2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, 持続可能な生産と消費

 本校は、「1.他者に奉仕できる人間になる」、「2.知的で品格のある人間になる」、「3.自由と規律を重んじる人間になる」、「4.世の中に流されない凜とした人間になる」、「5.平和をつくり出し、発信する人間になる」を教育目標としている。ESDを世界平和実現のための重要な柱と捉え、ESDの実践を通して、広い視野で考え主体的に生きる力の育成を目標とした。

具体的には、キリスト教教育、平和学習、国際交流を柱に、①土曜集会プログラム、②長崎・沖縄への修学旅行、③ARE学習、④平和提言集刊行、⑤海外(主に姉妹校)への留学生派遣・受け入れプログラム、⑥生徒による国際交流グループ(SMIS)の活動を行った。

① 土曜集会プログラム

対象:中学校・高等学校全生徒

実施回数:月に1回(年に10回)

主な内容:

<中学校>

・「諸宗教に学ぶ」中1:カトリック麹町教会・イグナチオ教会訪問 中2:イスラム教モスク・東京ジャーミー訪問 中3:仏教(臨済宗)龍源寺 座禅

・精神対話士杉山晴美氏による講演

・フォトジャーナリスト 大石芳野氏による講演

<高等学校>

・「映画鑑賞」高1:「わたしはマララ」 高2:「ヒトラーへの285枚の葉書」 高3:「みかんの丘」

・東京外国語大学教授伊勢崎賢治氏による講演

・日本庭園・ランドスケープデザイナー桝井淳介氏による講演

② 長崎・沖縄への修学旅行

・長崎修学旅行

対象:中学3年生全員

期間:5月中旬 3泊4日

内容:平和公園、浦上天主堂、被ばく鳥居、原爆資料館などを訪ねながら、実際に原爆の恐怖を体験した「長崎証言の会」の方をお招きし、原爆が投下された当時の長崎の様子について話を伺った。

・沖縄修学旅行

対象:高校2年生全員

期間:11月中旬 3泊4日

内容:真珠湾攻撃によって始まった太平洋戦争時に、日本の国土で唯一地上戦となり、多くの一般市民が犠牲となった沖縄の戦争跡を見学した。平和祈念公園、ひめゆり平和祈念資料館、糸数壕、チビチリガマなどを訪れ、沖縄戦の悲惨さを学んだ。

③ ARE(ASK・RESEARCH・EXPRESS)学習

自らの問いを調べてまとめることにより自学自習能力を養うことを目的としている。中学1年生は、地域の課題について調査、分析した結果をレポートにまとめ、パワーポイントを使って発表した。中学2年生は、長崎修学旅行の準備学習として、原子力爆弾についての調べ学習を行った。中学3年生は、「平和と人権」をテーマに、2年時に引き続き、原爆や戦争を生み出す社会について学習したほか、ハンセン病患者を隔離した歴史についても学び、一人一人が個人として尊重される社会のあり方について考えた。

④ 平和提言集刊行

「戦いのない時代にするために」という題のもと具体的な提言を募集し、10名の生徒から応募があった。この10編から5編を選考し、平和提言集の第7集として刊行した。

⑤ 海外(主に姉妹校)への留学生派遣・受け入れプログラム

・派遣プログラム(1)

派遣先:St. Stephen’s Episcopal School(アメリカ・テキサス州) ※姉妹校

対象:高校1年生1名

期間:9月~次年度5月

内容:寮で生活しながら、現地生徒と同様に学校生活を送った。帰国後は、礼拝の時間や文化祭等の機会を捉えて経験を分かち合った。

・派遣プログラム(2)

派遣先:St Margaret’s College(ニュージーランド・クライストチャーチ)
 ※姉妹校

対象:高校1年生1名

期間:1月~次年度9月

内容:現地生徒宅にホームステイをしながら、現地生徒と同様に学校生活を送った。帰国後は、礼拝の時間や文化祭等の機会を捉えて経験を分かち合った。

・派遣プログラム(3)

派遣先:Queen Margaret College(ニュージーランド・ウェリントン)※姉妹校

対象:高校1年生1名

期間:1月~次年度9月

内容:寮で生活しながら、現地生徒と同様に学校生活を送った。帰国後は、礼拝の時間や文化祭等の機会を捉えて経験を分かち合った。

・派遣プログラム(4)

派遣先:Queen Margaret College(ニュージーランド・ウェリントン)※姉妹校

対象:高校1・2年生 計8名

期間:7月下旬から8月上旬 約2週間

内容:現地生徒宅にホームステイをしながら、実際に行われている授業を体験したほか、アボリジニの文化にも触れた。

・派遣プログラム(5)

派遣先:University ofCalifornia Davis (アメリカ・カリフォルニア州)

対象:高校1年生17名、高校2年生3名

期間:8月上旬 約10日間

内容:カリフォルニア大学デービス校の研究員から、生命科学や環境科学の講義を受け、最先端の研究がどのように社会を変えていくのかを学んだ。

・受け入れプログラム(1)

派遣元:St. Margaret’s School(アメリカ・ヴァージニア州)※姉妹校

人数:生徒2名

期間:6月中旬 約2週間

内容:留学生は本校生徒宅にホームステイをして、学校生活や休日を共に過ごした。中高の授業に参加したほか、付属の小学校を訪問したり放課後に交流会を実施したりした。

・受け入れプログラム(2)

派遣元:Trinity University ofAsia High School(フィリピン・ケソン市)
 ※姉妹校

人数:生徒2名、教員1名

期間:10月下旬 約10日間

内容:留学生は、本校生徒宅にホームステイをして、学校生活や休日を共に過ごした。英語の授業や文化祭に参加したほか、放課後には交流会を実施した。

・受け入れプログラム(3)

派遣元:St. Stephen’s Episcopal School(アメリカ・テキサス州)※姉妹校

人数:生徒1名 

期間:9月~次年度6月 

内容:本校生徒宅にホームステイをして、学校生活や休日を共に過ごした。

・第6回高校生カンボジアスタディツアー(日本ユネスコ協会連盟主催)

 高校2年生1名が選出され、7月30日~8月6日に実施された同ツアーに参加した。帰国後は、礼拝の時間にツアーでの学びを全校生徒の前でプレゼンテーションとして報告したほか、文化祭でも現地での経験を模造紙にまとめ発表した。

⑥ 生徒による国際交流グループ(SMIS)の活動

SMIS(St. Margaret’sInternational Society)では、主に下記の活動に取り組んだ。

・模擬国連活動

年間を通じて模擬国連演習を行ったほか、第3回全国高校教育模擬国連大会や他校主催の模擬国連会議といった外部大会にも参加し、世界の諸問題を解決するための意識・態度・能力を身に付けるよう努めた。

・SDGsについての学習活動

「子どもたちに〇〇を」の空欄に入る文言をSDGsの目標の1つと関連付けてグループ発表を行い、世界の諸問題について理解を深め、自分たちにできることは何かを考えた。

・「届けよう、服のチカラ」プロジェクトへの参加

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とユニクロ・ジーユーを展開している(株)ファーストリテイリングが共同で実施している同プロジェクトに前年度に引き続き参加した。出張授業で難民問題について理解を深めたのち、文化祭で着なくなった子ども服を回収し、ファーストリテイリングを通じて難民の子どもたちに届けた。

・書き損じハガキの回収

 昨年度に引き続き、年賀状の書き損じの提供を全校生徒に呼びかけ、年明けに回収し、ユネスコ協会に届けた。

・「SMIS新聞」の作成

 本校に派遣されてきた留学生へのインタビュー記事などを壁新聞に掲載し、全校生徒に国際プログラムへの興味を喚起した。

来年度の活動計画

 キリスト教を基盤とする学校として、土曜集会や礼拝を通して、平和を愛する心を育み、平和をつくり出し発信できる者へと成長するための活動を継続させていく。また海外の姉妹校(アメリカ2校、ニュージーランド2校、フィリピン1校)ともさらに交流を深め、広く世界に目を向け、世界的な視野に立って諸問題の解決にあたる意識・態度・能力を育むことを今後も目指す。具体的には、模擬国連活動を活発化させたり、ARE学習をさらに充実させたりすることで、自分の力で課題を発見しそれを解決する力を養う様々なプログラムを実施していきたいと考えている。