2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解

本校は、20年以上「探究」「表現」「交流」を学習活動の柱とした生活科,総合的な学習である「菊の子学習」の実践を展開し、国際理解、異文化間理解、また多文化共生、生物多様性、環境などの分野での児童の課題解決学習を継続してきた。しかし、現代の予測困難な変化が伴う社会の様相が加速化される中で、「自立」と「共生」に向けて豊かな未来を切り拓いて生きることができる資質・能力を育成するために、「グローバル社会に生きる力の育成」を学校理念(研究テーマ)として、現代的な諸課題を教科横断的で探究的に学ぶ新教科「探究科」の創設と実践を中心に文部科学省研究開発指定3年目の研究に取り組んでいる。本校での取り組みは、ESDがめざす「持続可能な社会作りの担い手を育む教育」と一致するものと捉えている。また、そのような教育をトピック的学習で終わらせるのではなく、6年間の系統性の中で積み上げるカリキュラムを作成している。本年度、「探究科」として昨年度からの修正を加えて取り組んだ単元、①環境に係わる学習 ②生物多様性に係わる学習、③防災・気候変動に係わる学習、また、本校の全校児童集会において企画した、国際理解に係る取り組みを行っている卒業生の講演を通した教育活動について新たに報告する。

① 環境に係わる学習

・3年「生き物は周りの環境とつながりながら生きようとしている」という探究のテーマに沿って、ミツバチや蜂蜜、受粉について調べたり、練馬区の養蜂家や農家をたずねて実際の仕事の様子を取材したり体験したりした。また、地元で作った蜂蜜を使っている洋菓子店の店主より、地産地消の意味や大切さの話を聞くことができた。それらの活動を総合して、地域の地形や気候などを知り,生き物が周りの空間とつながって生きようとすることについての価値観を考えることができた。
② 生物多様性に係わる学習

・5年「生き物のよりよい成長が私を育む」では「自分はたくさんの命に支えられて成長する存在である」という探究のテーマに沿って、自分と生きものとの関係について意味形成する学習を進めた。まず、絶滅危惧種や食物連鎖などテーマと関わる内容で自分自身が興味をもった話題について情報を収集し、自分が食べている生きものについて目を向けていく。次に社会科の水産業の学習を基にして、調べ学習を進め、漁業関係者、市場関係者、また養殖業者など、生きものを「食べ物」に変える仕事に従事している人々の思いに触れる。さらに「変化」の過程について学習したことを基に、漁業以外でも食に関わる人間と生きもののつながりや、生活の中での生きものと人間の関わりなどについて自分の興味に沿って調べ「生きものとの関わり方宣言」を作成した。

③ 環境 ・エネルギーに係わる学習

・4年「水はつなげる心でめぐる」では、理科的なアプローチで水の性質について、社会科的なアプローチで水を作る公共事業の役割(利用する仕組み)について実際に下水処理場の見学なども含めて学んだあと、個人やグループで新たな課題を見いだしそれについて実験や調べ学習、話し合いを積み重ねて追究していく。「水を上手に活用する」ことについての自分なりのアプローチの仕方を考え、水の性質を利用した省エネ対策や濾過の仕組み、また節水の仕方など生活に密着したテーマを選んで学習を進めることができた。また「水」だけに限定せず「資源」を大切にする視点も取り込むことで、節水とゴミの増加の関連や、食生活との関連等にも子どもたちの議論が発展した。

④ 国際理解に係る教育

・1~6年「先輩のお話をもとに国際理解について考えよう」
 本校では,毎年、学校の開校記念に係る行事の中で,本校の卒業生からのお話を聴く機会を設定している。本年度は、本校在学時における探究的な学習をきっかけに国際理解や世界平和について関心を持ち、学生時代から在日の各国大使館へ取材活動を進めてきた卒業生のお話を聴く学習を行った。近年、自然災害が多い日本に各国からの多くの支援があるが、日本が海外の方々からどのように認識されているか、その背景にある日本がこれまで行なってきた世界各国への取り組みの事例をもとに、世界平和のためには「感謝で日本と世界をつなぐことではないか」というメッセージを先輩の生き方から学びとることができた。

来年度の活動計画

①地域理解に係わる学習(環境学習・世界遺産や地域の文化財等に関する学習を含む)

・フリータイム学習(3~6年生)
移動教室、地域におけるフィールド学習(フリータイム学習)3~6年生移動教室で行く地域(富浦・箱根・日光)、学校周辺地域である練馬区大泉の歴史、文化、自然環境、特産物などについて、自分が興味をもったテーマから課題を設定し体験を通して探究活動を行い、問題解決や学びを深めていく活動。現地では、専門家を指導者として依頼し、グループごとに体験活動を行い、活動後に成果の発表会を行う。発表会には保護者や1つ下の学年を招き発表することで、児童は来年度に向けての見通しをもつことができる。

・スポットガイド日光(6年生)
6年生が移動教室で出かける日光東照宮(世界遺産)についてグループごとに調べ、現地で観光客(外国人を含む)に声をかけ、日光東照宮周辺についてのガイド活動を行う活動。英語活動で事前に使える英語を学習し、外国人観光客にも積極的に声をかけるようにする。また、国際学級児童が海外で身に付けた外国語を使って活躍する場にもなっている。

① 国際理解に係わる学習

・東京韓国学校との交流学習(2年生)

 本校は20年以上にわたり東京韓国学校との年間2回の交流授業を行っている。1回は東京韓国学校へ出向き、遊び、文化体験をする交流、韓国の遊び、文化(衣装などを着用)、民族舞踊を見せてもらう等の活動を行っている。2回目は本校に招待。「日本の遊び、日本の食べ物紹介、餅つき大会」等を行っている。交流に先立って、探究学習の一環として、「韓国ってどんな国?」と児童に投げかけ、児童が韓国の文化や生活などについて自分が興味関心を持ったことについて調べ学習を行っている.そこで調べたことを基にして韓国学校を訪問し、韓国の文化や遊び、韓国学校児童の学習の様子などに触れ、自分で調べた事を体験したり、日本との違いを質問したりする。次に本校に招いて、日本の文化や遊び、習慣などどんな事を伝えたらよいかを話し合い、準備をして、本校での交流活動を行っている。

※上記の学習については既にカリキュラムとして定着し、20年以上本校で毎年継続して実践している。

③探究科

本年度紹介した実践を継続するとともに、国際バカロレアPYPの理念を取り入れたカリキュラムの開発とその完成を目指して新単元の実践研究をする。

④研究発表会 2021年1月30日(土) 開催(予定)

 文部科学省研究開発指定(4年次)「新教科 探究科の創設」

 ~国際バカロレアPYPの理念を取り入れたカリキュラム開発~