2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 環境, 持続可能な生産と消費

大谷中学校では,ふるさとのために私たちにできることをしようという思いから「ふるさとを知り,ふるさとを愛し,ふるさとを創る心を育てる」をテーマに環境保全活動を行っている。

ESDを地域の自然や環境,暮らしを守り,持続可能な地域づくりに貢献するものと捉え,ESDの実践を通して地域の課題を見いだし他者と協調しながら,その課題解決に取り組む力の育成を目標とした。

具体的には,大谷の森,大谷の海,ふゆみずたんぼを柱に,①松枯れに関わる活動,②海に関わる活動(海とマイクロプラスチックの関係),③磯焼けとウニの調査(磯焼けの防止とウニの養殖),④ふゆみずたんぼに関わる活動を行った。

① 松枯れに関わる活動
「大谷の森」に関する活動として,学校周辺での木の種類調査や観察,地域での松林の下草刈りを行った。今年度は大谷中学校の学校林を活用するにはどうするかを考え,学校周辺の製材所に訪問して,木材の加工の仕方などを学び,加工に適している木々が学校周辺にどれくらいあるかを調査した。松林は防潮林や魚付き林としての役割を果たしていることから,今年も地域の方々の協力を得て除草作業を実施した。この活動を継続し,地域の自然環境を自分たちの手で守る意識付けを行っている。

② 海に関わる活動
 海に関する学習として,海のゴミについて調べ学習を行った。大谷中学校周辺にどのくらいの量のプラスチックが投棄されているか調べた。また,海岸の砂浜へ行き,漂着したゴミの調査,海水を採取しその中に含まれているゴミ(マイクロプラスチック)の観察や大谷からとれた魚を解剖し胃の中を顕微鏡で調べるなどの活動を行った。大小様々なゴミが確認された。今後さらにゴミが増え続けることが予想され,どうしたらゴミを減らせるのか考える良いきっかけとなった。生徒会活動を通して自分たちでできる取り組みは何かを考え,生徒集会を利用して全校に呼びかけることができた。

③ 磯焼けとウニの調査
 7月に行われた環境講話では,磯焼けの専門家である南三陸自然環境センター阿部拓三先生による大谷の磯焼けの現状や世界規模で起きている海水温の上昇などについて講話をいただいた。その後,採取したウニを解剖し,磯焼けによって生じた商品価値のないウニを観察した。生殖巣がやせ細り,私たちが普段食べている実の部分が全く成長していない現状を目の当たりにした生徒は興味深そうに学んでいた。そこから,「商品価値の高いウニを育てるにはどうするか」という課題を見付け,養殖することにたどりつき,キタムラサキウニやバフンウニなどの飼育を通して,実入りをよくする食べ物を調べた。

④ ふゆみずたんぼに関わる活動
 3年生は「ふゆみずたんぼ」との関わりを中心に田植えから収穫まで農作業を通しての体験学習を行っている。水田の生物の生態調査などを行った。稲刈り後は,たんぼに水を張り,藁やワカメの茎を蒔くことで,小さな生物が生息し,土を肥やしていく。無農薬・有機栽培で育てた米をPTAの協力のもと,全校生徒でいただく収穫祭を行っている。稲を鳥の被害から守るため,案山子の製作も行った。

来年度の活動計画

総合の年間指導計画に沿って環境保全活動を継続していく予定である。

3つのテーマである「大谷の森」「大谷の海」「ふゆみずたんぼ」の3本柱で進めるが,内容は,総合や海洋教育主任を中心に検討し,生徒がより興味を持ち,意欲的に活動できるものにする。「大谷の森」については松枯れの調査や対策の他に,地域の樹木の種類を調査し,木の活用について考えさせる。「大谷の海」に関しては,大谷漁協の協力を得ながら,カジメの種付けや海藻の養殖を通して磯焼けの具体的な対策を模索していきたい。また,ウニの飼育を継続して行い,商品価値のあるウニを育てる。ゴミについての環境調査なども行い,マイクロプラスチックによる影響についても継続して調査を行っていきたい。「ふゆみずたんぼ」については,米作りを通して,環境問題や稲作文化の歴史などテーマを設定し意欲的に活動できるものにする。