2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権, 持続可能な生産と消費

幼児が大人になった社会では、グローバル化の進展とAIの進出により、自ら課題意識をもち、仲間と考え、探求し、創造していく力が求められる。これまで保育の柱としてきた「自尊感」「からだ力」に加え、2019年度より「思考力」を育むために、子どもたちが探求し思考する姿に着目し、日々保育実践と研究を重ねている。豊かな自然環境と歴史遺産に恵まれた地の利を活かし幼児期に育てたい資質・能力をベースにESD実践を行っている。

具体的には、①世界遺産・地域の文化財に係わる活動、②環境に係わる活動、③人権や国際理解、持続可能な生産と消費に係わる学習を行った。

① 世界遺産・地域の文化財に係わる活動

・「世界遺産すごろく」をつくって遊ぶ(2018年度1月)<5歳児>

本園では卒園までに、奈良公園、若草山、大仏殿、二月堂、鏡神社、奈良町(元興寺、ならまち資料館など)など園の近くにある世界遺産や地域遺産を訪れている。事前に学んでから出かけたり、事後にその場所や体験に関連する活動をしたりしているので、それぞれの場所に親しみをもっている。2018年度は集大成として、これまで訪れた場所で体験したことや感じたことをマスのコメントにして、4,5人のグループに分かれて相談しながら「世界遺産すごろく」を作成した。友達と遊んだり、家庭に持ち帰ったりしたことで、より親しみや愛着をもち、その気持ちの定着につながった。

② 環境に係わる活動
・奈良の鹿のためにゴミを拾う(2019年度11月)<5歳児>
5歳児クラスの子どもたちが「ゴミはあかん」のポスターから、死んだ鹿のお腹から3.2キロものプラスチックゴミが出てきたことを知り、鹿のためにゴミを拾いたい気持ちが芽生えた。東大寺二月堂に遠足に行く際にゴミを拾いながら歩いたことで、拾ったゴミの量や種類の多さ、ゴミが落ちているのが人目につかない場所であったことなど、様々なことを感じ、ゴミへの関心を高めることができた。

③ 国際理解、人権、持続可能な生産と消費に係わる学習
・「エコキャップ」運動について
奈良教育大学ユネスコクラブと共に
(2019年度12月)<全園児・保護者>
終業式に、全園児と保護者を対象にこれまで取り組んできていた「エコキャップ運動」の活動の内容を詳しく聞く機会をつくった。これまでの自分たちの行動が、同じ世界で暮らしている子どもたちのためになっていることや、自分たちの生活が当たり前ではないことを知ることができた。保護者の意識や価値観を変えるきっかけにもなり、子どもたちの意識や行動の変容につながることが期待される。

来年度の活動計画

・活動の継続と見直しを行う

今年度の様々な活動を振り返り、ESDの視点で教育課程の見直しを行う。

・保護者への啓発の機会をもつ

  大学教員に来てもらい、ESDやSDGsについての講話の機会をつくり、保護者にも意識や行動を変えるきっかけをつくる。

・幼児期に育みたい資質・能力から、幼児期のESDで育みたい資質・能力を探っていく

  現在の「思考力」の研究をベースに、目の前の子どもの姿から、育てたい資質・能力を探りESDとの関連性にも迫る。

・ESDについての職員研修の位置づけを検討する

ESD担当職員が研修で得た知見を報告し、保育に取り入れられる見方や考え方を研究にも反映させたりする。

・ESDにかかわる保育実践を発信する
実践発表の機会があれば、積極的に発信するようにし、様々な方と意見
交流をする。