2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費

本校は、平成24年にユネスコスクールに認定され,ESD(持続可能な開発のための教育)の視点を取り入れた学習活動を展開してきた。ESDの概念を取り入れることは、子どもたちに「批判的に考える力」「未来を予測して計画を立てる力」「多面的・総合的に考える力」「コミュニケーションを行う力」「他者と協力する態度」「つながりを尊重する態度」「進んで参加する態度」といった問題解決に必要なさまざまな能力・態度を身に付けることにつながるとされている。新学習指導要領でも「持続可能な社会の創り手となる」子どもの育成が求められており、本校の学習活動が教育の目的及び目標の達成には必要なものである。

 本校の児童は、自分の考えたことや気持ちを伝えることが苦手な子や、伝えることができても友だちの思いや考えをしっかりと聞いて受けとめることができにくい子、学習で分かったことや考えたことを分かりやすく論理的に書き表すことが苦手な子が多く、表現力やコミュニケーション能力の育成が課題の一つとしてあげられる。また、与えられた課題に対してはまじめに取り組み、進んでみんなと協力しながら課題に取り組むことができる子は多いが、自分たちで課題を見つけ、多面的・総合的あるいは批判的に課題について考え、さらに深く課題を解決し行動していこうとする力は、まだ弱い。また、全国学力・学習状況調査の結果から見えてきた課題として、学習して得た知識や技能を応用したり、活用したりする力を高めることがあげられる。さらに、考えたことをもとに自分が何をしていけばいいのかを判断し,主体的に行動していく力も弱い面がある。

 このような児童の課題を克服するために,ESDの視点を取り入れた研究をさらに進め、各教科や総合的な学習の時間での教科等横断的なカリキュラムを編成し「自ら課題を見つけ,仲間とともに意欲的に解決しようとする子の育成」をテーマに授業実践を行うことにした。また、昨年度から、2015年に国連で提唱されたSDGs(持続可能な開発目標)との関連性も視野に入れながら教材を開発するようにしている。

①「ごみのしまつと活用~ごみについて考えよう~」の学習(4年生)

【SDGs12 つくる責任 つかう責任】

 社会科で、くらしから出るごみの種類や量と、その処理の方法について調べ、学習した。その後、クリーンセンターを見学し、ごみの処理の仕組みや仕事に携わる人々の工夫や努力について学んだことを新聞にまとめた。また、伊賀・名張地区で行われているごみの分別収集について詳しく調べ、ごみの再利用や3Rについて実行し、環境を守るために自分たちができることを考えた。ごみを減らしたり、出さないようにしたりする必要性を確認し、再利用(リサイクル)・再使用(リユース)・ごみを出さないようにすること(リデュース)について考えた。

②「わたしたちの食生活と食料生産」の活動(5年生)

【SDGs11 住み続けられるまちづくりを】

 米作りの主な仕事や米作りにたずさわる人々の工夫や努力等を学習して、自分たちの食生活を振り返り、必ず誰かの努力や工夫があって食物ができ、それが食卓に出てきていることを知った。また、地域の方の田をかり、実際に田植えや、かかし作りなどの体験をして考えを深めた。さらに、外国籍児童の国の米作りを調べたり、交流しているオーストラリアの小学生に日本の米作りや食生活について紹介したりすることによって、日本と他国の文化の違いを学び、外国の文化を受け入れ尊重する見方、考え方を育てた。

③オーストラリアのハンティングデール小学校との交流(全校)

【SDGs17 パートナーシップで目標を達成しよう】

 オーストラリアのメルボルン市にあるハンティングデール小学校の5,6年生31名が来校し交流を行った。ウェルカムセレモニーでは、日豪の文化について相互に発表した。また、日本の遊びや学習(体育・書道・アボリジニアートなど)を通して、子どもたちが互いの文化を実体験するとともに広い視野をもち、異文化に対する理解や異なる文化をもつ人々と協調して生きていく態度を育てる機会となった。

④「水を大切にしよう」の活動(ユネスコ委員会)

【SDGs6 安全な水とトイレを世界中に】

 ユネスコ委員会の取組として、「マイエンザ」を使って水をきれいにする取組を行った。イースト菌、納豆、湯を使って1週間ほどでできる「マイエンザ」をプールに入れておき、プール掃除をしやすくしたり、野菜作りに生かしたりすることができた。

来年度の活動計画

子どもたちが興味・関心をもち,自分たちで「調べてみたい」「やってみたい」と思うような『学ぶ意欲に火をつける』課題や、追究し続ける『学ぶ意欲の火を燃やし続ける』ための手立てについても合わせて研究を進める。それにより、子どもたちの課題発見能力、課題解決力、思考力、判断力、表現力を高め、行動化につなげていきたい。

 さらに、学習の柱として「地域に根ざした学習」を取り入れ、蔵持の人・もの・自然・文化・歴史とのつながりを重視し、自分たちとの関連が深く、興味・関心を持って、自分たちで学習を深め、行動化に移しやすい題材に取り組み、『学ぶ意欲に火がつき』、『火を燃やし続ける』ことで、子どもたちの弱みの克服に結びつけたい。また、地域に根ざした学習を通して、地域(蔵持、名張、三重)を好きになり、地域のよさを見出し、地域の課題を解決したいと行動する未来志向の子どもたちを育てていきたい。