2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 国際理解, 減災・防災, 世界遺産・地域の文化財等

 本校は,「自己の未来を切り拓いていく児童生徒の育成」を学校教育目標としている。

今年度は研究主題を「宮島を誇りに思い,宮島の未来を創る児童生徒の育成~伝える力を高める取組を通して~」と設定し,その中でユネスコスクール実践の場としてのESDの充実に取り組んだ。

具体的には,ESDの視点に立った資質・能力・態度を育成するために,全教科で横断的な学習を進める手立てとして,全学年で「ESDカレンダー」を作成し取り組んできた。そこでは,①環境に関わる活動,②国際理解に関わる活動,③世界遺産・地域遺産に関わる活動,④キャリア教育に関わる活動の4つのテーマで各学年の学習内容を整理している。

① 環境に関わる活動

   宮島水族館や広島大学と連携し,海辺の生き物調査(257年時),植生復元活動(7~9年時)に取り組んできた。その中でも,広島県内で,宮島だけに生育する「モロコシソウ」は,近年その数を急激に減らし,絶滅危惧植物に指定されており,中学生は,環境教育の一環で,現地の環境調査や清掃活動を行うとともに種子から育てる保護・保存活動を行っている。

② 国際理解に関わる活動

   外国人観光客に向けての宮島ボランティアガイドを8年時より開始している。ボランティアガイドは,小学校1年時から学んだり,体験したりしてきた地域について,自分たちの得た知識を他者に伝える発信の場として捉えている。本校で取り組んでいる「伝える力」の育成を基本に据え,6年時の日本の修学旅行生への宮島ガイドを踏まえ,ガイドの対象を日本人から外国人に,使用言語を日本語から英語へと変えて行っている。

③ 世界遺産・地域遺産に関わる活動

   地域の人材を活用し,伝統文化の体験・学習を行っている。伝統行事「たのもさん」で海に流すたのも船作り(14年時),管絃祭・鎮火祭への参加(59年時)をはじめとし,伝統工芸品についての学習を4年時,歴史遺産についての学習を6年時の総合的な学習時間に行っている。4年時には,地元伝統工芸士の指導のもと,「宮島彫り」の制作体験を,5年時には,地元陶芸家の指導のもと「宮島土鈴」の制作体験をした。また,中学校では,地域遺産の一つである「宮島太鼓」に取り組み,地域の方の協力のもと,9年生が指導に当たり,生徒全体で引き継いでいる。「知る」「体験する」「学ぶ」だけでなく,宮島の世界遺産,文化遺産,伝統をどのように守り,未来へ残していくか,多面的・総合的に考え,主体的に行動していくことを課題意識とし,取組を続けている。

④ キャリア教育関わる活動

   57年時の小中合同野外活動では,34日の日程で子どもたち自らが計画を立て活動を行った。食育を意識した料理作りも協力して行い,充実した活動になっている。また,8年時の夏休みには,キャリアスタートウィークとして職場体験をしている。地域の事業所の協力のもと,生徒は仕事の厳しさや喜びを知り,学びを深めている。

来年度の活動計画

来年度も,今年度同様にESD「総合的な学習の時間」(小学校1・2年生では「生活科」)を軸に,各教科等と関連を図り横断的に行っていく。

世界遺産「宮島」の豊富な地域の資源や人材,環境を生かし,児童生徒の学習の充実を図っていく。また,「学ぶ」だけでなく,宮島の世界遺産,文化遺産,伝統,自然環境等をどのように守り,未来へ残していくか,多面的・総合的に考え,主体的に行動していくことを課題意識とし,取組を続けていく。

 昨年度と今年度開発した単元で,「課題発見・解決学習」を行う。

全体研修は,年に2回行い,小学校・中学校ブロックでそれぞれを担当する。授業研修後も必ず事後の研究協議を行い,今後の授業のあり方について検討し,次へのステップとする。さらに新しい「課題発見・解決学習」の単元開発を行い,長期休業中に交流をする。

「学校に行こう週間」に合わせ,11月に「授業を見合おう月間」を設定する。全クラスで授業を公開し,教師の授業力向上とともに,全児童生徒の意識を高め,「伝える力」の育成に資する。