所在地 〒395-0701 下伊那郡根羽村80
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加盟年 2025

2025年度活動報告

活動分野

生物多様性, 海洋, エネルギー, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 人権, 持続可能な生産と消費, 食育

根羽学園の活動方針

根羽学園では、ユネスコスクールが掲げる「持続可能な社会の担い手の育成」という理念を教育活動の根幹に据え、義務教育学校の特性を生かした9カ年一貫の教育を行っている。生活科・総合的な学習の時間を中心に、「自分の考えを持ち、その考えをもとに具体的な行動ができる人」の育成を目標としてカリキュラムを編成し、知識の習得にとどまらず、実社会と結び付いた学びを大切にしている。

9カ年を通して特に重視しているのは、人とつながる「協働」の視点である。これは、多様な人々と関わりながら課題を解決していく力を育てるという、ESDの考え方と深く関係している。子どもたちは、地域の方々や外部の人材との対話や協働を通して、自分とは異なる考えに触れ、相互理解を深めながら、自らの考えを広げている。

学習は「体験」を軸とし、前期課程・後期課程を通して「探究的な学びのサイクル」が継続的に生まれるよう構成している。前期課程では、根羽村という身近なフィールドを生かし、自然や人、文化との関わりを通して課題を見いだす学びを行っている。後期課程前半では学びの場を村内外へと広げ、より多様な価値観や社会の仕組みに触れることで、視野を広げている。さらに後期課程後半では、これまでの学びや経験を基に、課題を自分事として捉え、よりよい社会の実現に向けて考え、行動しようとする姿勢を育んでいる。

こうした取組を支える体制として、根羽村では「地域・ICTコーディネーター」を配置し、学校に常駐してもらっている。地域資源や人材を有機的につなぎ、ICTを効果的に活用することで、9カ年を見通した計画的な学びや、学校の枠を超えた実社会との協働的な学習が可能となっている。この体制は、ユネスコスクールが重視する「学校と地域・社会との連携」を具体的に実現するものとなっている。

本校の取組は、SDGsの目標のうち、4「質の高い教育をみんなに」、8「働きがいも経済成長も」、11「住み続けられるまちづくりを」、15「陸の豊かさを守る」を重点としている。地域の環境や産業、人の思いに触れる体験的な学びを通して、持続可能な社会の実現に向けて自ら考え、他者と協働し、行動する力を育成することを目指しており、これはユネスコスクールの理念そのものと合致する取組である。

各学年の活動

3~9年生による河川清掃・2年生による潮干狩り

河川清掃は、みどりの少年団の活動の一環として、毎年6月と11月に根羽村を流れる矢作川周辺で行っている。3年生から9年生までが協力して取り組む活動であり、「自分たちの住んでいる村は、自分たちできれいにする」という意識とともに、矢作川の下流域で生活する人々の暮らしを守るという思いを大切にしている。清掃活動を通して、身近な環境を守ることが、流域全体の環境保全につながっていることを実感し、地域や社会とのつながりを意識した学びとなっている。

また、矢作川に関わる活動の一つとして、低学年が参加する潮干狩りがある。この活動は、矢作川沿岸水質保全対策協議会(矢水協)の企画により、矢作川上流域にある小学校が招待され、矢作川が流れ込む海岸で行われる行事である。40年以上にわたって続いている取組であり、川と海のつながりを実体験として学ぶ貴重な機会となっている。潮干狩りを通して、矢作川をきれいに保つことが海の豊かさにつながっていることを肌で感じることで、河川清掃への意識や環境を守ろうとする態度の育成へとつながっている。

関連するSDGs:4「質の高い教育をみんなに」、11「住み続けられるまちづくりを」、14「海の豊かさを守ろう」、15「陸の豊かさを守る」

3・4年生による「根羽で働く人・根羽に住む人に会いに行く」活動

3・4年生は、根羽村についての理解をより深めることを目的に、「人」に焦点を当てた学習活動に取り組んだ。根羽村に移住してきた人、移住を支える人、根羽で働く人など、さまざまな立場の方々に会い、それぞれの思いや考えを聞くことで、根羽村についての見方を広げることができた。

根羽で働く人の話を聞くことで、仕事の内容や役割について理解を深めることができた。また、根羽を選んで働いている人の話から、村内の視点だけでなく、村外から見た根羽村の良さや魅力に気付くことができた。体験的な活動を取り入れることで、子どもたちは楽しみながら学習に取り組み、仕事の大変さややりがいについても実感を伴って学ぶことができた。この活動を通して、人との関わりの中で地域を知り、地域への関心や愛着を高める学びとなっている。

関連するSDGs:4「質の高い教育をみんなに」、8「働きがいも経済成長も」、11「住み続けられるまちづくりを」

5・6年生による根羽の自然を生かす活動(米づくり)

5・6年生は、根羽村の自然を生かした学習として、地域の方に協力していただきながら、一年を通して米づくりに取り組んだ。田植えや稲刈りなどの体験活動では、「もっとやりたい」という声が上がるなど、意欲的に活動に参加する姿が見られた。また、日々の観察活動では、「お米の様子を見に行こう」と自発的に声を掛け合う姿が見られ、稲の生長を身近なものとして捉えている様子がうかがえた。収穫後には、「少しでも多く持って帰りたいから、学校ではあまり使いたくない」と話す児童もおり、自分たちで育てた米に対する愛着や大切にしようとする気持ちが育っていることが感じられた。

米づくりの体験を通して、児童は米がどのように育てられているのかという理解を深めるとともに、米作りに携わる地域の方々の思いや努力に触れることができた。自然の恵みと人の営みのつながりを実感する学びとなっている。

関連するSDGs:4「質の高い教育をみんなに」、11「住み続けられるまちづくりを」、12「つくる責任 つかう責任」、15「陸の豊かさを守る」

7年生による林業体験学習

7年生は、森林組合の方と連携し、「木育」をテーマとした林業体験学習に取り組んでいる。学習では、森林の管理の仕方や森林と防災との関係について、講義やワークショップを通して学ぶとともに、植栽や伐採などの体験活動を行っている。

森林組合の方を講師として迎え、実際の仕事や思いに触れることで、森林が地域の暮らしや産業、防災と深く結び付いていることを理解することができた。小さなころから身近にあった森林を、新たな視点で捉え直すことで、根羽村の取組やよさを再認識する学びとなっている。この活動は、地域資源の価値を学び、将来にわたって森林を守り活用していくために何ができるかを考える機会となり、持続可能な社会づくりにつながる実践である。

関連するSDGs:4「質の高い教育をみんなに」、11「住み続けられるまちづくりを」、13「気候変動に具体的な対策を」、15「陸の豊かさを守る」

7年生による職場体験学習

7年生の職場体験学習では、根羽村の外に出て、さまざまな職場で体験活動を行っている。これまであまり接する機会のなかった社会人との関わりを通して、働く人の姿勢や思いに触れ、自分自身の将来や生き方について考える学習となっている。体験に先立ち、生徒たちは「『働く』ということがどのようなことか」という問いを持ち、インタビューやキャリアトークに取り組んだ。事前に課題意識をもつことで、積極的に働く大人との関わりをもち、自分たちも職場の一員として関わろうとする姿勢を育てている。

この学習を通して、生徒は社会とのつながりを実感するとともに、自分の成長に向けた課題を見いだし、主体的に学び続ける態度を養っている。

関連するSDGs:4「質の高い教育をみんなに」、8「働きがいも経済成長も」、11「住み続けられるまちづくりを」

8年生による「木を蒸溜して作るアロマオイル」

8年生は、「根羽村に自分たちが貢献できることはないか」という思いをもとに、地域資源である根羽の杉を活用した取組について探究を進めている。その中で、生徒たちは木の新たな価値を生み出す方法として「蒸溜」に着目し、この手法を生かした商品づくりを構想した。

根羽村の特産である杉を活用することで、地域に貢献できる取組につながると考え、蒸溜の専門家を講師として招き、蒸溜の仕組みや工程、安全面への配慮などについて指導を受けた。生徒たちは、木の香りや成分がどのように抽出されるのかを学び、森林資源の新たな活用の可能性について理解を深めている。

今後は、実際にアロマオイルの制作を行い、地域の方や関係者からさまざまなフィードバックをもらいながら、商品としての完成度を高めていく予定である。この活動を通して、生徒は地域資源の価値を見直し、持続可能な形で地域に貢献する方法を主体的に考える力を育んでいる。

関連するSDGs:4「質の高い教育をみんなに」、8「働きがいも経済成長も」、11「住み続けられるまちづくりを」、12「つくる責任 つかう責任」、15「陸の豊かさを守る」

9年生による「根羽の木を使ったケーキづくり」

 

9年生は、8年生の時から「根羽の魅力を多くの人に知ってもらうために、自分たちにできることは何か」という問いをもとに探究活動を進めてきた。地域の方への取材や調べ学習を重ねる中で、根羽村の森林資源に着目し、「木を食べることができる」という新たな視点を得たことをきっかけに、「根羽の木を使ったケーキづくり」という活動が始まった。

活動では、プロのシェフに協力をいただき、学園周辺で採れる杉やヒノキ、クロモジなどを活用したケーキづくりに挑戦した。試作したケーキは、先生方を中心に試食していただき、味や香り、見た目について感想をもらうことで改善を重ね、ケーキづくりの技術や完成度を高めていった。3月には村内での販売を行い、実際に商品を届ける経験を通して、調理や衛生管理、価格設定、接客など、販売において重要な点を生徒自身が考えることができた。その後、11月に2度目の村内販売を実施し、これまでの学びを生かした取組へと発展させている。現在は、集大成として3月に予定している村外販売に向けて準備を進めている。

この活動を通して生徒たちは、自分たちが根羽村のためにできることを考え、地域の人や資源、社会とつながりながら学ぶ経験を積むことができた。地域資源を生かした持続可能な取組として、ESDの理念に基づく実践となっている。

関連するSDGs:4「質の高い教育をみんなに」、8「働きがいも経済成長も」、11「住み続けられるまちづくりを」、15「陸の豊かさを守る」

来年度の活動計画

今後の改善方策(ESDの視点から)

今後は、各学年・各活動で積み重ねてきた学びを、9カ年一貫の流れの中でより明確につなげていくことを目指す。探究の過程や成果を記録・共有する仕組みを整え、前の学年での学びを次の学年が引き継ぎ、発展させていけるようなカリキュラムの可視化を進めていく。そのことで、子どもたち自身が自分の学びの積み重なりを実感できるようにしていきたい。

また、体験活動を通して得た気付きや学びを、SDGsや社会的課題とより意識的に結び付けるため、振り返りの場や対話の時間を充実させていく。学習の中で「なぜこの活動を行うのか」「この学びは社会とどのようにつながっているのか」「自分はこれから何ができるのか」を言語化する機会を設けることで、学びを次の行動へとつなげる力の育成を図る。

さらに、地域との連携を一層深めるために、これまで関わってきた人材に加え、多様な立場の人々との協働の機会を広げていく。地域・ICTコーディネーターと連携しながら、学校と地域が相互に学び合う関係を築き、継続的で持続可能な連携体制の充実を目指す。

これらの改善方策を進めることで、根羽学園のESDをより質の高いものとし、子どもたちが持続可能な社会の担い手として、自ら考え、協働し、行動できる力をさらに育んでいきたい。

過去の活動報告