2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 気候変動, エネルギー, 環境, 国際理解, 持続可能な生産と消費, 食育, その他の関連分野

1 本校のESDで目指すもの

(1)ESDのねらい

面瀬川から気仙沼湾を学習フィールドとして身近な水辺環境をテーマにした観察や飼育,調査,研究,発表などの学習活動を通して,子供一人一人の自然環境への感性や主体的,創造的な態度を養う。また,他地域(海外を含む)との学習交流を展開する中で地域及び地球環境に対する理解を深める。

 

(2)本校のESDで育てたい資質・能力

・地球規模の環境問題や気候変動に関する基本的知識の理解

・批判的に考える力

・未来を予測して計画を立てる力

・多面的,総合的に考える力

・コミュニケーションを行う力

・他者と協力する態度

・つながりを尊重する態度

・進んで参加する態度

 

(3)改善した取組の概要(改善の視点や意図,改善の方向や計画,改善した内容など)

① 指導計画の更新

指導計画に沿って実践しながらカリキュラムの修正や改善に当たった。

新型コロナウイルス感染症拡大予防のために外部講師の招聘や校外での発表会が制約されることがあったが,ビデオ通話を使ったリモートでの授業(宮城教育大学,日本野鳥の会,JEAN等)やオンライン発表会(海洋教育こどもサミット,ユネスコスクール北海道・東北ブロック大会等)に参加し,活動を充実させることができた。

さらに,国際協働学習プロジェクト「ツバメ観察プロジェクト」に参加するなど海外との交流を取り入れ,学習活動を発展させた。

② 学習環境の整備

日常的に遊びを通して,自然環境や生き物と触れ合ったり,観察したりできるよう学校ビオトープを整備した。隣接の畑や草置場を含めて「オモトープ」と愛称を付け,自然に対する観察眼や気付きの感度を高めていった。児童は,湧き水と池の温度変化を継続して記録したり,メダカの繁殖やトンボの産卵,水生植物の繁茂などを目にしたりすることができた。

また,河川教育や海洋教育の実習で使用するWebカメラ,ワイヤレス温度計,顕微鏡用スマートフォン等のICT機器を整備し,活用した授業を工夫した。

③ 校内協力体制の確立

前年度までの指導の成果と課題,当該年度の指導資料をファイリングし,職員の誰もが閲覧できるようにした。また,デジタル資料室として学習フィールドの画像等を整備したりしている。

④  面瀬中学校とESDの取組について情報交換を行った。今後は,さらに相互理解を進め,学びの連続性や接続につなげていく。

(3)改善による成果

児童の自己評価や教師の見取りから,「多面的,総合的に考える力」「コミュニケーションを行う力」の高まりが見られた。これらは,①教科領域間の繋がりを重視した指導を行ったこと ②自然が身近に感じられ,日常的に観察できるビオトープ等の学習環境を整備したこと ③ICT活用やリモートでの授業を工夫し,児童に豊かな学びを提供できたこと ④対話や交流,発表の機会を効果的に設定できたことが要因と考えられる。

 

3 ESDで育む資質・能力の変容

知識理解や道徳的心情の涵養にとどめず,「行動」を伴う学びをつくっていくことで,児童が人間生活による環境負荷の削減を呼びかけたり,自らが生活習慣を改善したりしようとする様子が見られた。今後は,仲間と協働して地域社会に働きかける学習活動をさらに推進し,「未来を予測して計画を立てる力」(企画力)や「つながりを尊重する態度」「進んで参加する態度」(実行力)を高めていきたい。

来年度の活動計画

1 目標

身近な自然環境と日々の暮らしのかかわりに着目して横断的・総合的に学習を進めることによって,問題を自分事として受け止め,解決の方策を探ろうとする主体的,創造的な態度を養う。また,自ら課題を見つけ,探究的に学習を進めていくことによって,自ら考え,主体的に判断し,仲間と協働して,よりよく問題を解決するような資質や能力を育成する。さらに,学習成果をまとめたり発表したりすることによって,自分の思いや願いを伝える経験を重ねさせ,自己の生き方を考えることができるようにする。

2 方針

(1)学区を学習フィールドの中核に据え,環境教育,海洋教育等の探究的な学習を進める。

(2)高学年においては,交流学習によって国際理解教育の充実に努める。

(3)観察,調査,発表などの直接的な体験活動などの実体験を通した学びを重視する。

(4)校地内の環境整備に努めるとともに,学習フィールドの調査研究を進める。

(5)指導計画の見直しや新たな単元開発により,学習環境や状況の変化に対応した学習を行う。

(6)地域・大学・専門機関との連携を継続し,学習活動や学習プログラムの質を高める。

 

3 指導の重点

(1)自然や人とのかかわりを重視する。

(2)対象への思いや願いをもたせる。

(3)発表や提案などの output(outcome)の機会を位置づける。

 

4 学習の主な活動

1年「おもせのしき」

○ 四季を通した栽培活動や遊び,季節の行事等を通して身近な自然や人々とふれあい,地域のよさに気付き,地域に親しみをもつ。

 

2年「はっけんおもせ」

○ 季節の様子や自然,いきものを観察し,川や海の自然に進んで親しもうとする。まち探検を通して,地域の人と触れ合い,面瀬地域の様子や人とのつながりに気付く。それらを工夫して表現する。

 

3年「さぐろう 面瀬川の生き物のひみつ」

○ 面瀬川や面瀬地区ふれあい農園,学校ビオトープの生物調査や飼育観察を通して,多様な生物が生息する豊かな自然があることに気付く。調べたことや観察実験で発見したことを発信する。

 

4年「面瀬川調査隊」

○ 面瀬川源流や河口域に活動の場所を広げ,異なる環境の生き物調査を行う。環境汚染の実態を知り,水辺環境を守るためにできることを考え,実践し,学習成果を発表する。河口の学習をつないで,冬季は尾崎漁港でワカメ養殖を体験する。

 

5年「学ぼう ふるさと気仙沼の海」

○ 面瀬川が流れ込む気仙沼湾の多様な生き物を採集したり,川と海の境目について学んだりしながら,身近な海の不思議や豊かさを学ぶ。自分たちの生活と海の環境変化の関わりに気付き,豊かな海を守るための考えを実践し表現する。冬季は面瀬川河口に飛来する野鳥観察を通して,地球規模の環境保全の必要性につなげる。

 

6年「グレート・オモトープを守ろう つくろう」

○ 面瀬地区は,春には,東南アジアからツバメが飛来し,秋になるとアラスカまで回遊していたサケが遡上し,シベリアからコクガンが越冬のために飛来する。地球規模で移動する生き物たちが暮らす豊かな自然が残ってる場所である。地域の豊かさを調べ,その未来を考えながら,自然保全や人にも自然にもやさしいまちづくりなど,自分たちの思いや願いを発信する。学習成果を海外と交流しながら視野を広げる。