2019年度活動報告
本年度の活動内容
環境, 世界遺産・地域の文化財等, 人権, 持続可能な生産と消費
環境教育、世界遺産学習、持続可能な生産と消費、人権・平和学習としての「菜の花プロジェクト」
「菜の花プロジェクト」という環境教育を2010年より取り組んでいる。菜の花を育て、油を搾って奉納や食用として使い、その時に出る油の搾りかすを畑の肥料とするような循環型社会について学んでいる。
六条幼稚園の近くにある薬師寺や唐招提寺、ならまちにある元興寺の灯明の火は、昔から菜の花の油を使っていることをお聞きし、子ども達が作った菜種油を灯明に使っていただくために奉納することで、歴史文化と自然、地域社会と子どもをつなぐことができると考えて取り組んでいる。このことを指導計画に位置づけ、地域やNPO、保護者の方々と協働して実施した。
(ねらい)
① 自分たちで作った油を薬師寺や唐招提寺、元興寺の灯明に使ってもらうことで、伝統を守り、受け継いできた奈良の人々の営みや心との重なりを感じる。
② 菜の花を見つめたり、触れたりする環境を準備し、毎日関わっているからこそ気付くことや、感じる思いを大切にする。
③ 大人と園児たちの交流の中で、他者を受けとめたり、疑問を解決したりしながら活動を通して「受け継ぐ」事を体験する。
(年間の流れ)
5/21 幼稚園・薬師寺菜の花の刈り取り
6/14 菜の花の種落し、油搾り
7/ 8 薬師寺に油を奉納 (全園児親子)
8/23 元興寺に油を奉納
9/20 菜の花の種まき
10/24 幼稚園の菜の花を移植
10/31 薬師寺菜の花の移植 (5歳児親子)
10/31 唐招提寺に油の奉納 (4歳児親子)
菜の花を育て、油を搾り、世界遺産の寺に油を奉納し、灯明に使っていただく取り組みを継続し、感動することで、循環型社会を実体験として学び、また次の年へと引き継がれていくことを感じることができた。
今年度は「菜の花プロジェクト20周年」を迎え、地域の世界遺産へ親子で行くことで『絆』の大切さを学んだ。親子で身近な世界遺産に触れることで、地域に誇りを持つことにもつながり、地域や保護者の方など身近な大人とつながり、人や地域との絆の大切さを感じることができた。
○鬼瓦を作ろう 6月8日
唐招提寺へ油奉納に行った際、「すみおに(隅鬼)」の話を聞かせていただき、金堂の屋根にいるすみ鬼探しをする。鬼の役割が鬼瓦と同じであることを知り、古くからの習わしにも興味が広がった。子どもたちの興味をきっかけに今年度ユネスコよりいただいた助成金で参観日には鬼瓦づくりをし、親子で昔からの瓦の作り方や瓦一つ一つにも願いを込めることを知り自分達の未来への願いを一緒に考える機会となった。
来年度の活動計画
○菜の花プロジェクト
令和2年度も継続して『菜の花プロジェクト』を行い、
①菜の花を育てる。
②刈り取って乾かす。
③種を落として油を搾る。
④油を奉納する。食用にする。
⑤搾った油粕を肥料として、種を植える。
の循環で継続していく。このような循環型社会について学び、菜種油を世界遺産の薬師寺や唐招提寺・元興寺に奉納し、灯明として使ってもらうことで地域について学ぶことにもつながる。また、身近な大人と園児たちの世代間交流の中で、一緒に感じたり、疑問を解決しようとする中で「受け継ぐ」ということを体験し理解する。
計画予定
5/18 幼稚園・薬師寺の菜の花刈り取り
6/19 種落し、油搾り
7/ 8 薬師寺に油の奉納
8/23 元興寺に油の奉納
9/18 菜の花の種まき
10/23 菜の花を移植
10/30 薬師寺に菜の花を移植 (5歳児)
10/30 唐招提寺に油の奉納 (4歳児)
○地域の赤膚焼きを作ろう
来年度は赤膚焼きの焼き物を作ってみようと計画している。
事前に赤膚の窯元へ見学し、実際に見て、自分たちで赤膚焼きの焼き物を作りたいと計画している。地域の赤膚焼きを知り体験することで、自分たちの住んでいる地域に誇りを持つことに繋がっていくと思う。また、抹茶茶碗やお皿を作り、お茶会をして日本伝統の文化に親しむ。
○国際教育としての「地域の方との英語で遊ぼう」
オーストリア出身の地域の方がおられるので、ハロウィンやクリスマス会に来ていただき「英語で遊ぼう」という集いを行う。外国の行事や遊び、歌などから英語に触れる機会をもち、国際教育につなげていきたい。