2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困, その他の関連分野

本校は、「Game Changer―新たな価値と希望を生み出す人―」を2030年に向けての学校ミッションとして掲げ、サイエンス教育・グローバル教育・ICT教育に力を入れている。そうした中で、個々の教育活動が“点”の状態とならないよう「SDGsで“つなぐ”キャリア教育」をコンセプトに、ESDの観点から従来の教育内容を再構築し、学校全体でESDに取り組む方法を模索してきた。特に本校独自の学校設定強化「共創探究科」7科目を学びの軸に据えることで、生徒たちは主体的にSDGsの解決に向けた探究活動を行えるようになったと考える。生徒自身の興味・関心とSDGsをはじめとした社会課題との関連性を意識させた探究活動を中心に、以下のような①ユネスコ委員会活動、②SSHに係わる教育、③教科教育、④国際交流活動を行った。

①ユネスコ委員会活動
ユネスコ委員会とは、社会課題を解決したい有志生徒が自由に活動することができる組織である。今年度は、7/24に大阪で開催された「Road to 2025!! TEAM EXPO FES」に、大阪大学ユネスコチェア/人間科学研究科のみなさんとともに「月経を楽しもう!」と題した企画に参加した。他のユネスコスクールと一緒に活動することが初めてであり、こうした活動は今後とも継続していきたい。またさらに新たな試みとして、今年度は「生徒と教師をツナグ 学校と社会をツナグ」をコンセプトにインターネットラジオ番組を開設した。ユネスコ委員会主体の取り組みであるため、「教育や科学、文化の振興を通じて、戦争の悲劇を二度と繰り返さない」というユネスコの理念に則って、メインコーナーでは社会性の高い内容を放送している。放送開始以降、本校生徒・教員はもちろんのこと、他校中学・高校生、小学生、本校卒業生、学園総長が出演するなどの実績を重ね、社会課題解決・社会実装のプラットフォームになりつつある。

②SSHに関わる教育
BKC(立命館大学)との接続を活かして、週1回の高大連携授業関連だけでなく、校外研修の講師として大学教授を招聘するなどより高度な連携をしている。また、地域性を活かして琵琶湖における水環境ワークショップを実施した他、生物・建築・電子工学など各分野特性をテーマにした宿泊を伴うサイエンスキャンプ(例:木曽駒ヶ岳研修、建築技術探究、福井県立恐竜博物館研修、くじらの博物館研修)を実施した。さらに、滋賀医科大学において6回の連続講座となる医療基礎セミナーを行うなど他大学との接続も行っている。こうした中、2022年11月には神港精機株式会社とサイエンス教育の振興に関する連携協定を締結した。高校生の課題研究における協力・支援をいただくとともに、小学生対象の実験教室を引き続き開催する等、サイエンス教育の成果を地域に還元する取り組みに力を入れる体制を整えることができた。

③教科教育
「共創探究科」の7科目について、より「質の高い探究」(高度化と自律性)を目指し、教員・生徒ともに取り組むことができた。ESDで重視したい「批判的思考力」や「問題設定・解決力」、「協働する力」や「先を見通す力」など生徒がどの程度身についたかについては、授業の成績評価のみならず、外部指標(GPSアカデミック:ベネッセ)を活用することで数値化したり、各種コンテストの入賞経験を見たりするなどして総合的に判断している。
この「評価のあり方」については、教員研修会を重ねて議論をしている最中である。

④国際交流活動
今年度はコロナ前の水準、またはそれ以上の国際交流活動を展開することができた。留学アウトバウンド29名、インバウンド9名/他高3プログラムに32名が参加した他、春休みイギリス研修11名参加予定である 学内プログラムコンテンツ数は53プログラム(例:Okinawa Peace Study、JENESYS2022日韓高校生交流プログラム、Global Leadership Programカンボジア・オンラインボランティア研修)にも及び、参加生徒数はのべ577名となった。従来よりも実体験を伴うプログラムを取り入れ、ハイブリッド型の企画として実験的に実施(オンラインインターンシップなど) した点が、新たな試みとなった。また、コロナ禍により3年間中止となっていた全中学3年生・全高校2年生対象の海外研修は今年度より復活し、約9割の生徒が参加(予定)し、有意義な経験を積むことができている。

来年度の活動計画

2023年はユネスコスクール70周年にあたる年である。本校のユネスコスクール加盟も11年目となるので、そのことも念頭に置きながら他のユネスコスクールとも協力してできることを模索していきたい。特にインターネットラジオは、さまざまな社会課題を持った人同士が繋がれるプラットフォームになれるので、そこに関わった人全員に対してメリットとなるようなことを追求したいと考える。
SSHは今年度が最終年度となり、その活動に一定の終止符が打たれるが、理系教育(共創探究科の授業も含む)そのものはこれまでの実績を生かしながら、さらなる飛躍を目指していく。
国際交流活動では、留学アウトバウンド・インバウンドはもちろんのこと、今年度も取り組んできたポーランド・サンスター日本語学校との連携から、ウクライナ支援(講演会、絵画展など)に積極的に取り組んでいきたい。ユネスコスクールの活動を通じて、「誰かを幸せにすることが自分の幸せになる」生徒の育成に努める。