2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権, 持続可能な生産と消費

本校は「燦として輝き、熱誠こめて社会の力となる人材の育成」という学校教育目標のもと、ESDを「他者とのつながりの中で磨く、総合的な人間力」を生徒が身に付けるために有効な機会と捉え、ESDの実践を通して全校を挙げて地域課題・学校課題解決に取り組むことにより、課題に積極果敢に挑戦し、未来を切り拓き、社会を支える若い世代を育成することを目標とした。
具体的には、少子高齢化・人口減少・過疎化という地域課題と向き合う志の育成、自己肯定感・他者肯定感・地域肯定感の醸成に向けて、①地域活性化に係わる活動、②高齢者福祉に係わる教育、③ふるさとへの誇りと愛着を育むことに係わる学習、④国際理解に係わる学習を行った。

 

 

①  地域活性化に係わる活動

地域創生科ビジネスコースの生徒が中学生とアントレプレナーシップに関する交流授業を行い、接客7大用語や、会釈や敬礼、謝罪時の最敬礼などについて説明した。

また、東京オリンピックを記念した「2020縞」を伝統工芸品の機織機で織る企画を立て、東京オリンピックまでに2020人による機織りを実施することを計画している。

昨今頻発している災害に対して高校生にできることが何かないかという発想から、普段はベンチとして使用し災害時にはロケットストーブとして使用できる「ベンチストーブ」を開発し、今後、地域の防災センターに展示する予定である。

②  高齢者福祉に係わる教育

地域創生科福祉コースでは、地域の高齢者施設の見学(1年生)や施設実習(2・3年)を通して、授業で習った福祉の知識が現場でどのように活かされているかを実践的に学んだ。12月に施設実習発表会を開き、2・3年生がお世話になった施設職員の方や教員、後輩の前で、実習の体験と学びについて発表した。

③  ふるさとへの誇りと愛着を育むことに係わる学習

1年生は「総合的な探究の時間」において、2・3年生は学校設定科目「地域創生Ⅰ・Ⅱ」「フィールドワークⅠ・Ⅱ」の授業において、「島がすき、学校がすき、そこで生きてる人がすき」をキャッチフレーズにした「島・学・人プロジェクト」を展開している。「島・学・人プロジェクト」における活動は以下のとおりである。

ア 地域で毎月第4日曜日に行われている「安下庄海の市」への参加

・学習成果を披露するパネルの展示

・各出店での地域活性型インターンシップ

・「子ども夢ひろば」の企画・運営

イ 「すおうおおしまキレイな海岸」フォトコンテストの実施

・周防大島の美しい海岸風景を生徒がスマートフォンで撮影して投稿し、全校生徒による投票で順位を決定して表彰

ウ ふれあいみかん収穫作業

・昭和57年から続く伝統行事。島内の農家の御協力のもと実施。

エ 政策アイデアコンテストへの参加

授業「フィールドワークⅡ」で政策アイデアコースを選択した生徒がチームを作り、周防大島の地域課題にスポットを当て解決策を提言する。「内閣府主催『地方創生☆政策アイデアコンテスト2019』」(協賛企業賞〈JTB賞〉受賞)、「和歌山県主催『第3回和歌山データ利活用コンペティション』」等で発表を行った。年々生徒のプレゼンテーション能力の向上が見られる。

オ アロハフラ・島高の活動

授業「フィールドワークⅡ」で周防大島町の文化である「フラ」について学んだ生徒らの自発的な活動から誕生した本校生徒によるフラチーム。本年度より「地域を元気にする活動」として生徒会活動に位置付けられ、地域行事に積極的に参加して地域を盛り上げている。本年度、地域からの大きなご支援を背景に、初の「フラガールズ甲子園」出場を果たした。

④  国際理解に係わる学習

世界の難民の子ども達に服を届ける古着回収活動「“届けよう、服のチカ”プロジェクト」に参加している。1年生全員で世界の難民の現状に関する講演を聞いて難民についての理解を深めたうえで「ボランティア・ユネスコスクール委員会」と一体となってチラシを作成したり、回収ボックスを近隣の学校や中学校に設置して回収に御協力いただいたりと回収を地域に呼びかけ、本年度は770着の古着を集めて送ることができた。

来年度の活動計画

  本校がユネスコスクールに加盟して6年が経過し、一つひとつの活動は今や本校の教育活動の中に溶け込み、本校の特色を生み出している。

 一方で教員、生徒が、「何のためにこの活動をしているのか」を理解したうえで活動に取り組めているかを検証することが必要な時期に差し掛かっている。管理職、校務分掌(中高一貫教育・地域連携部)、各学年、専門委員会等で連携を取り合い、取組の意味を確認しながら組織的に取組を展開していきたい。

 例えば、地域の現状・課題と向き合い分析し、解決策となる「政策アイデア」を提言する取組は、生徒の、未来を切り拓こうとする志を高めるのに良い取組であり、引き続き取り組んでいきたい。

 これら本校の取組をとおして生徒の総合的な人間力の向上に引き続き力を注ぎたい。