2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 文化多様性, 国際理解, 平和, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

今年度も学校設定科目「Global FUKUSHI Studies ⅠⅡⅢ」(以下、GFSと表記)において、SDGs・ESDの課題を中心に据えた探究学習にすべての学年で取り組んだ。日常の教科での学びと探究活動を結びつける一つの工夫として、1年生では「それぞれの教科をなぜ学ぶのか」をともに考えながら、その学びに基づいた課題図書を読み、そこから自分自身の問いを生み出す取り組みを行った。この問いを次年度の探究活動へと結びつけていく予定である。3年生の授業では、昨年度に引き続き、今年度も日本福祉大学と連携した授業を実施した。専門的な研究に基づいた大学の先生方の講義をもとに更に知識を増やし、他の課題と結びつけて、広く、深く考える力を育成することができた。

特別活動の分野では、生徒会執行部を中心とした震災・災害復興支援の募金活動、国際協力部による陸前高田市への支援活動など、復興支援に関わる活動を継続して行うことができた。ただし、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、和太鼓部の東日本大震災被災地支援活動や例年、学校全体で取り組んでいる防災教室の取り組みは行うことができなかった。平和学習についても同じく、広島平和フィールドワークおよび沖縄への修学旅行も中止に追い込まれ、極めて残念な結果となった。

部活動においては「ONE Action Plan」が3年目の取り組みの年度を迎えた。「部活動の中にボランティア活動を位置づけ、社会貢献力のある学校になる」ことを目標に、今年度も全部活でその取り組みを進めた。今年度は特に野球部・サッカー部の小学校・中学校での部活支援の取り組みが注目を集めた。

フィリピンのシライインスティテュート校(姉妹校)・台湾の高雄市鼓山高級中学校との交流は、今年度はSNSを通しての取り組みとならざるを得なかった。実際に会うことはかなわなかったが、ICTの力を最大限活用し、日本福祉大学や立命館大学が中心となって開催する「World Youth Meeting(WYM)」にチームを組んで出場するとともに、台湾で開催された「Asian Students Exchange Program(ASEP)」にも参加した。SDGsの課題に関わる協働課題探究、プレゼンテーションに取り組み、互いの母国語を超えて、共通言語である英語を通して互いの考えを発信し、意見を構築する面白さを生徒たちは学びとることができた。ただし、同時にSNSを通して行うコミュニケーションに必要なスキルやマインドセットの獲得など、新たな課題も見えてきた。そのことを今年度の収穫とし、次年度の研究課題に据えていきたい。

これからも建学の精神である「人間の尊厳を大事にする」ことにつながる学びが意味するものは何かということに常に視点をおいた活動を大切にしていく所存である。

来年度の活動計画

これまでと同じく、本校のユネスコスクールとしての取り組みは次の3つを活動の柱とする。

1.学校設定科目「GFS」を通して探究活動を推進する。

2.国内・海外研修を活用したESDに関わる学習・活動を推進する。

3.部活動・委員会を通したESD活動への取り組みを推進する。

ただし今年度、「新型コロナウィルス感染拡大に伴う新しい社会の形成」に関わる社会的課題にどのように対応していくのかが新たな問題として浮かび上がってきた。様々な社会的制約の中で、これまでと同様の取り組みや発想では縮小の方向にならざるを得ない。今年度の取り組みのまとめでも触れたが、こうした状況だからこそ、見えてくる課題や習得すべきマインドセット・スキルがある。そうしたものを明確にし、新たな活動の拡大を図っていくことが大事だと認識をしている。

この社会の変化を踏まえて、改めて、ユネスコスクールとしての本校の学びや取り組みの全体像を明確にする。各教科の学びや学校行事をはじめとする特別活動とSDGs・ESDの課題をどのように具体的に結び付けていくのかも重要な課題である。こうした課題認識に基づきながら、設定した課題に対して、高校生としての解決策・取り組みを提言・実行・発信していく力を育成する仕組みづくりを行っていきたい。

一つ一つの取り組みが生徒の成長や将来と結びついたキャリア形成に有意義な働きをするものとなっていくことを目指すとともに、自分たちの住む地域社会、姉妹校のあるフィリピンをはじめとする世界に向けて、自らの学びを積極的に発信し、協働的に実践する力を養っていくことを目指す。