2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, エネルギー, 環境, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, 減災・防災, 健康, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

 本校では、生活教育を基盤とした問題解決的学習過程による授業を通して、子どもの問題解決力を高めている。その中で、ESDを「持続可能な社会の実現のための教育」と捉え、ESDの実践を通して、「問題を見いだす力」「問題の解決に向けて、自らの意志に基づいて行動する力」「自分の意見に偏らず、仲間と議論する力」「広い視野でよりよい方法を模索する力」の四つの力を育むことを目標とした。

 本年度の実践として、①死があたえるものから考える防災(1年)、②ふるさと福島から見る持続可能な生産と消費についての学習(2年)、③オリジナルエイサーから迫る健康・福祉(1年)の3点を紹介する。

① 死があたえるものから考える防災(1年)

子どもは、死は恐ろしいものであり、悲しみや苦しみといった負の感情しか生み出さないものだと感じている。短編小説「ハクモクレンが砕けるとき」(彩瀬まる)を通して、登場人物の死に対する認識の変化を読み取っていった。作品の中で「死」という言葉とともに表れる「きらきら」という言葉に着目したり、作者自身が東北での震災を経験する中で考えたことにふれたりする中で、作品が死を色濃く描くことで、対比的に存在する生の大切さを強調していることを読み取った。そして、自らの生活と作品をつなげていく中で、自分たちの生活の中での死という存在を見つめ直し、自分自身があたりまえに生きていることの素晴らしさを実感していった。
② ふるさと福島から見る持続可能な生産と消費についての学習(2年)

東日本大震災における原発事故の影響が色濃く残っている福島について、「福島は安心を取り戻せるのか」という問題の追究を行った。福島の食や住に関する安全についての追究や福島県飯舘村での現地視察等を通して、子どもは「安全ではあるが、安心は取り戻せていない」、「安心は取り戻せるかどうかではなく、何としても取り戻さなければならない」と考えた。そこで子どもは、震災前に、村をあげて生産に取り組みブランド化に成功した「飯舘牛」に着目し、飯舘牛の復活が飯舘村や福島県の復興につながるのではないかと考えた。そして、飯舘牛のパンプレットを作成したり、実際に試食できる模擬店を開いたりして、飯舘牛の魅力を広く発信した。
③ オリジナルエイサーから迫る健康・福祉(1年)

沖縄の盆行事の一つとして育まれたエイサーを教材として取り上げ、「学級でエイサーを極めていくためにはどうすればよいか」という問題の追究を行った。6人チームでエイサーの動きづくりを行い、子どもは「動きをチームでそろえ、ダイナミックなエイサーをつくりたい」「既存の動きをベースにして、チームでオリジナルの動きや隊形移動を加えていくことが大切だ」と考えた。追究を進めていく中で子どもは、エイサーが生まれた文化的背景にも注目し、沖縄の人の思いを感じながら演舞をすることが、エイサーを極めていくことにつながるのではないかと考えた。そして、学級でオリジナルエイサーをつくり、文化祭でエイサーの魅力を発信した。

来年度の活動計画

私たちは、「よりよい社会を自分たちの手で実現したい」という夢を子どもに抱かせることで、「持続可能な社会」を現実のものとしていくと捉えている。そのためには、生活教育を基盤とした問題解決的学習過程による授業を通して、子どもの問題解決力を高めることが重要であると考える。平成31年度においても引き続き、生活教育に基盤を置いていく。その中で、問題解決的学習過程による授業実践を展開していく。平成31年10月1日(火)には、本校にて、生活教育研究協議会を開催し、9教科の授業を公開する予定である。また、同時に実践紹介のまとめ冊子を配付し、三河地区、愛知県内、更には全国へと広く実践を紹介していく予定である。