2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 国際理解, 福祉, 持続可能な生産と消費

当園は、「キリスト教保育」を根底の理念として、ESDを人格形成の基礎と捉え、ESDの実践を通して子どもたちの生きる力の育成を目標とした。

具体的には、環境教育、国際理解、地域交流を柱に、①収集・再利用に係わる活動、②異文化に係わる教育、③地域交流に係わる学習、④栽培・生命に係わる学習に力を入れた。

① 収集・再利用に係わる活動

通年、お便りを通じて保護者にキャップ・リングプル・古切手・書き損じはがきの収集を呼びかけ、各家庭から持ち寄った収集物をクラス毎に子どもが担当して仕分けを行っている。全園児で毎月設けている“ユネスコタイム”という時間の中でそれぞれの収集物がどのように被災地や発展途上国への支援に役立っているかを学ぶことで、世界状況を知るきっかけにも繋がり、ユネスコスクールとしての身近な活動への意識が高まっている。他にも、資源物の収集も呼びかけ、普段ゴミとなってしまう廃品を再利用して季節に合わせた製作をした。その製作物を壁や天井など園舎内の様々な場所に飾り、いつでも観覧できる環境を整えたことで子どもや保護者と共に見て楽しむ喜びを味わうことができた。廃品を使った製作の楽しさを覚え、子どもたちが想像を膨らませながら廃品を再利用した自由工作も取り入れ、園全体でゴミの削減への理解を深め大切な資源の学びにも繋がった。

② 異文化に係わる教育

国際理解を深める学びとして、アメリカ人講師による『えいごあそび』を年間に渡り継続して取り組んでいる。英語の習得にとらわれず、日本人以外の人と触れ合うことにより、自分たちとの違いに気づき親しみを持つことを通して、異文化に対しての関心を深めることができた。又、運動会時期には世界の国旗に触れ、国旗塗り絵や絵本等を通して国の名前やそれぞれの文化・言葉を知り、世界の人々と共に一つの地球で生きていることを学ぶ基礎作りとなっている。

③ 地域交流に係わる学習

今年度のキリスト教保育を担う当園の年主題「ことばに満たされて」という題のもと、“ことば”を大切に様々な活動を行ってきた。例年、地域交流に力を入れ、町内会の方が子どもたちの登園を出迎え挨拶を交わす“あいさつ運動”や近隣に住む人々へ収穫物のプレゼント、老健施設の方々との継続的な交流など年間を通して行われている。近年、都市化や少子化、情報の進展による影響で身近な人々との交流の減少やコミュニケーション不足による問題が取り上げられている中、幼い時期からの積み上げが大切と考え、挨拶することや言葉を交わす大切さが育つように継続的に取り組んできた。自然と周りへの挨拶や感謝の言葉を伝えられようになるなど成果が見られている。

④ 栽培・生命に係わる学習

前々年度から木・土・食物と一貫した環境教育に力をいれてきた。今年度は「命をつなぐ~命のサイクルプロジェクト~」と題して栽培活動と共に、地域の酪農見学・搾乳の体験や商業施設の見学などを通しながら、豊かな生活に必要な一つ一つの大切な命をいただいて私たちが生かされていることを学ぶ機会を設けた。栽培活動はユネスコスクールの加盟校である教育大学釧路校の協力のもと、麦やじゃがいも・人参の他、園内でも様々な野菜を育て、育てる・食べる・肥料となる畑の整理と栽培に係わる過程を体験した。10月にはお世話になった方々を招き、専門学校の協力のもとピザ窯を作成したのち、育てた野菜等を用いながらピザパーティーが行われた。参加者と共にピザを美味しく頂きながら様々な命、そして取り組みに協力してくださった方々へ感謝の思いを伝えられる良い交わりの時となった。このピザパーティーを今年度の活動の一つの終着点と考え、自然の『命のサイクル』に関する興味・関心はもちろんのこと、産業や地域についても理解を深めることができた。

来年度の活動計画

「ユネスコスクールSDGアシストプロジェクト」における国際目標を園で計画的に取り組む。子どもたちの一番身近にある園庭や公園など限られた自然を上手に活かすことが出来ていない現状の中から、近年の子どもたちを取り組む環境全般に着目し、よりよい環境の中で豊かな成長を促し、人や自然と調和しながら生きるための基礎を培う。

オリンピック開催年ということから、子どもたちの運動遊びや体力づくりを取り入れつつ、2年後に計画中の園舎建て替えに向けて、子どもたちの環境を整える。特に今年度は、園周辺の勾配のある住宅地という地域性や近隣の老人施設、小学校との交流を土台とした『園庭づくり』のための学びを、講師のアドバイスを受けつつすすめる。