2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 減災・防災, 環境, 福祉, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野

※気仙沼市立大島中学校は、令和3年度に閉校し、令和4年度より気仙沼市立鹿折中学校に統合されました。

気仙沼市立鹿折中学校

「ふるさと鹿折を見つめる~みんなが幸せになれる社会を創る学習~」を全体テーマに掲げ,防災学習,探求学習に取り組んだ。いのちを大切にし,他者と協力しながらよりよく生きようとする態度や多面的に物事をとらえ,自ら課題を発見し,主体的に探求し行動する力の育成を目標としている。具体的には,全学年で取り組むⅠ防災学習,学年毎に具体的な問いを設定し,地域社会や人とのつながりを大切にしたⅡ探求学習(課題解決学習)を行った。

Ⅰ防災学習
本校の大きな特色は「日常生活の中の防災教育」の視点や活動を取り入れていることである。
①防災学習の日
毎月11日前後に設定し,朝の10分間を利用し,折々の防災・減災に関する課題をもとにした学習を行っている。
②総合防災訓練
事前学習として,行政やNPOの方々を講師に迎え,避難所初期運営の図上訓練や非常時の調理方法などを学んだ。保護者等をGTとした「被災体験を聞く会」では,震災当時,未就学児であった生徒にとって貴重な学びの場となった。
③全校での振り返りの場の設定
避難訓練後に,非常時の対応策など,発達段階に応じた課題を各学年毎に提起し,防災委員が司会進行を務めて話し合いを行っている。意見共有の場では,気付いた点を異学年同士が助言し合うなど,より実践的な具体の行動を考えることができた。

Ⅱ 学年毎の探求学習
①1年生「社会にはどんな課題があるのか?」(社会の課題)
→福祉施設を訪問して,少子高齢社会やその現状について理解を深め,文化祭では学びを劇化して発表した。
②2年生「人々はどう生きているのか?」(自他の生き方)
→職業講話やキャリアセミナー,職場体験学習を通して,人との関わり,仕事に対する姿勢,人々の生活や生き方にふれ,改めて未来の自分の生き方を考える機会となった。
③3年生「人々はどうすれば幸せになれるのか?」(幸せを創る提案)
→震災から復興に関わる「まちづくり」を中心に学習。伝承館見学,災害公営住宅の方々との交流会を通して,幸せになれる社会への手立てを考え,地域の中での自分たちの役割を実感していた。

これらの活動を通して幅広く災害に対する知識や対応,防災・減災に対する意識や対応力を向上させていることがアンケート結果や訓練の様子からも伺えた。自他の命を大切にすること,ふるさとを大切に思う気持ちや他者と協力しながらよりよく生きていこうという態度が育まれてきているものと考える。

(旧)気仙沼市立大島中学校

1 本校のESDでめざすもの

(1)ESDのねらい

総合的な学習の時間や探究的な学習を通して,地域に根差し,地域の未来や自分の生き方を見つめ,実践する態度や能力を育成する。

(2)ESDで育てたい資質・能力

①大島という海に囲まれた地域の特色を生かした海洋学習を通して,主体的に課題を見付け,探究する能力。

②課題解決に必要な地域の文化や産業の情報収集の仕方や,相手に思いを伝えるためのまとめ方や情報発信の仕方。

③積極的に多くの人と関わり, 自らの将来や生き方を考え,地域の未来ことを考えて行動しようとする態度。

2 本年度のESD実践

(1)ホタテ養殖体験【全学年】

ホタテ養殖体験は,宮城県漁協大島出張所青年会及び女性部の協力のもと行っている大島小学校との連携活動である。小学校6年生の活動では,海中を漂うホタテの幼生を採取する「採苗器作り」と「採苗」行う。ある程度育った稚貝をきれいにして新しいネットに入れる作業なども行っている。

中学校1年生は7月9日に,「背ばたき」「耳吊り」を行った。ホタテに付着した様々な生物を取り除いてきれいな状態にし,ホタテを筏に吊るせる状態にする作業で,生徒たちは講師の方の指示を真剣に聞き活動した。

中学校2年生は6月6日に,「水揚げ」「背ばたき」を行った。出荷のための選別を行い,ホタテを水揚げし,販売できるきれいな状態にした。ホタテの生態などについても講師の方々に質問し,知識を得ていた。顕微鏡を使い,ホタテに付着していた様々な生物の観察も行った。
中学校3年生は7月9日に「大島のおいしいホタテを実際に食べてみよう」として,自分たちで考えたメニューで調理実習を行った。大島漁協婦人部の方々を講師に迎え教えを請うことで,大島の食文化の継承につながる活動であると考え,工夫を凝らして活動していた。

(2)櫂練り体験【1学年】

櫂を使った操船経験や箱めがねを使っての魚介類観察経験は,先人から受け継いだ文化であり,これらの体験をさせたいとの思いから実施した。

(3)小田の漂着物調査・浜清掃活動【全学年】

気仙沼海上保安署にご指導いただいて小田の浜の漂着物調査・海浜清掃を行った。島ゼミの活動の一環として一部の生徒がマイクロプラスチックの調査にもチャレンジし,6人の生徒がマイクロプラスチックに関連した内容を島ゼミの個人課題に設定した。また,国際海岸クリーンアップ(ICC)の手法などを学ぶ体験にもチャレンジできた。このような活動が「ストローゼロ運動」や「大島 美しい海・島をいつまでも(ごみゼロ)ポスター製作プロジェクト」にもつながり,海岸のごみの減少など具体的な成果として表れている。

(4)表現活動 島中ソーラン・合唱・演劇【全学年】

表現活動として「大島ソーラン」,「全校合唱」,「演劇」などを行った。中でも大島ソーランは1年を通して交流会やお祭りなどで披露され,その後の交流活動の活性化へとつながった。

(5)島ゼミ「個人課題」

4月にウェイビング,養殖体験,海洋講話,海浜清掃などの活動を行う中で個人課題の設定を進めた。更に教員全員が講師役となり,生徒一人一人と対話形式で探究課題について話し合う活動を行い,海洋に関する内容だけではなく,大島ならではの自然や産業,地域の問題点など様々な課題を考えることができた。探求活動は総合的な学習の時間だけではなく,夏休みや休日も活用しそれぞれが行った。

(6)海洋教育サミットへの参加

「海洋教育こどもサミットin洋野」に代表生徒で参加した。自分たちの発表とともに,他校の発表を聞くことにより,海洋について考え,学習することの大切さを学んだ。

来年度の活動計画

※気仙沼市立大島中学校は、令和3年度に閉校し、令和4年度より気仙沼市立鹿折中学校に統合されました。

気仙沼市立鹿折中学校

次年度においても3年間の学習が最終的に社会参加につながるよう内容を構成しながら,社会参画への意欲や実践力の向上,地域復興の担い手となる人材を育成できるような学習活動を展開したい。不易なものがある一方,復興による環境の変化に伴い,必要となる力も変化していく。今後も日常生活の防災を意識すること,必要となる力を見極め,生徒自らが安全に行動する力が育つような指導を継続していくことが大切である。そのためには,3年間の学びを見通す活動計画の立案,テーマに迫る課題設定や解決方法の工夫,地域リソースの発掘と集約,関係諸機関との連携など,PDCAサイクルを生かしながら,活動の充実を図っていきたい。

(旧)気仙沼市立大島中学校

・基本的な活動内容についてはに今年度と同様の内容とする。しかし,活動の振り返りを十分に行い,計画の改善のために見直しを図る。

・地域と連携した体験学習を計画し,生徒が故郷の現在や未来を自分のこととして考えられ,自らの将来をより具体的に思い描けるような学習を展開する。

・学習した内容の発表を広く公開する手立てを講じる。

・地域との協働教育を進めていくためにも学区内の団体との協力関係を強化する。