2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 国際理解, 減災・防災, 世界遺産・地域の文化財等, 食育

本校は、「グローバル社会に生きる力の育成」を研究テーマとして、現代の予測困難な変化が伴う社会の様相が加速化される中で、「自立」と「共生」に向けて豊かな未来を切り拓いて生きることができる資質・能力を育成するために、現代的な諸課題を探究的に学ぶ新教科「探究科」の創設と実践を中心に本年の研究に取り組んできた。本研究は文部科学省研究開発指定2年目に当たる。既に20年以上「探究」「表現」「交流」を学習活動の柱とした「菊の子学習」の実践を展開し、国際理解、異文化間理解、また多文化共生、生物多様性、環境などの分野での児童の課題解決学習を継続してきたが、昨年度から新教科「探究科」として新たな視点で見直し、昨年開発した単元を実践すると同時に、新たに新しい単元の開発にも取り組んだ。本校でのこれらの取り組みはESDがめざす、「持続可能な社会作りの担い手を育む教育」と一致するものととらえている。また、これらの学習をトピック的な学習で終わらせるのではなく、1年生から6年生までの系統性の中で積み上げられるようカリキュラムを作成中である。本年度、「探究科」として新たに取り組んだ単元、①地域理解に係わる学習 ②生物多様性に係わる学習、また昨年度から継続し、学習の見直しを図りながら実践した③環境 ・エネルギーに係わる学習について報告する。

① 地域理解に係わる学習

・3年「大泉のハチは大泉のしあわせを運ぶ」という探究のテーマに沿って、ミツバチや蜂蜜、受粉について調べたり、養蜂家や農家をたずねて実際の仕事の様子を取材したり体験したりする。また、地元で作った蜂蜜を使っている洋菓子店の店主より、地産地消の意味や大切さの話を聞く。それらの活動を総合して、探究のテーマがどのような意味をもっているかを自分なりに考え、自分の考えやアイデアをビラにして、友達同士や保護者に伝える活動を行う。

②生物多様性に係わる学習

 ・5年「ぼく・わたしの生きものとの関わり方宣言」では「人間は生きものの命を左右して生きている」という探究のテーマに沿って、自分と生きものとの関係について自分なりの意味を形成する学習を進めた。まず、絶滅危惧種や食物連鎖などテーマと関わる内容で自分自身が興味をもった話題について情報を収集し、自分が食べている生きものについて目を向けていく。次に社会科の水産業の学習を基にして、「クロマグロが食卓に届くまで」についての調べ学習を進め、漁業関係者、市場関係者、また養殖業者など、生きものを「食べ物」に変える仕事に従事している人々の思いに触れる。さらに「変化」の過程について学習したことを基に、漁業以外でも食に関わる人間と生きもののつながりや、生活の中での生きものと人間の関わりなどについて自分の興味に沿って調べ「生きものとの関わり方宣言」を作成する。

③環境 ・エネルギーに係わる学習

 ・4年「自分の生活と水のかかわりを考えよう」では、理科的なアプローチで水の性質について、社会科的なアプローチで水を作る公共事業の役割(利用する仕組み)について学んだあと、個人やグループで新たな課題を見いだしそれについて実験や調べ学習、話し合いを積み重ねて追究していく。「水を上手に活用する」ことについての自分なりのアプローチの仕方を考え、水の性質を利用した省エネ対策や濾過の仕組み、また節水の仕方など生活に密着したテーマを選んで学習を進めることができた。また「水」だけに限定せず「資源」を大切にする視点も取り込むことで、節水とゴミの増加の関連や、食生活との関連等にも子どもたちの議論が発展した。

来年度の活動計画

①地域理解に係わる学習(環境学習・世界遺産や地域の文化財等に関する学習を
        含む)
・移動教室、地域におけるフィールド学習(フリータイム学習)3~6年

 移動教室で行く地域(富浦・箱根・日光)、学校周辺地域である大泉の歴史、文

化、自然環境、特産物などについて、自分が興味をもったテーマから課題を設定

し体験を通して追究活動を行い、問題解決や学びを深めていく活動。現地では、

専門家を指導者として依頼し、グループごとに体験活動を行い、活動後に成果の

発表会を行う。発表会には1つ下の学年を招き発表することで、児童は来年度に

向けての見通しをもつことができる。

・スポットガイド日光(6年)

 6年生移動教室で出かける日光東照宮(世界遺産)についてグループごとに調

べ、現地で飛び込み的に観光客(外国人を含む)に声をかけ東照宮についてのガ

イド活動を行う活動。英語活動で事前に使える英語を学習し、外国人観光客にも

積極的に声をかけるようにする。また、国際学級児童が海外で身に付けた外国語

を使って、活躍する場にもなる。

②国際理解に係わる学習

・東京韓国学校との交流学習(2年生)

本校は10年以上にわたり東京韓国学校との年間2回の交流授業間2回の交流

授業を行っている。1回は韓国学校へ出向き、遊び、文化体験をする交流、韓国

の遊び、文化(衣装などを着る)、民族舞踊を見せてもらう等の活動を行ってい

る。2回目は本校に招待。「日本の遊び、日本の食べ物紹介、餅つき大会」等を

行っている。交流に先立って、探究学習の一環として、「韓国ってどんな国?」

と児童に投げかけ、児童が韓国の文化や生活などについて自分が興味関心を持っ

たことについての調べ学習を行っている.そこで調べたことを基にして韓国学校

を訪問し、韓国の文化や遊び、韓国学校児童の学習の様子などに触れ、自分で調

べた事を体験したり、日本との違いを質問したりする。次に本校に招いて、日本

の文化や遊び、習慣などどんな事を伝えたらよいかを話し合い、準備をして、本

校での交流活動を行っている。

※上記の学習については既にカリキュラムとして定着し、20年以上本校で毎年継続して実践している。

③探究科の実践、カリキュラムの完成(全学年)

本年度紹介した実践を継続するとともに、カリキュラムの完成を目指して新単元

の実践を予定。

④研究発表会 2020年2月1日(土) 開催予定

 文部科学省研究開発指定(3年次)「新教科 探究科の創設」(仮)