2022年度活動報告
本年度の活動内容
生物多様性, 減災・防災, 環境, その他の関連分野
本校は、「共生」を当面の活動テーマとして、ESDを「他者(人間社会・自然環境)と自己とにおける関係の持続可能な発展・成長のための学習」と捉え、ESDの実践を通して「他人、社会、自然環境との関係性を認識し、関わり、つながりを尊重できる」力の育成を目標とした活動を行っている。
具体的には、自己理解と他者理解、自然環境との共生、地域社会との共生、そしてこれら3つを総合的に連携づける実践的活動としての防災を柱に、①コミュニケーションに係る学習、②自然環境に係る学習、③地域共生に係る活動、④防災(水害)に係る活動を行った。
①コミュニケーションに係る学習
第1学年においては、入学後の4月・5月において構成的グループエンカウンターを活用したピア・サポートを段階的なコミュニケーショントレーニングとして行った。第2学年においては、インターンシップ(職業体験)において、適切な言動に関する練習を経て研修を受けた。第3学年においては、進路に関わり他者(志望先)の深い理解にもとづく適切な自己表現(自己アピール文・面接)に関して実践的に取り組んだ。また、全学年において、1月に南富良野町内の福祉施設の清掃・雪かき活動を行い、実践を通し、奉仕の精神や思いやりの心を養った。
②自然環境に係る学習
南富良野町の豊かな自然環境を生かした教育課程の編成による「魅力ある学校づくり」を目指し、令和3年度から学校設定科目として、第1学年で「アウトドアⅠ」、第2学年で「アウトドアⅡ」を開設している。科目の設定に当たっては、「アウトドアⅠ・Ⅱ」を本校教育課程の軸として位置づけ、地域の自然環境や資源、外部人材の活用による特色ある教育活動を展開するとともに、社会に開かれた教育課程の実現を図っている。
「アウトドアⅠ・Ⅱ」の内容は地域を理解する学習や様々な体験活動を通して、地域の自然や環境資源の魅力に気づき、地域の魅力の発信方法や課題の解決について探究することとしている。夏はラフティングや軽登山、冬はスキーやカーリングなど、地域を「学びの舞台」とした豊富な自然体験型の共同学習を実施するとともに、それぞれの体験活動の後には振り返りやグループ発表、また専門家による講演会や地域の方を招いたアウトドア発表会を開催するなど、学習のサイクルを意識し、学びの深化を図っている。
③地域共生に係る活動
学校設定科目である「アウトドア」の授業の一環として、第1学年においては、「町内の道の駅における観光客の動向について」、第2学年においては、「町内の国設スキー場を利用したイベント実施」をテーマに、地域の活性化や観光振興を目的とした学習を行った。事前指導として北海道大学から専門分野の教授を招き、アンケート方法やイベント実施に係るリスクマネジメント等の講義形式での助言をいただいた他、当日の実践では、参加者や関係者との交流から得た実体験を通し、地域の魅力や課題の発見を再確認する貴重な機会となった。さらには、取組の集大成として町民を招いての研究発表会を行い、生徒の地域に対する学びの広がりと深化へとつながった。
3学年では、町長との車座ミーティングを行い、高校生の視点で、町を活性化するための意見交流を行った他、後日行われた町議会見学を通して、自分達の考えを町政を通して、客観的にとらえる機会を得た。このように交流・理解・貢献のフローを基調とした取組が全校的に行われている。
④防災(水害)に係る活動
平成28年8月末の記録的な大雨により南富良野町が洪水の被災にあったことを契機に「南富良野町実践的安全教育モデル構築事業」(主管・南富良野町教育委員会、平成30年度北海道実践的安全教育モデル構築事業)が推進され、継続した活動を続けている。
また、今年度からは、防災教育を「基礎知識」・「実践力」・「道徳心」という3つの観点から考察し、知識、判断力、豊かな人間性をバランス良く備えた地域防災の担い手となる人材育成を、町内小中学校と連携しながら目指している。
来年度の活動計画
来年度の活動計画
1 今、なぜユネスコ・スクールなのか、なぜESDなのか、何をユネスコ・スクールがめざしESDが推進しようとしているかついての理解を深める。
2 校内・校外のいずれにおいても、本校の学習や活動が、ユネスコ・スクール及びESDの活動でもあることについての認知度を上げる。
3 校内においては、それぞれの活動(教科指導・学校行事など)の何がESDに関わるものなのかを整理・意識しつつ、それぞれの活動が有する教科横断性や分掌横断性をさらに活性化し、思考力・判断力・表現力を磨き、主体性・協働性・多様性を保持する、より計画的な活動の推進を模索する。
4 近隣のユネスコ・スクール認定校・ESD推進関連団体との連携を検討しネットワーク形成を模索する。