2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 人権, 減災・防災

本校は、人間愛と共生の心に基づく、教師と子どもが「共に在る」を教育理念として、ESDを「『ひと、もの、こと』とのつながりのなかにある、かけがえのない命・わたしとあなた」と捉え、ESDの実践を通して問題発見、課題解決、対話的で深い学びの力の育成を目標とした。具体的には生活科および総合的な学習の時間を柱に、①あさがお栽培・動物飼育に係わる学習(生物多様性) ②環境に係わる学習(林業) ③人権・福祉に係わる学習を行った。

① あさがおに係わる学習(生物多様性) 1年生

「あさがおの種をどうやって蒔いたら(植えたら)いいのか」近くのお花屋さんの方から教わり、わたしが育てたい鉢に、わたしが使いたい土を入れ、あさがおの栽培活動が始まりました。苗が顔を出してからは、「土の中がどうなっているのか」「どうやって花が開くのか」「何時に花がひらくのか」など、子どもたちの問いをきっかけに活動が生まれ、あさがおの根の広がり、あさがおの花が明け方に開き、その開き方は徐々に蕾が開きはじめ、最後はパカッと花びらが開くことを目の当たりにした子どもたちからは大きな歓声が上がりました。あさがおさんの歌も生まれ、種がつくころまで、様々な活動を展開していきました。種がつきあさがおさんの1年の役目が終わると、「あさがおさん、がんばったね」とあさがおに言葉をかける、そんな場面も生まれました。

② 動物飼育に係わる学習(生物多様性) 2、3年生

3年生が飼育するヤギの赤ちゃんの誕生から1年の活動が始まりました。予定日を迎えた母ヤギに出産の兆候が見え始めた時、学校は休校中だったため、出産の様子をオンライン配信しました。誕生の瞬間は深夜だったため、その場面を視聴することはできませんでしたが、小屋に集まらなくとも、「無事に生まれてほしい」という子どもたちの思いを共有することができました。秋には、2年生が飼育するトカラヤギと羊に発情が見られ、雄を迎え入れ、交尾の瞬間に立ち会うことができました。と同時に、昨年度生まれたトカラヤギの雄の去勢、4月に生まれた雄ヤギとの別れなど、生まれてきた命をどう守り、どうつなぎ託すのかなど、飼育を通した様々な活動から、子どもたちは考え、わたしたちなりの答えを導き出すことができました。

③ 環境に係わる学習(林業) 5年生

カプラという積み木遊びから活動が始まりました。積み木遊びに熱中する中で、積み木の材料が間伐材であることを知り、「木を切ることはよいことなのか」そんな素朴な問いから林業の学習が動き出しました。日本の林業が置かれた現状に子どもたちは驚き、また、間伐することは森を壊しているのではなく、森に生きる木を守り、またその森を守ることは人間の生活も守ることにも繋がっていることに気づくことができました。また、長野県内で間伐材の有効活用に取り組む方ともつながり、かんなくずを使った造花づくりにも挑戦しました。遠い存在だった『森』が、身近なものとなりました。

④ 人権・福祉に係わる学習 6年生

昨年度行った特別支援学校(小学部)との交流を、今年度も継続して行いました。5月まで休校が続き、ようやく学級のみんなが集えた6月から、「何としても去年つながった〇〇さんに会いたい、再会したい」という強い思いを抱き続け、コロナ禍の状況のため、直接の交流は実現しませんでしたが、オンラインによる交流会が実現しました。手作り遊具を紹介したり、場面越しにうつる友だちに、「元気だった。ぼくは元気だよ」と画面に近づき思いを届ける、そんな場面もありました。オンラインでの交流をきっかけに、お昼の時間に短時間での交流を定期的に行っています。直に会うことはかないませんでしたが、同じ時を過ごす友だちと、画面を通じてであっても、しっかりとつながり合っていることを実 感することができました。

来年度の活動計画

動物飼育(生物多様性)に係わる学習

昨年度に交尾を済ませた雌ヤギと雌羊が出産を迎える。新たな命の誕生から、命の尊さあるいは重みを感じる。と同時に、2年間過ごしたヤギ、羊たちとの別れも迎える。とことん命と向き合い、ふれあう中で、様々なことを学んでいく。

環境に係わる学習

地域の特産野菜と出会い、その特産野菜が誕生した背景を知り、自分たちの手でその野菜を育てたい思いから活動が始まる。種まきから収穫までの営みの中で、さまざまな出来事に出くわし、特産野菜を栽培し続ける方から栽培方法を教わり、収穫後にはその特産野菜を加工する活動へと発展させたい。

外国に暮らす小学生との交流学習

今年度始まった、スウェーデンとイギリスの小学校との交流を継続させ、外国の文化に触れると同時に、自分たちが暮らす日本を紹介することを通して、日本の文化のすばらしさにも気づき直していく。