2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

国際理解, 平和, 人権, その他の関連分野

今年度の本校の活動テーマ
1)総合的な学習の時間と宿泊的行事を一体化して取り組んだ平和教育
2)学級活動を中心とした難民地域への古着を提供するボランティア活動
3)本校における各教科や委員会活動を中心とした生徒の主体的な活動を通したESDの活動について

■ねらい: 

本校では、教育活動の総合的な学習の時間と道徳、宿泊的行事を一体に捉えた平和教育を推進するなど、主体的な活動を中心に据えた、ESDとSDGSを双方から考えた教育活動を進めている。そのねらいは、他人との関係性、社会との関係性を意識付けることにより「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むことである。また、SDGSとして掲げられている目標達成に向け、中学生が主体的に取り組める活動として、ユニクロと連携した難民地域への服の提供の取組を通して考える機会を設けた。これもまた、SDGSの観点から、他者への意識や関係を考えることによって、ESDを実現しようとするねらいがある。

■活動を通して育んだ、形成者としてふさわしい資質

 社会を形成する一員として、他者と対話しながら考えを膨らませていく中で、多くのアイデアが生まれた。それは、生徒がこれまでの既習事項や経験を基に生まれたものである。今回は、総合的な学習、特別活動の時間の枠で行ったが、その教科の性質として様々なジャンルの意見を集約できる枠組みであったがためとも言える。

■活動の内容:

 本校が取り組んだ活動の中心は、生徒の主体的な取組である。そのために、生徒同士がよりよい活動が推進できるように対話的な場面を取り入れている。

 まず、1つ目は第2学年で実施している「平和教育」である。本校は、宿泊的行事で長崎市を訪問している。長崎の訪問は平成24年度より実施している。総合的な学習の時間として、平和を最も考える地である長崎を訪問するにあたり、解決しなければならない「平和の実現」を生徒は学習していく。また、それに関わり道徳の内容項目である国際理解や生命の尊さの学習も平行して行っている。

 平和を学ぶ授業は、生徒が主体となり運営し、平和宣言を制定、祈りの鶴の作成を行っている。全3時間の学習の内容としては、原爆投下時の状況の把握、医学的見地から核兵器の脅威を捉える事を目的とした長崎出身の医師を招いての講演会、平和公園で多くの方に伝えたいと考える生徒の言葉をつなげた平和宣言の制定を行っている。こうした学習を経て、宿泊研修当日、平和記念公園で「平和の集い」を開催し、平和宣言の読み上げ、献花、献水、折り鶴の献上を行っている。

 次に、難民地域への古着のボランティア活動である。ユニクロと連携し、出前授業を実施した上で、本校生徒に呼びかけをしてボランティア推進委員40名を中心に、SDGSの1貧困を泣くそう、10人や国の不平等をなくそう、12つくる責任つかう責任、17パートナーシップで目標を達成しようを意識した活動を行った。推進委員は、広報活動計画を立て、実際に近隣の施設への訪問、そして校内への呼びかけを行い、多くの方から古着の収集の協力を得ることができた。

その他の教科や委員会からの活動の報告として、数学科では中学校第 1 学年の「比例と反比例」の単元において 「 伴って変わる 2 つの数量及びその関係に着目し,表,式,グラフを用いて考察し,表現する活動を通して,関数関係の意味や比例,反比例の関係について理解するとともに,事象の変化の仕方や対応の特徴を見いだしたり,未知の値を予測したりすることができる 」である。 この目標は 「持続可能の社会づくり」のための課題解決に必要な 「未来像を予測して計画を立てる力」を培うことにつながるものである。
この単元の学習では 目標達成に 向けた学級集団における学習 集団思考 の 場面で 互いの 意見が違っても 折り合いをつけて納得解を見いだしていく 。特に 次に提案する「比例とみなすこと」の授業では 学びがどう未来につながるのか 何と何を関連付けて学ぶのか といった「つながり」が意識されるものであった。
また、保健委員会では、 感染症に関するポスター(A3を2枚)を作成して、17の目標の3「全ての人に健康と福祉を」と6「安全な水とトイレを世界中に」を取り上げ、世界の子供達の状況や行われている取り組みなどを記したポスターを作成し、掲示し啓発に取り組んでいる。そして、食育の観点に絡め、国際理解から持続可能な生産と消費を考える、出前授業を行った。

■活動に関わる今後の課題

 自分たちが多くの人に支えられながら生きていることに改めて気付き、どの年代であっても持続可能な社会をつくる上で、貢献できることがあることを見出していた。特に、主体的に取り組めるようなカリキュラムにしていくことにより、よりその効果が得られた。しかし、発信していくことの重要性も大切であり課題である。今後は、中学校を起点として地域を巻き込んだ活動を展開したい。

■活動を終えての課題や今後の展望

 平和学習については、平成24年度からの取組の蓄積の上に活動が行われており、今後地域への発信も含め課題としてあがっていることを更に展開していくことができればと考える。難民地域への古着の回収に関わっては、これからも携わって行きたい。その中で、中学生ができることをその時々の生徒の状況に応じて柔軟に対応していくことが必要となる。また、様々な活動を同時展開できるようにし、SDGSの達成目標をより広げて活動していくことにより、今後の教育活動全般において各教科が連動した取組に繋がると考えている。

来年度の活動計画

6月 服のプロジェクト活動開始(推進プロジェクトチーム結成)
7月 服のプロジェクト地域への呼びかけ開始 夏期休業中全校生徒による回収
8月 服のプロジェクト回収
10月 平和学習開始
11月 平和講話、平和の集いに向けた異学年集団との交流
12月 平和の集い 地域に向けた発信の場

以上の今年度取り組んだ活動を軸に、次年度は、各教科や委員会での日常の活動の教科に力を入れていきたい。