2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 持続可能な生産と消費, 貧困

本校では、生活教育を基盤とした問題解決的学習過程による授業を通して、子どもの問題解決力を高めている。その中で、ESDを「持続可能な社会の実現のための教育」と捉え、ESDの実践を通して、「問いをもつ力」「本質に迫る力」「学びを表現する力」「差異を把握する力」の四つの力を育むことを目標とした。

本年度の実践として、①持続可能なアフリカ諸国との関わり(1年)、②過去も未来も生きる家(3年)、③eスポーツから考える文化の多様性と国際理解(3年)の3点を紹介する。

①持続可能なアフリカ諸国との関わり~モザンビークにおけるプロサバンナ事業を通して~

子どもは、日本とアフリカの関わりについて調べる中で、この夏、モザンビークにおけるプロサバンナ事業が中止になったことを知った。JICAを中心となって進められてきた大規模農業開発が中止となった背景や原因に迫り、日本とモザンビークにとってWinWinな農業開発とはどのようなものかを追究した。JICAと日本アフリカ協議会双方の見解を知るために、テレビ会議を開き、取材を行った。JICAがモザンビークの農民を支援しようと努力していたことを認めつつも、もっとモザンビークの農業の実態を知り、農民一人一人と向き合う姿勢をもつべきだったと考えた。そして、日本が今後どのようにしてアフリカ諸国と連携していくかを模索し、日本とアフリカ諸国が共に豊かになる未来のあり方について考え始めた。

②過去も未来も生きる家(家庭分野)

近年増え続けているといわれる空き家に注目し、住まいの現状を調べる中で、「住まないけれど残したいという家をどうすべきか」という問題が見いだされた。追究を進める中で、子どもは空き家の価値に注目した。周囲への影響や新築へあこがれる風潮から、負のイメージが強い空き家ではあるが、地域に根付いてきた建物であることや、比較的安価に使用できるよさを積極的に認めていくことが大切だと考えた。そして、住まいを循環し、町が活性化されることでよりよい住環境が生まれると感じ、今後の生活を展望した。

③eスポーツから考える文化の多様性と国際理解

eスポーツを教材として取り上げ、「わたしたち日本人もeスポーツをスポーツとして認めるべきだろうか」という問題の追究を行った。子どもは、「多くの国でスポーツとして認識され、国際大会などの競技になろうとしている。日本でも早く普及に乗り出すべき」や、「新しい市場として大きなお金が動くので、機を逃してはもったいない」と考えた。追究を進める中で、「スポーツの理念」に着目した。eスポーツは、各国による文化の発展度や環境の違いで、競技の可否に大きな差が生じることに気づいた。「平等」という理念のもと、eスポーツをスポーツと呼べる日を目指して、日ごろから世界に目を向け、等しい文化の発展のために行動するべきだと実感した。

来年度の活動計画

私たちは、「よりよい社会を自分たちの手で実現したい」という夢を子どもに抱かせることで、「持続可能な社会」を現実のものとしていくと捉えている。そのためには、生活教育を基盤とした問題解決的学習過程による授業を通して、子どもの問題解決力を高めることが重要であると考える。

令和3年度においても引き続き、生活教育に基盤を置いていく。その中で、問題解決的学習過程による授業実践を展開していく。令和3年9月28日(火)には、本校にて、授業公開を開催し、9教科の授業を公開し、三河地区、愛知県内、更には全国へと広く実践を紹介していく予定である。