2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本校は、「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成(SDGs-5)」を教育目標と定め、小学校から高等学校まで一貫教育を行っている。特に<1>国際理解・異文化理解・自国文化理解教育(模擬国連活動を含む)、<2>社会貢献活動、<3>平和や人権にかかわる教育、<4>環境教育に力を入れており、これらはユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野(①地球市民および平和と非暴力文化、②持続可能な開発および持続可能なライフスタイル、③異文化学習および文化の多様性と文化遺産の尊重)の理念と合致している。

 

①地球市民および平和と非暴力文化
アンネのバラ委員会や生徒会が主体となり、以下の活動を行ったことで、学校全体で平和について考える機会をもつようになった。(SDGs-16)
2/12:『アンネ・フランクと旅する日記』オンライン試写会(1/27ホロコースト犠牲者を想起する国際デーとの関連)
5/11:ポーランドのナザレス女子校との第3回オンライン交流会
→もともと異文化理解を目的に、オンライン交流を昨年度から実施していた。ロシアのウクライナ侵攻にともない、ウクライナの隣国であるポーランドにも避難民がきており、このナザレス女子校にもウクライナから避難してきた生徒が来ていた。そのため、ウクライナから避難してきた生徒の現状や、ナザレス女子校におけるウクライナ支援の様子、平和についての考えを共有する機会となった。
6/11~6月末:6/12アンネ・フランクの誕生日に合わせて、図書館にて「アンネ・フランク バースデーブックフェア」を実施、アンネ・フランクにかかわる本の展示。NPO法人グローバルプロジェクト推進機構提供のアンネ・フランクに関する展示を校舎入口近くにて実施。全校生徒に向けて、平和や人権について考える機会になった。
6/22~24:ウクライナを応援するひまわりプロジェクトの一環として、生徒会が主体になり募金活動を実施。281,632円集まりユニセフへ寄付。
→10/13に、ユニセフより”2022 We Support UNICEF賞”を受賞。
また、11月にプルデンシャル生命主催「第26回ボランティアスピリットアワード」にて、「ボランティアスピリット賞」「コミュニティ賞」を受賞。
9/15~27:ボランティア部がひまわりプロジェクトの一環で、ウクライナへの応援メッセージを募集。メッセージが記載されたカードを記念祭で展示、カードを撮影し、ポーランドのナザレス校に送った。
10月~:小学生もバラの水やりに参加し、小中高一体となって活動を進めるようにした。
11/5・6:記念祭にて、アンネのバラ委員会が平和に関する展示発表を実施。

また、中学3年生は修学旅行に行く学年であるため、事前事後学習を兼ねて、以下の平和教育を実施し、平和や人権について考える機会となった。
2/14:中3平和学習と公民の授業のコラボ企画として、UNHCRの方を招き、難民についての講演会を実施。世界平和について考える機会となった。(SDGs-10)
9/21:中3 HRにて、映画『GAMA月桃の花』を視聴。(SDGs-16)
10/12:中3道徳にて、NPO法人日本ホロコースト教育資料センター理事長を招き、講演会「ハンナのかばん」を実施。「ハンナのかばん」は、13歳でホロコーストの犠牲となったユダヤ人少女ハンナ・ブレイディの遺品をめぐる物語。これにあわせて、図書館では「ハンナのかばん」コーナーを設置し、ホロコースト関連の図書の展示や、アンネのバラ委員会が作成した「ハンナのかばん」についてのレポートを展示し、全校生徒に平和や人権を考える機会になった。(SDGs-16)

そのほか、校内にて実施した取り組みを以下に挙げる。
2022/4~:中2道徳の時間にて GCP(グローバルコンピテンス)学習を実施。英語を用いて、地球市民の一員として多様性や異文化を理解し、世界に貢献できるグローバルマインドの育成を目標としている。(SDGs-5・17)
9/21・28:講堂朝礼にて校長から9/21国際平和デーについて紹介、生徒が平和について考える機会となった。(SDGs-16)
10/24~28:「赤い羽根共同募金」の呼びかけ(小)
小3~6の児童委員(クラス代表)が「赤い羽根共同募金」を校内で呼びかけ、多くの児童が趣旨に参加し募金をすることで、社会貢献について考える機会になった。(SDGs-3・17)

      

 

②持続可能な開発および持続可能なライフスタイル
ボランティア部を中心に実施したほか、学年行事としても実施。
2/16:中1総合的な学習「校内でできるボランティア活動」
古本を回収し、「本で寄付するチャリボン」企画を通じて日本ユニセフ協会に本の売上を寄付。また、古着を回収し、渋谷区ひがし健康プラザに寄付し、国内外にリユースした。これらを通じて、SDGs-12の「つくる責任/つかう責任」を中心に、持続可能なライフスタイルについて考える機会になった。(SDGs-1・3・10・12)
6/20・22・24:ボランティア部・模擬国連委員会による「東南アジア・フィリピンの子どもたちへのプレゼント企画」を実施。2021年度の模擬国連大会で児童労働について議論し、貧しい地域に暮らす子どもたちの現実を知った。この現状をなんとかしたいと考え、NGO「HOPE ハロハロオアシス」と連携し、段ボール5箱分の文房具を寄付。SDGs-1の「貧困をなくそう」、SDGs-4「質の高い教育をみんなに」を中心に、持続可能な開発や教育について考える機会になった。(SDGs-1・3・4・10・12・7)
9/20~22:ボランティア部が使い捨てコンタクトケースを校内全体で回収。アイシティecoプロジェクトの一環として実施し、リサイクルを通じて社会貢献に寄与。これらを通じて、SDGs-12の「つくる責任/つかう責任」を中心に、持続可能なライフスタイルについて考える機会になった。(SDGs-12)

そのほかの取り組みを、以下に挙げる。
3/7:東京都交通局主催の公共交通等絵画コンクール(誰もが楽しく、気持ちよく公共交通を利用するためのマナーがテーマ)にて、小3作品「順番を守って乗車しよう」が最優秀賞に。小4作品「マスクでもやさしいえがおつたわるよ」、小6作品「ほんの少しの思いやり」が優秀賞に。共生社会を考える機会になった。(SDGs-11・17)
8/15~17:始激プロジェクト―アントレプレナーシップキャンプ IN TOKYO―
アメリカで開発された起業手法を実践的に学び、起業家や企業人から刺激を受け、社会の実情を知り、自分のアイデアを磨いた。富士見中学校高等学校の生徒とともに、神田を現地調査し、若者が集まる街にするためのプレゼンを実施。持続可能なまちづくりについて考察することができた。(SDGs-11)
9/10:高一F・高二F国際学級による校内模擬国連。SDGs-7(開発途上国のための再生可能エネルギー技術)をテーマに、各国の現状や政策について議論し、決議案を作成。エネルギーや環境問題について、考え合う機会になった。
10/12~:高一HRにて、4月から取り組んできた探究活動のプレゼン発表。各自の興味あるテーマに基づいて、世のなかの課題を知り、研究機関や博物館等に調査し得られた知見をもとに、社会問題の解決を考える活動になった。(SDGs-17)
11/17:世界銀行副総裁西尾昭彦氏の講演会。世界銀行の仕事に関する内容のほか、国際協力を学ぶ機会になった。(SDGs-1・8・17)

      

③異文化学習および文化の多様性と文化遺産の尊重
①で取り上げたポーランドナザレス校とのオンライン交流のほかに取り組んだことを、以下に挙げる。

7/18・20~23:高一F国際学級にて、BLAST代替企画の”Designing Your Global Mindset”を実施。新たな時代を切りひらく女性の育成を目標に、効果的な英語プレゼンテーション手法や進路、自身のアイデンティティ、SDGs、リーダーシップについてディスカッションした。(SDGs-5)
7/20・21・22:Fujiイングリッシュキャンプ(小)
小5 49名が参加し、アメリカ・トルコ・イギリスなど様々な国のネイティブティーチャーと一緒に、海外の店舗で用いる英会話を練習・実践し、英語での生活を楽しみながら過ごした。(SDGs-17)
7/25~7/27:Summer English Challenge@八王子セミナーハウス
英語のスピーキング力・リスニング力を強化する英語漬け研修。スピーキング、リスニングを通じて、異文化理解やSDGsについて学び、ディスカッションやプレゼンを実施。(SDGs-17)
8/10~:すずかけ「着付け・日本舞踊」(小)
6年生になった際に一人で着物を着られるように、着付けを学年の発達段階に応じて系統立てて学んだ。各学年で日本舞踊を習い、生活様式や当時のくらし、価値観などを学べた。(SDGs-17)
8/11~21:中3国際タスマニア研修
姉妹校のファーン校にホストシスターと通い現地の学校生活を体験するほか、シドニー観光ではオペラハウスや美術館で生き生きと働いている女性に接することで、将来の行き方や社会貢献について考える機会。(SDGs-5・8・17)
8/22・29:タスマニアweb交流(小)
タスマニアのファ―ン校とWeb交流を実施。茶道、華道、日舞、制服、給食、文房具、自動販売機、10代の流行をテーマに発表。ファーン校からも同様の発表があり、互いの国の文化を知ることができた。(SDGs-17)
9月~:すずかけ「筝曲」「茶道」「華道」(小)
歴史的な背景とともに、日本の伝統文化の心構えと基本的な内容を体得した。発達段階に応じたプログラムに沿って、高学年になるにつれ高いレベルでの理解につなげるようにしている(SDGs-17)

      

来年度の活動計画

小学校では、コロナ禍で交流が中断されていた海外姉妹校への研修旅行を再開させ「つばさ」学習にさらに力を入れるほか、これまで実践してきた「すずかけ」(日本の伝統文化を学ぶ学習)をより深めていく。

中学校・高等学校では、高一・高二の総合的な探究にて持続可能な開発・ライフスタイルや、文化の多様性について、生徒自らがテーマを定め、研究機関や博物館に赴き調査を行い、プレゼンや論文としてまとめていく。2月には姉妹校のクエンチャン校(マレーシア)とのオンライン交流のほか、3月には中3~高二を対象にベトナムでのグローカルリーダーシップ研修を予定している。また、コロナ禍で交流が中断されていた海外姉妹校への研修旅行も夏以降から再開する予定である。これらに加えて、これまで継続して実践してきた平和学習(アンネのバラ委員会による「アンネのバラ」の栽培や接ぎ木の会、修学旅行の事前学習)や環境学習(ビオトープ委員会による生き物飼育や葉っぱのしおりづくり、栽培した農作物の加工。また、ホタルを飼育して近隣住民と交流を図ることも予定している)、ボランティア活動(ボランティア部による国内外への寄付活動)を進めていく予定である。また、学校全体でSDGs、とりわけエネルギーや持続可能な生産・消費に関心をもってもらうために、校舎の各階のモニターに現在の校内の電力消費量を示すモニターを設置した。今後は、ソーラーパネル設置も視野に入れ、校内で消費する電力からエネルギー問題について考察させる学習活動を実践していく予定である(SDGs-7・11・12)。以上の観点から、グローバル・シチズンシップ教育(GCED)を進めていく予定である。
      

現在、東京女学館ではユネスコスクールの正式加盟に向けて、小中高で一体になって取り組んでいる。他のユネスコスクールやASPUnivNet大学と連携・交流を行い、グローバルな視野の育成、課題を発見し解決する力の育成をさらに展開していく。