2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 気候変動, エネルギー, 人権, 福祉, 健康, 食育

本校は、肢体不自由のある児童生徒が通う特別支援学校で、小学部、中学部、高等部合わせて12学年が学んでいます。本校でのESDは、「つながり」というキーワードを軸として、身近な場所や人からスタートして校内、校外、世界の人々とつながりながら、かかわった人と影響を与え合って、障害のある本校の児童生徒も取り残されることのない共生社会の実現を目指しています。

コロナ以前は、他学年、他学部、他校、地域等、児童生徒が実際にどこかへ出向いて、あるいは来て もらって、盛んに交流を行ってきました。

今年度、ESDの分掌では、基礎疾患を抱える子供が多い本校で、また、直接会って、触れて、言葉を交わすことが何よりも重要なコミュニケーションとなる本校で、コロナ禍にすぐ適切な相手を見つけ、交流を行うのは難しいと考え、校内の授業の中で、子供たちがSDGsに触れたり、考えたりする授業づくりを推進し、校内のESDに関連する掲示物を充実させることで、これまでの本校ESDと未来の本校ESDが断絶しないような「つながり」を意識してきました。

ESDに関連する掲示物の一つとして今年度整備したのが、国際デーを紹介する掲示物です。ときには児童生徒の学習と国際デーとを結びつけて紹介し、コロナ禍で学級間の交流が減っている今の状況下で、同じ学校で学ぶ友達がどのような活動をしているのか、互いに知る機会を作りました。

掲示物によりESDへの意識が高まったことで、教員から「SDGsについてクイズを作ってきた生徒がいるから、掲示してくれないか」と提案を受けたり、高等部の生徒から「学校のあちこちにSDGsに関係のある掲示物があるから、みんながもっと見たくなるように、ポイントラリーのような企画をしてみたい」「国際デーに合わせたSDGsクイズを作りたい」といった声が届いたりするようになりました。現在では、生徒の自主的な取り組みが学校中の廊下に掲示されています。

何年にもわたって各学級、各教育課程の先生方が工夫し、児童生徒に根付かせてくれた「自分事としてSDGsを捉え、できることをしていく姿勢」がESDを推進する側の思惑をいい意味で大きく離れ、児童生徒同士で盛り上げ、巻き込み合ってESDに取り組む今年度の本校の様子は、本校の目指す「つながり」のESDであると感じています。

来年度の活動計画

SDGs達成に向けた政府や企業の取り組みが増加したことにも後押しされて、本校でもAB課程を中心に、現代的な課題を自分事としてとらえ解決のために考え行動する学習が一層盛んになっているのを感じています。今年度は、各学級におけるESDの視点に立った授業作りによって、オリパラ教育や教科教育などと関連付けて児童生徒が他者や世界とのつながりを意識できるような機会を作ることができました。

次年度も引き続き、ESDの実践が学校教育目標である「児童生徒の自分らしい人生を歩んでいくための力を育成する」ことにつながるよう、児童生徒自身が考え表現できるような活動を推進していきたいと考えています。ESDを進めていくためには、児童生徒を取り巻く大人の理解と協力が欠かせません。児童生徒に対する持続可能な開発のための教育を続けていくことはもちろん、保護者や教職員、地域の方々にESDの意義や価値を周知するよう努め、周囲にいる全ての大人がそれぞれの持ち味を生かしてESDに取り組めるようサポートを行い、学校全体でSDGsの目標4.7の達成を目指していきます。また、状況が許せば、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大を受けて今年度は実施できなかった、児童生徒自身がESDでの学びを振り返り地域や校外の人々に紹介する活動を行い、児童生徒にとって主体的に考え行動するモチベーションにつなげたいと思います。