2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費

本校は、静岡県内唯一の都市型総合学科高校、静岡市駿河区唯一の公立高校、特別支援学校の分校(高等部)を併置している学校といった特色を持ち、2013年4月の開校以来、「適切な判断力を持ち、個性を確立すると共に、他者と協働し主体的に社会に貢献する人を育てる」を教育目標に掲げ、校務文章の「総合学科企画課」が中心となって推進し、総合学科高校ならではの多様な選択科目や諸活動を通して、全ての生徒・職員がESD(持続可能な開発のための教育)を意識した取り組みに臨んでいる。

2019年度は、「キャリア探究 with SDGs支援プログラム」を策定して、①共生・共育プロジェクト、②地域課題・国際問題の解決方法提案プロジェクト、③地域活性化・国際貢献アクションプロジェクト、④進路目標実現プロジェクトなどの一層の充実に取り組み、第10ESD大賞スタートアップ賞を受賞した。

国連が定める記念日については、総合学科企画課が朝の職員打ち合わせで紹介し、クラス担任が朝のSHRで生徒に伝え、生物多様性・気候変動・人権・フェアトレードやエシカル消費・エネルギーといった地球規模の問題について、全校職員・生徒の問題意識を喚起するよう努めているところである。

 

① 共生・共育プロジェクトに係わる活動

併置している特別支援学校分校に在籍する生徒と、文化祭や体育祭といった学校行事に加え、部活動やLHR、合同授業などの日常的な交流を数多く経験することで、異なる個性を持つ多様な他者との交流や助け合うことに対する「当たり前感覚」を養った。また、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を意識して、性的マイノリティーに対する理解を深め価値観や行動変容を促すことを目的にLGBT当事者を招いての職員校内研修会や全校人権尊重学習会を実施した。生徒も教職員も、性的マイノリティーの人々が抱えている社会的困難や法的困難といった現実を正しく理解し、自分自身がLGBTであるかどうかに関係なく、LGBTの権利を尊重する意思のある人(アライ)になることの意義について深く考える機会となった。
② 地域課題・国際問題の解決法提案プロジェクトに係わる活動

総合学科高校のみに設定されている「産業社会と人間」や「総合的な学習/探究の時間」を、主体的・対話的で深い学びを追究し続ける土台づくりの時間と位置付け、年次に応じた「生徒がつくる授業(1年:将来を考えるワークショップ、2年:思考力・判断力・表現力を鍛えるビブリオバトル、3年:自主設定テーマに基づく課題研究発表)」を実施した。

2年次生はAct Locallyの観点から地域研究を共通テーマとし、新聞、書籍、WEB情報、インタビューやフィールドワークなどを情報源として、様々な地域課題や国際問題などをSDGs17ゴールと関連付けて考え、自分が当事者感覚を持って取り組むべき課題の発見や解決法提案に努めた。また、Think Globallyの観点から駐日欧州連合代表部からフィンランド大使館職員を招き、フィンランドを中心にヨーロッパの産業経済、歴史文化、自然環境、政治情勢などについて学ぶ機会を設けた。

3年次生は2年次に培った課題研究メソッドを活かしながら、各自が定めたテーマに基づいて探究活動に取り組んだ。SDGsの目標121517を意識して探究活動に取り組んでいる生徒集団は、日本では食材となるイタドリが英国内で濫繁殖してしまっていて、その駆除に多額の公費が投じられている事態に問題意識を持ち、英国人も美味しく食べられる調理レシピを考案・提案することが問題解決に貢献できるのではないかと考え、ユネスコスクールネットワークを活かした交流パートナーを探しているところである。
③ 地域活性化・国際貢献アクションプロジェクトに係わる学習

静岡市が主催する「高校生まちづくりスクール」に参加して、地域活性化に通じる新規事業を提案する生徒、静岡県が主催する「健康長寿学術フォーラム」に参加して子供や高齢者の孤食について問題提起する生徒、「静岡市議会議員と語り合う会」に参加して静岡市が掲げるまちづくり5大構想とSDGsとの関連性について議論する生徒など、学校での学びを活用する場を学校外に求める生徒達が続出した。アウトプットを想定して課題設定し、仮説検証や実験などを重ねて課題解決に向けて主体的・協働的・探求的に取り組む生徒は、自分自身の自己有用感を高めると共に周囲にも好影響を与えている。

生徒会では、日本ユネスコ協会連盟からの呼びかけに応え、火災により焼失してしまった首里城復興を応援する募金活動を実施中である。

④ 進路目標実現プロジェクトに係わる学習

1年次生は「(知っているを)広げる」、2年次生は「(よく調べ、比べて)選ぶ」、3年次生は「(志を立てて)挑む」のテーマに沿って、自他共に納得のいく生き方・在り方、学び方・働き方について、SDGsと関連付けながら追究している。進学希望にせよ就職希望にせよ、高校における実践活動を踏まえて志望理由を明確に語ったり書いたりすることができている様子で、進路目標の実現状況も良好である。

来年度の活動計画

これまでの4プロジェクトを、①共生・共育推進プロジェクト、②協働・共創プロジェクト、③自己実現プロジェクトに整理して、「キャリア探究 with SDGs支援プログラム」の持続発展を目指す。また、2020年度は、SDGsの目標4、5、8、11121317をホールスクールアプローチで取り組む課題に位置付けて学校内外の連携協働を加速させる予定である。そのために、一つひとつの目標に関わる第一人者から直接学んで理解を深化させたり、学びを活かして行動に移したりする機会を増やしていく。