2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 国際理解, 持続可能な生産と消費, 減災・防災, 世界遺産・地域の文化財等, 食育

① 本校のESD特徴

「時代の変化に適応できるよう,個性を磨きながら人間性を豊かにしてく児童を育てる」をテーマに本校は教育活動を実践している。

   その課題達成のために主として「総合的な学習の時間」において「知床学」を位置づけ,児童が地域の自然や環境,産業などに関心をもち,主体的な追究活動を通してよりよく問題を解決する資質や能力を育てていきたい。そして,学びを通して,地域の誇りや課題といった,リアルなふるさと「羅臼」の姿を捉えていけるようにしたい。

② 活動事例

A.熊学習

    ふるさと羅臼では,クマを巡ってどのような問題が起きてき  たのか。また,現在どのような課題があるのか。ヒグマとの付き合い方や出会ったときにどうふるまえばよいのか…。人とクマの暮らしが隣り合わせという羅臼町の現状を,知床財団に協力いただき,写真や映像,模型などを活用しながら学んでいった。触れる/考える/知るといった学習活動を3年生時と5年生時に発達段階に応じた総合的なプログラムで展開している。

B.羅臼こんぶ学習(こんぶ図鑑をつくろう)

    羅臼の特産である「羅臼こんぶ」を中心課題  として学習を展開した。こんぶの生態,海/川の魚,流通,川の水質の4つの課題に対し,子どもたちの興味関心に沿ってグループで探求活動を行った。羅臼漁協組合や地元漁師,流通関係者に取材するなど,地元の協力を得ながら,実体験をしながら学びを深めた。学んだことを一冊の本(図鑑)にまとめ「羅臼こんぶ図鑑 第1版」として発行し,保護者や地域,また海洋教育サミットなどで発表をした。

C.外来種学習(ハチ学習)

   セイヨウオオマルハナバチについて,その見分け方や特徴などを,羅臼町教育委員会の主幹をゲストティーチャーに迎えて学んでいった。外来種の侵入(過去)とこれからどう付き合っていくか(未来)についても児童たちと考えた。

② 成果と課題

 成果としては知床財団や漁協との連携,地域に根ざした職業に携わる方々をゲストティーチャーに招くことにより,専門的な話や資料に触れることができたり,リアルな地域の姿を見る/知る/体感することができたりしたことである。実体験を通した体験的な学びは児童の興味関心を高めて学びを深めることができた。また,学習した内容を保護者や地域に発表することで,他者から肯定的な評価を頂き,自己肯定感の向上にもつながっている。

 一方,課題としては今後教員の移動などで授業のクオリティを落とさずに,“誰でも”一定水準の内容を保証できるような授業トータルパッケージとしての教材の引き継ぎや共有化が必要なこと。学習の

 変わっていくものと変わらずにあるもの。ことさら自然環境やそこに暮らす人々の営みはその両方を常に内包している。それに対応するように,授業もまた開発や精選が必要になるだろう。

来年度の活動計画

 今年度同様、ふるさとキャリア教育の一環として取り組む。ふるさと羅臼について歴史・産業・自然環境などを深く学び,地域とのつながりや良さ,羅臼の未来を考えていく学習を進めていく。その際には,羅臼の人材や施設を積極的に活用し,人との繋がりや専門的な話し,実体験を通して学びを深めていく。