2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 環境, 国際理解, 食育

①本校のESD特徴

「時代の変化に対応できるよう,個性を磨きながら人間性を豊かにしていく児童を育てる」をテーマに,本校は教育活動を実践している。

その課題達成のために主として「総合的な学習の時間」において「知床学」を位置付け,児童が地域の自然や環境,産業などに関心をもち,主体的な探求活動を通して,より良く課題を解決する資質や能力を育てていきたい。そして,学びを通して,地域に対する愛着や誇り・今後の課題など,ふるさと「羅臼」の真の姿を捉えていけるようにしたい。

②活動事例

A.クマ学習

ふるさと羅臼では,「クマを巡ってどのような問題が起きてきたのか」又「現在,どのような課題があるのか」「ヒグマとの付き合い方や出会った時にどのように対応するのか」など人とクマの暮らしが隣り合わせという羅臼の現状を学んでいく。知床財団に協力して頂き,写真や映像,模型などを活用しながら,触れる・考える・知るといった学習活動を主に3年生・5年生時に発達段階に応じた総合的なプログラムで学習を展開している。

 

B.羅臼こんぶ学習

羅臼の特産である「羅臼こんぶ」を中心課題として学習を展開した。前期は,「富山とのつながり」「こんぶ漁の歴史・人のはたらき」「こんぶの生長・環境・海」「こんぶの種類(比較)」「加工商品」の5つをテーマに探究活動を行った。後期は,前期で探究したことを発信するために「SNS発信」「ポスター発信」「イベント開催」「動画発信」「環境作り(地域のゴミ拾い)」に分かれて、自分達ができることをテーマに学習活動を展開した。

羅臼漁協組合や地元漁師,流通関係者など多くの取材や体験活動をしながら学びを深めた。学んだことを1冊の図鑑(本)にまとめ,「羅臼こんぶ図鑑」第4版として発行し、保護者や地域などで発表した。

 

C.羅臼川探検と水質検査

主に3・4年生を中心に羅臼川の探検を通し、地域の自然・生き物に触れる体験活動を行った。羅臼川探検では,実際の川に入り,水の流れやきれいさ、生息する生き物を見つけなど自然体験を通じて学ぶものが多かった。4年生では,簡易水質検査キットを使った水質検査を行い,大阪や東京の小学校にも依頼し,水質比較実験も行った。実際の数値を比較することで,ふるさと羅臼の川がどのくらいきれいなのかを実感することができた。

③成果と課題

知床財団や漁協組合,地域の方をゲストティーチャーとして招き、連携を継続していけた。専門的な話や資料に触れ,ふるさと羅臼の本当の姿を直接体験できたことは成果である。また,実体験を通して,見る・知る・体感するといった学びは,児童の興味関心を更に高め,学びを深めることもできた。今年度から学んだことを発信する方法を保護者や地域だけでなく,SNSでも発信することにした。ふるさとの良さや羅臼の環境を更に多くの人々に知ってもらう機会を広げられたことは,成果である。

一方,課題としては,教員の総合的な学習の時間への授業への意欲やスキルに差があることである。異動などで,地域のことをまだ理解できていない場合,特に体験的な活動では,教員によって取り組む内容が異なる場合がでてくる。学校として,基本的な計画をしっかりと立てて取り組む必要性がある。また,今まで継続してきた学習活動がマンネリ化となったり,更により良い活動に変更していくことも年度毎に振り返る必要がある。授業内容の開発と精選をしていくことが課題である。

来年度の活動計画

今年度と同様に,ふるさとキャリア教育の一環として取り組む。ふるさと羅臼について歴史・産業・自然環境などを深く学び,地域とのつながりや良さ、羅臼の未来を考えていく学習を進めていく。その際,羅臼の人材や施設を積極的な活用し,人との繋がりや専門的な話,実体験を通して学びを深めていく。