2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等

2021年度 活動報告

1年生『なかよしさんぽ』

1学期には、入学してすぐに校内や校庭を散歩して、1年生はもちろん学校のみんなとなかよくなり、「わたしの学校」のよさを感じとることができた。また、奈良公園へ行き、天然記念物の鹿と触れ合ったり、雄大で豊かな緑の自然の中で遊んだりして、「わたしのなら」のすばらしさに気づくことができた。
2学期には、校庭を散歩しながら「秋みつけ」を楽しんだ。校庭で集めてきた木の葉や木の実を持ちよって、「木の葉のうつし絵」や「おもちゃ作り」に意欲的に取り組んだ。済美幼稚園から作品展に招待していただき、秋の自然物で作った作品を幼稚園の児童と一緒に鑑賞して楽しんだ。
3学期には、「けんだま」「こま」「お手玉」「はねつき」「あやとり」「ヨーヨー」「めんこ」などの昔の遊びを楽しんだ。済美幼稚園の児童との昔遊びでの交流を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の影響でできなかった。
「なかよしさんぽ」を積み重ねていく中で、子どもたちは、『ひと・もの・しぜん』となかよくなって、自分の生活を楽しくしていく力を付けてきている。

2年生『わくわくさんぽ せいびの町』(生活科)

1学期には、済美小学校の周りを歩いて探検に行った。その後、見つけたものや気になるものについて児童で出し合った。学級の全員が知っている場所もあったが、一部の児童しか知らない場所も出てきた。また、今回は通らなかったがぜひみんなにお勧めしたい場所も出てきた。その話し合いをする中で、「行ってみたい。」「もっと知りたい。」「聞いてみたい。」という思いをもつことができた。
夏休みの宿題で、せいびの町のおすすめの場所を調べる活動をそれぞれ行った。2学期にその発表会を行うことで、さらに知りたいという気持ちが高まった。その中から、さらに知りたい場所を7か所に絞り、「からくりおもちゃ館」「京終駅」「花園温泉」「清水青果店」「井阪鮮魚店」「ならまち交番」「徳融寺」を詳しく調べることとした。今年はコロナ禍の状況のため、実際に児童がインタビューに各施設に行くことはできなかったが、知りたいことをまとめて教師がインタビューに行き、実際の施設の方の声や様子を動画に撮り、児童に返した。それを見た児童は、施設の方の声を聴き、中の様子を見て、その場所の魅力を感じることができた。そこで知ったことをポスターにまとめ、他のグループの児童に伝える活動を行った。その後、インタビューさせてもらった場所にお礼の手紙を書く活動を行った。これらの活動を通して、せいびの町のことをたくさん知ることができ、児童はせいびの町をより好きになった。

3年生『もっと知ろうよ 済美の町を』(社会科・総合)

1学期の「わたしのまち みんなのまち」の学習で、自分たちが住んでいる済美の町を校舎の屋上から見下ろし、どの方角にどのような建物があるかを観察した。そして、済美の町の様子をもっと詳しく知るために校区探検を行った。3つのコースに分けて探検したが、実際に自分の足で歩いてみることでそれぞれのコースによって建物の建て方や街並みが違うことに気付くことができた。それぞれのコースにおいて、自分たちの校区でも知らないことがあると分かり、興味をもって探検することができた。探検に行った後は、見つけた物や特徴をまとめた。その後、済美の町と奈良市の他の地域とを比べ、済美の町の歴史的価値について気付くことができた。
また、「おん祭り」の学習では、おん祭りの歴史やお祭りの中で行われている内容などについて、一人一人テーマをもち、調べ学習を行った。学習を進めていく中で、おん祭りは大和の人たちの幸せのために始まったことや、多くの人々の支えによって880年以上途切れずに続けられていることが分かった。児童それぞれが調べたことをロイロノートのスライドにまとめ、全員で共有できるようにした。学習の最後には、自分たちも「大和の人」の一員であるという当事者意識をもち、「これからもおん祭りを続けていきたい。」「おん祭りを支えてきた人々の思いを引き継いでいきたい。」という思いをもつことができた。

『ならのすてきクイズ』(総合)

奈良の町について学習していく中で、奈良の町に点在する世界遺産について興味を持ち、タブレットを用いて詳しく調べた。調べたことをクイズにし、ロイロノートを用いてプレゼンを行った。

4年生『奈良公園の自然観察(講義)』(理科・総合) 『奈良の鹿愛護会(講義)』(総合) 『秋の遠足(奈良公園)』(校外学習) 『人とシカの共生』(総合)

今年度も新型コロナウィルス感染拡大の影響で、奈良公園での自然観察が難しかったので、ゲストティーチャー(自然博士・谷氏)にお越しいただき、体育館で奈良公園の自然について写真等を見ながら講義を聞かせていただいた。講義後、奈良公園にある自然の中でも児童にとって身近な存在であり、人間と関わりの深い鹿に学習のテーマを絞り、さらに学習を進めた。初めに奈良公園の鹿について、これまでの生活経験を通して知っていることや講義を受けて知ったことは何かを児童に問いかけ、意見の交流を行った。「奈良の鹿は神の使いとされている。」、「鹿せんべいを食べている。」、「道路や住宅地に出てくる時がある。」、「角が生えかわる。」「ごみを食べてしまう。」等の意見が出た。出た意見は、生活・健康・食べ物等に大まかに分類した。

その中からもっと知りたいテーマや調べてみたいテーマをそれぞれ自由に選び、テーマに沿って個人で課題をつくり、タブレットを用いた調べ学習を行った。調べた結果をロイロノートに入れ、児童同士で交流した。この学習を通して奈良公園の鹿により一層興味を持つことができた。次に、「病気になる鹿がいる。」という意見を手がかりに、鹿と人との間に起こる問題について学習を進めた。調べていく中で、「交通事故に遭い、死んでしまう鹿がいる。」、「人間が捨てたゴミを食べて病気になってしまう鹿がいる。」等の鹿が人から受ける被害だけでなく、「農作物を食べ、畑を荒らされてしまう。」、「鹿に攻撃されてケガをする。」などの人が鹿から受ける被害もあることに児童は気づいた。また、「鹿を怒らないようにしたい。」など、自分にできることは何かを考えようとする児童の姿も見られた。このような学習を通して、「人と鹿はいろいろなトラブルもあるけれど、殺したり、怒られたりするのはおかしいと思う。もっと奈良の鹿を大切に思い、鹿と触れ合ってほしい。」という、鹿を守ろうとする発言が出た。

このことから、次時以降奈良の鹿を守るために、何かできることはあるかを考えることになった。まずは、調べて分かったトラブルについて自分にできることを交流した。「ルールを守って触れ合う。」、「野菜(人間の食べ物)をむやみやたらとあげない。」、「ゴミのポイ捨てをやめる。」等の意見が出た。さらに、タブレットでの調べ学習を行い、鹿の愛護団体があることや鹿を保護するための啓発活動が行われていることを知った。

鹿と人の間で起こる問題について、興味関心を高めたところで、奈良の鹿の愛護会の活動について紹介し、実際にゲストティーチャーとして来ていただき、講義を行っていただいた。明治24年から奈良の鹿を保護しようとする取り組みがあったことや昔から奈良の鹿は大事にされてきたことに驚いている児童がたくさんいた。また、ふり返りの中に「自分達も鹿を守りたい。」「自分にできることをしたい。」「鹿は奈良にとって大事な存在なんだな。」と記述する児童が多く見られた。

秋の遠足では奈良公園に行き、鹿の様子や人と鹿との関わり方を実際に目にすることができた。鹿せんべいをあげた後、「もうないからね」と愛護協会の方に教えてもらった通り、手のひらを広げて鹿にみせながら声をかけていた。また昼食時に子供達のお菓子を食べてしまった鹿にドングリをみせ、ビニール袋をはきださせ、上手く付き合う児童の姿も見られ、学習したことを実践できている様子が伺えた。遠足終了後、児童の「鹿を守りたい。」という思いを基に、鹿と人が共生していくために自分にできることについて考えた。児童からは、「ポスターを作る」「ケガをしている鹿がいたら知らせる」「どんぐり募金を行う」「ゴミを捨てない・ゴミを拾う」「鹿の現状を知る」等の意見が出た。そこで「奈良のシカ見守りプラン」を各自で考え、鹿と人とが共生するために、①自分にできること、②その理由、③共生のために必要な心構えについてポスターにまとめた。鹿に関する学習を通して、鹿も人と変わらず命があり、昔から大切にされてきたことを知り、鹿だけが我慢することのないように、できることを自分達で考えて鹿のためにしていきたいという思いを児童はもつことができた。

 

 

 

5年生『奈良大好き世界遺産学習』(総合)

学習は、まず「世界遺産って何だろう」という児童の疑問からスタートした。世界で初めて世界遺産に登録されたアブシンベル神殿を切り口に学習を展開する中で、世界遺産とは「多くの人たちの願いや思いが詰まった、世界のみんなの宝物」であるという理解に至った。また、世界遺産に登録されるにはさまざまな条件が必要であるということや、「世界文化遺産」「世界自然遺産」「複合遺産」などの種類があるということを学んだ。そこから、さらに「古都奈良の文化財」をはじめ、世界中にある世界遺産について自分たちが興味をもったものを中心に調べ学習を進めた。
そこから、済美小学校の近くにある「旧JR奈良駅舎」の学習へと学びをつなげていった。「旧JR奈良駅舎」も世界遺産と同じような流れで残った建物であるということを知り、その歴史や、駅舎の保存に関わった方々について調査活動を行った。ここから、奈良に生きる一人として、この大切な思いを受け止め、永く大切に守られてきた多くの『たからもの』を次の世代、次の世代へとそのまま受け渡していくバトンランナーの役割を果たしていく責任があることに気付くことができた。
次に、身近にある「古都奈良の文化財」についてもっと詳しく知りたい、という児童の声から、世界遺産学習で平城宮跡、唐招提寺、薬師寺に行き、ボランティアガイドさんのお話を伺った。振り返りでは、「見たことはあったけれど知らないことがたくさんあった」「もっと話をききたい」「もっと詳しく知りたい」という声が児童から挙がった。そこで「古都奈良の文化財の魅力を伝えあおう」という学習課題を立て、興味を持った文化財ごとにグルーピングし、調査活動を行った。そして、調査結果やそれぞれの児童が感じた魅力を伝えあった。最後に、1年間の学習を振り返り、お互いの考えを交流した。

6年生『未来に残したい美しい奈良の風景を見つけよう』(総合)

6年生の児童は、これまで低学年から「町たんけん」や「奈良の伝統行事」、「奈良公園自然観察」など、地域の「人」「もの」「こと」を題材にして済美や奈良のよさを見つける学習を積み重ねてきた。
そして、江戸時代、奈良の観光名所として知られていた南都八景をもとに、未来に残したい美しい奈良の風景として「新南都八景」の選定を行った。まず、自分たちの知っている奈良の名所を挙げ、その後、家庭や校内で奈良の名所をたずねる調査をした。そして、自分が未来に残したい風景だと思う場所を選んで調べた。その良さについてロイロノートスクールを活用し、プレゼンテーションを行った。様々な人が思う奈良の美しい風景を調べることで、新たな奈良の魅力に気づいたり、愛着を持つことができたりした。また、なくなっていくものがある中で、自分たちも美しい風景を守っていかなければならない、素敵なものだということを伝えていくことが大切だという考えをもつことができた。

来年度の活動計画

  • 1年「なかよしさんぽ」(生活科) 隣接する幼稚園とも連携し、校区や奈良公園へ出かけ、四季の移り変わりを感じる。
  • 2年「わくわくさんぽ せいびの町」(生活科) 身近な地域の施設や店など探索し、そこで働く人達に話を聞いて地域を学習する。
  • 3年「もっと知ろうよ、済美の町を」(社会科・総合) 校区には、多くの観光客が訪れる奈良町があることを知り、それらの良さを理解する。
  • 4年「奈良公園のひみつを知ろう」(理科・総合) 四季にわたって奈良公園を訪れ、その自然の不思議さや奈良の鹿について観察や調査をする。
  • 5年「世界遺産について知ろう、目指せ! みんなにやさしい済美の町」(総合) 世界遺産を含む多くの奈良の文化財を次の世代へ残し繋いでいく主体は自分たちであることに気付く。
  • 6年「未来に残したい美しい奈良を見つけよう」(社会・総合) 江戸時代にあった「南都八景」を調べることから、現代の「新南都八景」を選定し、広く発信していく。