2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等

美濃地方の地犬である美濃柴犬は、古くから狩猟犬として人々とともに暮らしてきた。多くの特徴の中でも、非赤色の美しい毛色が、最大の魅力であるといえる。また、狩猟犬としての性質から、身体能力の高さと、忠実な性格から、番犬としても重宝されてきた。そんな美濃柴犬は、1936年に文部省から国の天然記念物に指定された。

地域の人々に愛されてきた美濃柴犬だが、第二次世界大戦を境に、その数は急激に減少した。戦時中の食料・毛皮への利用や、多種との交雑などが行われた結果、一時は絶滅の危機にまで陥ることとなった。

これに危機感を感じ、美濃柴犬を守っていこうとする人々が現れ、2012年4月23日に美濃柴犬の保存会を発足させた。山県市平井に美濃柴犬の里を設立し、繁殖活動への参加や、飼育方法の伝授の活動等に、積極的に取り組んだ結果、現在は約300頭程度にまでその数を増やすことの成功している。

しかし、美濃柴犬は未だ認知度が低く、美濃地方に住む人々ですら存在を知らないということも珍しくない。私は、入学して初めて美濃柴犬に出会い、その魅力に触れる中で、美濃柴犬の未来を守り、再び多くの人にその存在を知ってもらいたいと考えるようになった。そこで初代美濃柴犬研究班の先輩方が2019年10月31日に、生後48日の「椛号」・「杏子号」を導入し、美濃柴犬の種の保存を目的として活動を開始した。

美濃柴犬はもともとの繁殖能力が低く、1回の出産頭数は平均1~3頭と、ほかの犬種よりも少ない。また、美濃柴犬本来の特徴をより強く残すために、優秀な雄犬との交配が積極的に行われており、現状、遺伝子が近くなりすぎている傾向にある。近親交配を繰り返すと、遺伝子疾患や、不妊の可能性が上昇してしまうなど、種の保存に取り組むにあたり、様々な問題を抱えている。

そこで、2代目美濃柴犬研究班の先輩方が、情報が少ない美濃柴犬の繁殖データを集めるため、「椛号」・「杏子号」のスメア検査を行った。そして、得られた繁殖データから交配適期を把握し、交配相手のもとで繁殖を行った。

来年度の活動計画

継続した研究になるが美濃柴犬とともに「種の保存」というテーマと目的をもとに次年度は本校で飼育する「木曽馬」を活用して地域の児童生徒を対象とした障がい者乗馬を現在、計画中である。