイリュトミー公演・美術旅行

12年生(高3)では3年ぶりにヨーロッパに3週間にわたりオイリュトミー(身体を通した表現芸術)公演とドイツ・イタリア各地の美術館を巡り学ぶ旅行を行った。ドイツ各地のシュタイナー学校(ユネスコスクール)での公演は現地の方々との交流も豊富にあり、異文化を鏡に自分達を見つめる機会となり、多くの学びを得た。美術旅行では日本では目にすることのできない絵画や彫刻を数多く鑑賞し、スケッチすることを通して美術史の授業で既に学んでいた内容を追体験しつつ、学びを深めていった。

 

来年度の活動計画

小学部1、2年生:年間を通じ、散歩など多摩川の自然と直接触れ合うことから学ぶ。

小学部3年生:校内の田んぼでの米作り。

小学部4年生:郷土学で多摩川の歴史、人々の暮らしを学ぶ。

小学部5、6年生:人間とのつながりの中で動物学、植物学、鉱物学を学ぶ。

小中学部7、8年生:奥多摩合宿で、カヤックや登山などの活動を通し自然から学ぶ。

高等部9年生:農業実習(宮崎県綾町)

高等部10年生:職業実習、測量実習(長野県南牧村野辺山)及び八ヶ岳登山

高等部11年生:福祉実習、経済地理(エコロジカルフットプリント)、

高等部12年生:美術旅行、自然観察学習(東京都大島町)、民族地理、卒業論文発表、

市議会議員を招待しての授業、学校保護者から様々な職業についてレクチャー、弁護士による18歳成人に関する授業、裁判の傍聴体験