2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, 貧困

本校は「1. 他者に奉仕できる人間になる」「2. 知的で品格のある人間になる」「3. 自由と規律を重んじる人間になる」「4. 世の中に流されない凜とした人間になる」「5. 平和をつくり出し、発信する人間になる」を教育目標としている。特に、ユネスコスクールが重点的に取り組む下記の3つの分野を通して、広い視野で考え主体的に生きる力の育成を目標とした。
具体的には「地球市民および平和と非暴力の文化」の構築を目指し、①土曜集会プログラム、②長崎・沖縄への修学旅行、③ARE学習、④平和提言集の刊行を行った。また「持続可能な開発および持続可能なライフスタイル」の定着を目指し、⑤海外(主に姉妹校)への長期留学生派遣・受け入れプログラムを実施したほか、⑥生徒による国際交流グループ(SMIS)の活動を活性化させた。また「異文化学習および文化の多様性と文化遺産の尊重」を目指し、⑦オンラインでの国際教育・国際交流プログラムを実施した。
例年実施している「海外(主に姉妹校)への短期留学生派遣プログラム」は、新型コロナウィルス感染症の影響により実施を取り止めた。
①土曜集会プログラム
対象:中学校・高等学校全生徒
実施回数:月に1回
主な内容:
・『こども六法』著者・教育研究者 山崎聡一郎による講演
・立教大学社会学部教授・NPO法人「難民を助ける会」会長 長有紀枝氏による講演
・「諸宗教に学ぶ」中1:聖路加国際病院チャペル訪問 中2:イスラム教モスク・東京ジャーミー訪問 中3:仏教座禅体験
・東京大学大学院数理科学研究科准教授 佐々田槙子氏による講演
②長崎・沖縄への修学旅行
・長崎修学旅行
対象:中学3年生全員
期間:5月中旬 2泊3日
内容:平和公園、浦上天主堂、被ばく鳥居、原爆資料館などを訪ねながら、実際に原爆の恐怖を体験した「長崎証言の会」の方をお招きし、原爆が投下された当時の長崎の様子について話を伺った。
・沖縄修学旅行
対象:高校2年生全員
期間:11月中旬 2泊3日
内容:真珠湾攻撃によって始まった太平洋戦争時に、日本の国土で唯一地上戦となり、多くの一般市民が犠牲となった沖縄の戦争跡を見学した。平和祈念公園、ひめゆり平和祈念資料館、糸数壕、チビチリガマなどを訪れ、沖縄戦の悲惨さを学んだ。
③ARE(ASK・RESEARCH・EXPRESS)学習
自らの問いを調べてまとめることにより自学自習能力を養うことを目的としている。中学1年生は、地域の課題について調査、分析した結果をレポートにまとめ、パワーポイントを使って発表した。中学2年生は、長崎修学旅行の準備学習として、原子力爆弾についての調べ学習を行った。中学3年生は、「平和と人権」をテーマに、2年時に引き続き、原爆や戦争を生み出す社会について学習したほか、ハンセン病患者を隔離した歴史についても学び、一人一人が個人として尊重される社会のあり方について考えた。
④平和提言集刊行
「平和な世界を実現するために」という題のもと具体的な提言を募集し、12名の生徒から応募があった。この12編から4編を選考し、平和提言集として刊行した。
⑤海外(主に姉妹校)への長期留学生派遣・受け入れプログラム
・長期派遣プログラム
派遣先:St. Stephen’s Episcopal School(アメリカ・テキサス州) ※姉妹校
対象:高校1年生1名
期間:9月~次年度5月
内容:寮で生活しながら、現地生徒と同様に学校生活を送った。帰国後は、礼拝の時間や文化祭等の機会を捉えて経験を分かち合った。
・受け入れプログラム(1)
派遣元:St. Stephen’s Episcopal School(アメリカ・テキサス州)※姉妹校
人数:生徒1名
期間:9月~11月
内容:本校生徒宅にホームステイをして、学校生活や休日を共に過ごした。

・受け入れプログラム(2)
派遣元:Trinity University of Asia High School(フィリピン・ケソン市)※姉妹校
人数:生徒2名、教員1名
期間:10月下旬 約10日間
内容:留学生は、本校生徒宅にホームステイをして、学校生活や休日を共に過ごした。英語の授業や文化祭に参加したほか、放課後には交流会を実施した。
⑥生徒による国際交流グループ(SMIS/St. Margaret’s International Society)の活動
・模擬国連活動の取り組み
年間を通じて模擬国連演習を行ったほか、第6回全国高校教育模擬国連大会などの外部大会に参加し、世界の諸問題を解決するための意識・態度・能力を身に付けるよう努めた。
・「高校生カンボジアオンラインスタディツアー」への参加
動画の視聴を中心とする事前学習を経て、ユネスコのカンボジア事務所長の方や現地寺子屋の学習者とオンライン会議システムを介してリアルタイムでつながり、質疑応答や意見交換を通して、カンボジアが抱える教育面での諸問題について学びを深めた。
・「寺子屋リーフレット制作プロジェクト」への参加および書き損じハガキの回収
「ユネスコ世界寺子屋運動」について事前に学習し、寺子屋の設立や運営に役立ててもらうための書き損じハガキの回収活動に使用するリーフレットを制作した。1月には書き損じた年賀状ハガキの提供を全校生徒に呼びかけ、回収したハガキをユネスコ協会に届ける予定である。
・「届けよう、服のチカラ」プロジェクトへの参加
難民問題に関する事前学習を経て、着なくなった子ども服の提供を全校生徒に呼びかけ、ファーストリテイリングを通じて回収した古着を世界中の難民の方々に送った。
⑦オンラインでの国際教育・国際交流プログラムの実施
・オンラインエンパワーメントプログラム
世界の諸問題について外国人留学生とディスカッションを重ねることにより、同じ出来事に対する様々な見方や、自分や世界に対する違った見方があることを学んだほか、アメリカトップ大学のキャンパスツアーや講義体験、アメリカで活躍する日本人によるレクチャーを通して、世界に目を向け、視野を広げる機会を得た。
・オンラインによる海外姉妹校との交流
オンライン会議システムを介してニュージーランドの姉妹校とリアルタイムでつながり、同世代の高校生と情報や意見を交換し、異文化理解を深めた。

来年度の活動計画

キリスト教を基盤とする学校として、土曜集会や礼拝を通して、平和を愛する心を育み、平和をつくり出し発信できる者へと成長するための活動を継続させていく。また海外の姉妹校(アメリカ2校、ニュージーランド2校、フィリピン1校)ともさらに交流を深め、広く世界に目を向け、世界的な視野に立って諸問題の解決にあたる意識・態度・能力を育むことを今後も目指す。具体的には、模擬国連活動を活発化させたり、ARE学習をさらに充実させたりすることで、自分の力で課題を発見しそれを解決する力を養う様々なプログラムを実施していきたいと考えている。