2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

世界遺産・地域の文化財等

本校は、世界遺産学習を教育課程に位置付け、低学年より系統的な学習を積み重ねてきた。本校の近隣には、世界遺産「古都奈良の文化財」に含まれる元興寺や興福寺がある。それを活かし、地域に残る「人・もの・こと」を題材として生活科や総合的な学習の時間を中心に世界遺産学習を展開した。
 1・2年生の生活科において、済美のまちのよさを感じ、そこに住む人たちのやさしさに触れることで『済美のまちに親しむ』。さらに、3年生では、校区の様子や奈良町について学習をし、4年生では、四季を通じて、『済美のまち・奈良のまちを見つめる』。そして、5年生では、世界遺産見学や世界遺産を守るためにできることを考える学習を行い、6年生で歴史学習をふまえた地域の遺産を探る学習などを通して『済美のまち・奈良のまちについて考える』。
このように、低学年から、空間も内容も同心円的な広がりをもって地域について学び続けるカリキュラムをつくっている。

1.『済美のまちに親しむ』学習
 1年生では、校内や校庭を散歩して「わたしの学校」のよさを感じとった。奈良公園内を散策し奈良のすばらしさに気付き、「なかよしさんぽ」を積み重ねていく中で、子どもたちは、『ひと・もの・しぜん』となかよくなって、自分の生活を楽しくしていく力を付けてきている。
 2年生になると、身近な「せいびの町のすてきなところ」を町探検をした。場所を見るだけでなく、「人」に意識を向けインタビューをした。これらの活動を通して、せいびの町にはすばらしい場所やすてきな人がいっぱいいることを知り、せいびの町が好きになった。また、奈良公園に出かけ、奈良公園で多くみられ、鹿との共存にも深く関わっている糞虫について学習した。糞虫の不思議な生態に触れ、奈良公園の自然について興味関心を深めた。

2.『済美のまち・奈良のまちを見つめる』。
 3年生の社会科の学習で済美の校区探検をし、済美の町の昔と今を知り、未来に向けて、これからは自分たちが済美の町の一員としてどんな町をつくっていきたいかということを主体的に考える姿勢が生まれた。
 4年生では、奈良公園の自然観察を通年で行い、そこに生息する動植物のようすの移り変わりを観察した。社会科の『特色ある地域のくらし』のなかで「金魚の町 大和郡山市」を取り上げ、金魚養殖業や金魚産業について調べた。いずれの活動も「持続可能な社会」を形成するための学習に持ち込み、世界遺産学習を行う上で大切な礎になった。

3.『済美のまち・奈良のまちについて考える』。
 5年生の古都奈良の文化財の魅力を伝える学習では、済美小学校の近くにある「駅舎」も世界遺産と同じような流れで残った建物だと知り、その歴史や保存に関わった人について調査をした。次に、身近にある「古都奈良の文化財」について調査を行い、感じた魅力を交流した。大切に受け継がれてきたものを未来に残していくために、自分にもできることを考え、様々な発信方法を考えた。 
 6年生では、江戸時代、奈良の観光名所として知られていた南都八景をもとに、未来に残したい美しい奈良の風景として「新南都八景」の選定を行った。自分たちの知っている奈良の名所を選んで調べ、そのよさをプレゼンテーションし合った。「新南都八景」の良さを表す川柳を考え、「新南都八景 川柳集」として多くの人に発信することができた。

来年度の活動計画

1年なかよしさんぽ(生活科) 隣接する幼稚園とも連携し、校区や奈良公園へ出かけ、四季の移り変わりを感じる。
 2年わくわくさんぽ せいびの町(生活科) 身近な地域の施設や店などを探検し、そこで働く人達に話を聞いて地域の人と触れ合う。
 3年もっと知ろうよ せいびの町を(社会科・総合) 校区には、多くの観光客が訪れる奈良町があることを知り、それらのよさを理解する。
 4年奈良公園のひみつをさぐろう(理科・総合) 四季にわたって奈良公園を訪れ、その自然の不思議さや奈良の鹿について観察や調査をする。
 5年奈良の世界遺産を守るということは(総合)世界遺産などの多くの奈良の文化財を次の世代へ残し繋いでいく主体は、自分たちであることに気付く。
 6年未来に残したい美しい奈良の風景を見つけよう(社会・総合)江戸時代にあった「南都八景」を調べることから現代の「新南都八景」を選定し広く発信していく。