2023年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 気候変動, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育, その他の関連分野

大牟田市立白銀中学校は、大牟田市立田隈中学校の一部及び大牟田市立橘中学校と大牟田市立甘木中学校が統合し、令和7年度に開校しました。

(旧)大牟田市立田隈中学校

2 ユネスコスクールとしての活動の概要
本校は、「将来の生き方を思い描き、社会に貢献する」を学校理念として、ESDを大きな夢を抱き未来を創る子どもの育成と捉え、ESDの実践を通して「課題解決力、新たな知識や価値観や行動力・体系的な思考力の育成」を目標としている。それらで得られた能力を普段の学校生活や自分の将来の人生設計にも生かし、将来社会に貢献し、人々の役に立つような仕事をしたいと思えるような志を持った進路の実現に繋げている。

 

 

3 特徴的な活動事例の紹介
○防災・減災学習
災害が多く発生している昨今、実際に災害に遭った時、どういう対応をとればいいのか、市役所の方や消防署の方に来ていただいて、体験的な学習を行った。災害の種類や「自助・公助・共助」の三助といった防災・減災に関する基礎知識について理解を深めた。その発展の場として、実際に使われる段ボールベットや簡易テントを組み立てて、避難所の雰囲気を体験することができた。また、グループワークでは、非常持ち出し袋の中身について班で考え、その後全体での交流を通して、自然災害を身近なこととして捉え、自分のこととして学習を深めた。
○働く人に学ぶ
この学習はキャリア教育の一環として行ったもので、職業人・社会人としての生き方を学ぶことで、将来への関心を深めるとともに、自分の夢や希望を広げる機会になった。講師としてお越しいただいた4事業所の方に、仕事の内容や厳しさ、また仕事を通してのやりがいや喜びなどについてお話をしていただいた。働くことだけでなく「人生観」についても話をしていただき、生徒も将来に向けて大切な時間となった。

 

○希望のチョコレート
株式会社明治様を招いて、チョコレートを通して明治が取り組んでいるSDGsの活動について講話をしていただいた。チョコレートという身近な食品を通じて、その向こうにある自然の恵みや歴史や国際協力について学んだ。私たちの身近にある一粒のチョコレート。そこには、ガーナでカカオ豆を作っている人々の希望や夢が詰まっていることを実感できた。また、グループワークを通して、自分たちにできる国際協力について考えた。

(旧)大牟田市立橘中学校

本校ESDの活動は、「発信!行動!交流!」をキーワードとして取り組んでいる。
特に①「環境、経済、社会」の面において持続可能な将来が実現できるような価値観と行動の変革をもたらすこと、②人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと、③他人・社会・自然環境との関係性を認識し、「かかわり・つながり」を尊重できる個人を育むこと、を目標としている。

地域の防災・減災について考えよう

1年生では、防災・減災学習に取り組んだ。
橘中学校のすぐ横には白銀川が流れており、令和2年7月の豪雨では、白銀川があふれグラウンドや周辺の道路、また体育館の床下まで浸水するなど大変な状況であった。生徒達の家や周辺の道路、橋なども被災し、連日市内の映像がテレビを通して流れるなど、生徒達の記憶にも残っている。
それらの経験をふまえて、防災対策室の方より講話をしていただき、白銀川調節池公園までフィールドワークをし、市が取り組んでいる水害対策などを学んだ。また防災グッズについて使い方や必要性について考え、災害情報をいち早く知るための手段や、心構えについて学んだ。学習した内容を「防災・減災ポスター」としてまとめた。

みんながゆっくり集える「たまりば」をデザインしよう

2年生では、OMUTA-BRIDGE様に協力していただき、子どもたちと地域の方々が対話しながら学習をすすめた。市役所の方やデザイン会社のデザイナー、SSWなど多くの人に講演をしていただき、一つの事に向き合っているが、多くの仕事が係わっていることを学んでいった。
生徒達は、講演を聴く中で少しずつ『みんながゆっくりできる「たまりば」』について考え、イメージを膨らませていった。校内の「たまりば」見つけと称したフィールドワークやGTと共に「たまりば」を練り上げていく課程を通して、自分だけでなく、周りと協調してくことの大切さに気づき、学習を深めていった。
最終的に、いくつかの模擬会社を設立し、自分たちが考えた「たまりば」をプレゼンした。

自分たちで「おもちゃを作り、乳幼児の遊び」を企画し、触れあおう!

この学習はキャリア教育の一環として行った。乳幼児との触れ合いを通して、自分たちのこれまでを振り返り、将来への展望を抱かせる。何歳児かによって、使えるおもちゃの違いを理解し、年齢にあったおもちゃづくりを行った。おやつづくりとして調理実習を行い、自分たちとの違いの理解を深めた。おもちゃを使った触れ合い活動・一緒に遊ぶ活動を企画し、役割分担し練習を重ねた。最後に保育実習を行い、実践の大変さ、臨機応変に動けるようになることの重要さなどを学んだ。

(旧)大牟田市立甘木中学校

本校は、実社会や実生活との関わりを重視した「生き方」に焦点をあて、キャリア教育を軸とした取組を行っており、各学年の発達段階に応じた体験活動を展開し、生徒に主体性や創造性を身につけさせることをテーマとしている。身につけたい力として、将来にわたって持続可能な発展に向けての知識や価値観をもち行動できる力、情報収集能力や分析能力、コミュニケーション能力の育成を目指すこととしている。具体的な活動として、①防災・減災 ②福祉 ③地域創生 ④将来をみつめる等の活動を行った。中学校3年間を通して、地域で体験し、地域のことを学び、地域で自分の将来を見つめることにより、よりよい生き方、よりよい人間関係を育み、また、自分の成長と地域の発展が密接に関係していることを考えさせ、この大牟田の将来を真剣に考える生徒を育てていきたい。

 防災・減災についての活動 (SDGs 11,13)

【第1学年】 「防災学習」~災害から命と暮らしを守る~

○学習のねらい
地域の地震のリスクを理解して、“率先避難者”、また“地域の呼びかけ人”として行動できるよう防災感覚を養う。
○具体的な学習内容
①身近な「危険」を知ろう
 大きな地震が起こる可能性や被害を知り、ハザードマップや実際の地形を見ながら身近な          危険について確認する。
②「ことば」が命を救う
非難の呼びかけについて、アナウンサーが普段心がけている「命を守る呼びかけ」を参考にグループでの交流を通して、実際に災害が起きたとき、誰にどんなことばで非難を促すのかを考える。

2 動物福祉についての活動 (SDGs 13,14,15)

【第1学年】 「動物福祉学習」

○学習のねらい
大牟田市が取り組んでいる動物福祉について理解し、その結果目指すところや社会における動物福祉の現状について理解を深めさせる。具体的には、動物が持つ本来の行動を発現できるように工夫された環境エンリッチメントについて知り、飼育動物の幸せな暮らしとは
何かについて考え、その発展的思考に、人と動物との関わりを含めた地域環境の課題を主体的に発見しまとめることができるようにする。
○具体的な学習内容
①大牟田市動物園に行き、園内の動物たちを観察しながら飼育環境の工夫について
話を聞き、「動物福祉」とは何かを知る。
②学習した内容を新聞にまとめる。

3 地域の福祉とキャリアについて考えの活動(SDGs 3,11)

【第2学年】「大牟田を支える人たちから学ぶ」

○学習のねらい
地場産業等の仕事を切り口に、地域や大牟田市を支える人たちの現状を知り、働くことの大切さ,大変さ、喜びなどについて学び、自らの生き方について考える。
○具体的な学習内容
①福祉「誰もが安心して暮らせるまち」
市内近郊の福祉施設からGTを招き、子どもの支援や高齢者や認知症支援について講話を聞いたり、認知症の方と対話をしたりすることで、自分にできることを考え、自己の将来の進路や生き方の選択に生かすための学習を行った。また、調べたことを互いに発表し市内近郊の福祉施設からGTを招き、子どもの支援や高齢者や認知症支援について講話を聞いたり、認知症の方と対話をしたりすることで、自分にできることを考え、自己の将来の進路や生き方の選択に生かすための学習を行った。また、調べたことを互いに発表して、自分の視野を広げた。

  

4 地域創生についての活動 (SDGs 8,9,11,12,17)

【第3学年】「アップサイクルプロジェクト」からの学び

○学習のねらい
前年度に学習した、不要になったものに新たな機能や価値を与えて再生するアップサイクル、『がっこうのともだちプロジェクト』のその後の経緯を知り、卒業後の進路や将来について考えを深めるとともに、郷土の発展に寄与する態度を育てる。
○具体的な学習内容
①がっこうのともだちプロジェクト(アップサイクル)の振り返り
廃校になって使わなくなった学校の備品の鑑定やアップサイクルのアイデア、商品としてのカタログ作成など、昨年の学習内容を振り返る。
②がっこうのともだちプロジェクトのその後
自分たちが出したアイデアから製品化された実際の物を見て、これまでの取組や経緯を知る。
③住み続けるまちづくり
街づくり活動とグリーンバードの取組から卒業後の進路や将来についての考えを深める。

5 将来を見つめる活動 (SDGs 8、17)

【第3学年】「高校訪問」

○学習のねらい
高校で実際に行われている授業や取組等を身近に体験することで、
高校に対する理解を深め、具体的な進路について考え、進路実現
のために現在の自分をみつめさせる。

○具体的な学習内容
・高校生活について
・体験授業①、②と高校生との交流
・部活動見学と学食体験

来年度の活動計画

(旧)大牟田市立田隈中学校

3 今後の活動計画
次年度は、新型コロナウイルス感染症に落ち着きが見えてきたので、以前のように少しずつ体験活動やゲストティーチャーを招いての活動を設定していきたい。

1学年は、防災・減災と福祉学習に係わる活動

防災学習では、さまざまな災害を想定した学習(SDGs3,8,11)

福祉学習では、GTを招いての車いす体験学習(SDGs3,10,17)

地域学習では、大牟田検定による学習(SDGs9,11)

2学年は、キャリア学習と世界遺産に係わる活動

キャリア学習では、GTを招いて講話や職場訪問の学習(SDGs8,9,11,17)

世界遺産・文化財学習では、京都での自主研学習(SDGs8,9,11,17)

地域学習では、大牟田検定による学習(SDGs9,11)

3学年は、進路学習と福祉事業に関わる活動

進路学習では、高校での授業の体験学習(SDGs4,8,9)

福祉学習では、幼児教育のGTを招いての体験学習(SDGs3,17)

地域学習では、大牟田検定による学習(SDGs9,11)

全学年とも、フラワープロジェクトを通して、地域とつながる活動(SDGs11,17)

(旧)大牟田市立橘中学校

令和6年度は、今年度の取り組みをもとに体験活動や探究活動に取り組んでいきたい。

1 3年間を通しての防災・減災教育・福祉教育・キャリア教育が系統的なカリキュラムになるように見直しを図っていく。

2 地域の「ひと・もの・こと」と関わりをもち、最大限活用できるようにしていく。

3 さまざまな体験活動や協働学習を促進し、子どもたちの能力を広げていく。

例)福祉体験学習として、絵本教室や高齢者擬似体験・福祉施設の訪問など

職場体験学習として、職場を訪問し、仕事とは何かを考えるなど

キャリア教育として、旅行会社社員として、京都の見学・体験ツアーの立案・パンフレット製作など

(旧)大牟田市立甘木中学校

次年度も実社会や実生活との関わりを重視した「生き方」に焦点をあて、キャリア教育を軸とした取組を行う。学校の特色を生かし、各学年の発達段階に応じた体験活動を展開し、継続的で創意工夫ある活動を計画する。具体的な活動として、全学年では人権学習や食育、ジェンダー平等教育を通して、人と人とのよりよい人間関係を構築し他者と協力する態度を育てる(SDGs 2,16,17)。また、1年生では防災・減災(SDGs 11,13)、2年生では世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等(SDGs 9,11)、3年生では、将来を見つめる(SDGs 8,17)等の活動を様々な人と関わりながら行っていく。そして、これらの学習を通して、持続可能な社会の創り手としての意欲と実践力を高めていきたい。