2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権, 持続可能な生産と消費

 本校は2014年度まで「ESDの理念に基づく学校づくり」を研究テーマとし、ESDを学校教育の重要な理念と捉え、その実践を通して、持続可能な社会作りのための担い手の育成を目標としてきました。現在まで学校の研究主題は変遷していますが、すべての教育を有機的につなごうとする「ホールスクールアプローチ」を基本として、全教科と領域にわたる取り組みを行うことを継続しています。ここではその中から、主なものについて紹介します。

①地域の伝統文化(世界遺産)に係わる教育
本校では、半世紀前から奈良の文化財を巡るフィールドワーク(奈良めぐり)を行ってきました。親しみのある寺社や史跡は、その後世界文化遺産に登録され、「奈良めぐり」の取り組みは世界遺産学習として実践してきました。本年度はこれまでの取り組みをリニューアルし、1・2年生を縦割りで8班に分け、世界遺産だけではなく、奈良町、春日山原始林、近郊の農家、観光地などをフィールドにして、産業、歴史、文化、景観、食材などさまざまなテーマに分かれて活動を行いました。地域の人々やNPOの方々とつながったり、実際に体験したりすることを通じて、知っていたはずの奈良について新たな発見と深い学びを得ることができ、これからの奈良についても考えを巡らせることができました。
②人権・平和に係わる教育
「平和のつどい」は、1987年に生徒会の発案の取り組みとして始まりました。これは、本校ESDの中核をなす平和学習の一つとして、生徒主体で取り組んでいます。本年度は、「平和をつくる人材となるために平和をつくる人々の取り組みを学ぶ」ことをねらいとして、NGOピースボート、ICANから講師を招聘して講演会を開催しました。そこでは、ポジティブに社会を変えていくために、世界の若者たちの姿勢と具体的な取り組みについて学ぶことができました。 
③各教科の学習

 各教科において意図的にESDに関わる学習を組み込んでいます。例えば、ESDとの親和性が高い理科、社会科はもちろん、たとえば家庭科ではエシカル消費を意識した食育やジェンダーに基づいた学習が展開されています。このように、教科をベースとして、各学年の総合的な学習につないでいくのが本校ESDの学びの基本となっていて、それらを総合的な学習の時間などで教科横断的な取り組みに拡張するために、ESDカレンダーを作成しています。また、それらの活動の一端を公開研修講座で授業公開しました。

来年度の活動計画

 2020年度もESDカレンダーに沿って、学校カリキュラム全体でESDに取り組むホールスクールアプローチを進めていきたいと考えています。これまで以上に学校の特色を打ち出すために、精選やスリム化も視野に入れつつ行事を改革し、従前のESDカレンダーをより充実したものに改定したいと思っています。またSDGsの啓発的な取り組みだけでなく、その実現に向けた本校なりの取り組みを模索したいと考えています。