2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権, 福祉, 食育

※気仙沼市立大島中学校は、令和3年度に閉校し、令和4年度より気仙沼市立鹿折中学校に統合されました。

気仙沼市立鹿折中学校

本校が位置する宮城県気仙沼市鹿折地区は,東日本大震災において津波・火災により壊滅的な被害を受けた地域である。震災から約11年が経ち,震災を知らない世代の入学や震災の記憶の風化が危惧される現状をふまえ,昨年度より新たな防災学習を展開している。また,今年度は海洋教育との関連を図り、「海のまち気仙沼に生きる」市民として『海と安全』の分野よりー津波死ゼローを達成するため,『海を知る学習』『海からの教訓』『海のまちに生きる人たちと共に』という視点で,防災学習を中心とした体験的・探究的な学習に取り組んだ。学習を通して生命の重さや尊さについて考えさせ,防災・減災への正しい理解と必要な能力や資質の向上及び,緊急時には地域の一員として主体的な行動をとることができる生徒の育成を目指している。

① 海洋環境保全調査活動(1年)、震災遺構・伝承館研修(2・3年生)(『海を知る学習』)

離島大島の小田の浜において,清掃および漂着物・水質調査を行い,気仙沼の海洋や世界の海で起こっている実態を知り、地域の海洋を中心とする自然環境について関心を高めた。また,気仙沼市や陸前高田市の震災遺構・伝承館での研修を行った。生徒は他地域との比較を通して,それぞれの地域の地震・津波の災害特性や被害の大きさを実感し,改めて生命の重さや尊さ、減災・防災の必要性について学んだ。

② 震災伝承学習への取組(全学年) (『海からの教訓』)

東日本大震災の被災者の避難行動の可視化を通して,震災の教訓や学びを伝承する学習に取り組んだ。学年縦割りのグループごとに,地域の方々にインタビュー形式で聞き取り調査を行った。その後、3・11当日の避難行動を場所,時系列で整理し,被災者の行動と心情について分析・考察し,学んだ事実から改めて命を守る教訓について考えた。全体を通して「聞く」「学ぶ」「共有する」という視点を重視しながら学習を進めた。防災学習発表会は,ポスターセッション形式とし,調査協力者や保護者の方々を前に,学んだ事実や教訓をテレビ番組形式(討論形式)や小学生が覚えやすい標語を作成して伝えるなど,昨年度よりもさらにレベルが高いものとなった。また,2月にはオンラインにて近隣の小学校へ発表(伝承活動)を行う予定である。

③ 地域合同による避難所設営訓練 (『海のまちに生きる人たちと共に』)

昨年度作成した避難所初期設営マニュアルをもとに鹿折地区自主防災組織,鹿折地区振興協議会などの地域の方々と学校が協働で新型コロナウィルス対応避難所初期設営訓練を行った。1回目は6月に実施。2回目は11月の市総合防災訓練と合わせて行った。地域に居住する外国人技能実習生の参加や簡易湯たんぽ作成,発電機の使い方,災害用備蓄庫の点検を行うなど,さらに非常時を想定した訓練を実施することができた。訓練終了後は地域・学校合同による振り返りを行い,成果と課題を共有した。訓練を通して,生徒は大人の経験と知恵を学ぶ貴重な機会となり,大人は生徒の機動力や新しい発想など互いに学ぶことが多い取組となった。これらの学習は,有事の際,より的確で迅速な命を守る行動につながると共に,生徒の地域の一員としての自覚を高めるものになったと考える。

(旧)気仙沼市立大島中学校

1 ねらい
海洋教育を中心とした総合的な学習の時間や防災・安全,福祉等,様々な学習活動や体験活動を通して,地球規模の課題を自分のこととして捉えつつ,地域に根差し,地域の未来や自分の生き方を見つめながら,持続可能な社会の創造を目指して実践に取り組む態度や能力を育成する。

2 育てたい資質・能力
①大島という海に囲まれた地域の特色を生かした様々な学習活動や体験活動を通して,主体的に課題を見付け,探究する能力。
②課題の解決に必要な情報を収集する能力や,相手に思いを伝えるために分かりやすくまとめて情報を発信する能力。
③積極的に多くの人と関わり,自らの将来や生き方を考え,未来を見据えた,新たな価値観や行動を生み出そうとする態度。

3 本年度の実践について

《島ゼミ(個人課題探究活動)》
大島について様々な視点から個々に探究課題を見付け,その解決方法を考え,計画的に活動する力を高める。また,活動を通して知ったこと,身に付けたことを発信するとともに,効果的に伝えるための手段を身に付けさせる。

《海洋教育》
海洋に関わる様々な体験を通して,地域の漁業や産業についての知識を深め,地域を愛し,地域のために進んで行動しようとする態度を養う。

《防災を考える日(毎月)》
様々な災害を想定した訓練や講話,話合いを通して,防災意識を高めるとともに,進んで防災対策に取り組み,行動していこうとする態度を養う。

《生き方活動》
職場体験を中心に,職業や進路に関する学習を継続して行い,将来社会人として必要な基本的な知識を身に付けるとともに,主体的に進路選択をしようとする態度を養う。

《表現活動》
全校で演劇を作ることにより,協働で一つのものを作り上げる達成感を持たせるとともに,自分の役割に責任を持って取り組む姿勢,個性を生かして取り組む姿勢を育む。

来年度の活動計画

今年度の活動の成果と課題を踏まえ,見直し・改善を図りながら,防災学習を中心とした探究的な学習,体験的な学習を柱に活動を進める予定である。主な活動計画は,6月:新型コロナウィルス対応避難所初期設営訓練(地域協働),防災学習ガイダンス,避難訓練(地震・津波) 7月:震災を知る学習,海洋環境保全調査活動(1年),救急救命講習(2年),震災遺構・伝承館研修(3年),9月:震災伝承学習(聞き取り調査等)のガイダンス,10月~:震災伝承学習(避難行動詳細調査,テーマの設定,活動計画の立案,整理・分析・考察,発表準備),11月:避難訓練(火災・地震),市総合防災訓練参加→避難所初期設営訓練,マニュアル見直し,12月:防災学習(震災伝承学習)発表会,活動の振り返りとまとめ,小学校への啓発活動を予定している。