2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和

A)国際交流・平和の取り組み・文化の継承など
1)4か国姉妹校交流会
本交流会は、本校が提携する中国、ニュージーランド、オーストラリアの姉妹校の代表の生徒と教員を一度に集合させ、2週間の交流を行うものです。1997年に第1回を開催して以来、定期的に実施してきた。英語を学ぶための研修とは違い、毎回テーマが決められており、そのテーマに基づいて各国の生徒たちが事前学習に臨み、当日はプレゼンテーションやディスカッションをすることがこの交流会の特徴です。今年度はコロナ後初の開催となり、オーストラリア姉妹校を会場に「多文化共生社会の実現」をテーマに開催されました。(中国はコロナウイルスの広がりにより不参加。尚、コロナウイルスの影響で1週間に短縮して開催。)

2)オンライン交流・Global Café・日本語学校との交流
コロナウイルスの影響で海外渡航が難しい中、国際理解教育の推進のため上記3つの交流を定期的に開催。オンラインの交流では、台湾、韓国、スリランカ、シンガポールの高校生と行った。また、名古屋の大学に留学に来ている学生たちとの交流をGlobal Caféと名付けて実施。国籍はブータン、ベトナム、フィリピン、スリランカ、インドネシアで、on-line交流を含めて欧米英語圏ではない国との交流を積極的に推進した。また、名古屋にある日本語学校との交流も行い、一度に約10か国の学生を招き、この交流会だけで、多文化共生社会を体感することができた。

3)平和への取り組み
①名古屋空襲慰霊の日条例制定運動
本校は、戦後50年の年を節目とし、毎年学園での慰霊の式典を行っている。2014年、名古屋空襲70年忌にあたり、当時の生徒会が名古屋空襲慰霊の日を条例として定めることを名古屋市に請願する取り組みを開始。14年に名古屋市に要望書、18年に請願書を提出したが、改めて今年度請願を提出し、名古屋市長が直接受け取った。近い将来名古屋空襲慰霊の日が制定される見通しである。
②ロシア・ウクライナ問題の学習会を開催
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、世界の人々の暮らしに影響があり、今後の世界はどう変化していくのかという点について、名古屋外国語大学より講師をお招きし教員生徒で学習会を開催した。

4)葵プロジェクト
本校では2016年から開始している葵プロジェクトは今年6年目に入った。京都の葵祭で必要となるフタバアオイを株分けし学校で育て数を増やしてお戻しする取り組みから、1300年の歴史を持つ葵祭を持続可能なものにする取り組み。2020年の春には本校で育てたアオイを京都に戻し葵祭で使っていただくことを考えたが、コロナウイルスの影響で今年度まで実現できていない。2023年春にはお戻しできるよう関係する生徒とともに準備を進めた。

B)普通科国際探究コースのとりくみ
1)世界遺産学習
温暖化の問題に影響を受ける自然遺産や、戦争に巻き込まれている文化遺産など、世界遺産は世界規模で進んでいる課題に直面しているものがたくさんある。世界遺産学習では、世界遺産を切り口として、世界規模で進んでいる問題について知ることを目標としている。1学期には、①ユネスコを知る。②世界遺産委員会や、登録基準を知る。③日本の世界遺産を知る。以上の内容に取り組んだ。
2学期には世界にある世界遺産の中から1件を選び、その価値や歴史的背景などを調べたうえで、現代を象徴するどのような問題に直面しているのかという視点を含めたプレゼンテーションを行い、外部のコンテストに応募した。3学期には、身の回りにある大切なものの中で、将来世界遺産として残してもいいと考えるものを世界遺産登録基準に合わせて提案することとしている。尚、世界遺産検定の受験もしている。

2)「捕鯨」問題を考える
2年生国際探究コースでは、様々な世界課題を広い視野から見つめなおし、多角的に事柄を見つめることを目標としている。今年度は、「捕鯨」をテーマとして日本の立場だけでなく、諸外国の立場に立って考えることでより客観的な見方を育てられるように取り組んだ。
The Coveという映画を鑑賞し、感想の共有と捕鯨の問題点を整理し、夏休みには和歌山県の太地町を訪問し、フィールドワークを行った。海の豊かさを守る観点から設定したテーマであったが、鯨をとってもいいのか、いけないのかという単純な話ではなく、経済や移民、文化や宗教の分野にも絡んできて非常に複雑な問題であることが分かった。2学期以降は、捕鯨に関する各国の立場を学び、ポスタープレゼンテーションとまとめを行ってきた。

3)総合的な探究の時間
SDGsを軸として1年生はグループ、2年生は個人で研究テーマを設定し、レポートを作成する。レポート作成の過程でわからないことや疑問点などを整理し、フィールドワークを実施した。その分野の専門家や団体などを訪れ、質問をして疑問を解消し、新しい情報を得ることを通して考えを深め、レポートの作成を進めることができた。生徒たちのテーマは様々で、環境、貧困、教育、海洋プラスチックごみ、街づくり、児童労働、食品ロス、多文化共生、性の多様性、宗教などを扱っている。各学年とも年度末には、研究発表会を行い、教員、保護者、フィールドワーク先の方に聞いていただく場を設定している。そして3年次では、1、2年生で取り組んだ研究課題をもう一度整理しなおして、卒業論文にする形で3年間のまとめとした。

来年度の活動計画

世界遺産学習については、学内での学習に終わることなく、他校との交流など積極的に行い、外へ発信することを目標にする。広い視野から世界の諸課題を考える取り組みとして、今年度も引き続き捕鯨問題に取り組んだので、引き続き内容をブラッシュアップさせながら、新しい学年においても継続させます。葵プロジェクトは2023年の春には京都にお返しする取り組みを行い、新しい株を育て始める。これと同時に日本古来の伝統や芸術に目を向けさせる。
国際交流活動については、海外渡航が日本国内外を問わずコロナ前に戻っていくだろうと想定し、海外高校生の積極的な受け入れ、また本校生徒の派遣も元に戻す。コロナウイルスの影響で新しく始めた交流活動として、on-line交流や、global café、日本語学校との交流などについても、テーマ性のある交流へと発展させていく。