2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 福祉, 健康, 食育

本校は、「発見! 私たちのまち「小立野」の魅力 ~知る・かかわる・考える・小立野を発信~」をテーマとして、ESDを自分たちが住む町の文化や人のつながりについての学習と捉え、ESDの実践を通して人と関わり、自分たちの暮らす地域の魅力をはっしんするための力の育成を目標とした。

ユネスコスクールの認定を受けて以来、環境や伝統・文化を主要テーマとして持続発展教育の実践に取り組んでいる。

具体的には、環境や伝統・文化を柱に、①環境に係わる活動、②地域の伝統文化・文化遺産に係わる学習を行った。

  • 環境に関わる活動

5年生の「金沢の自然環境」では、環境保全の観点から、里山とその奥にある奥山の果たす役割や、よりよいあり方などを探究した。まず、春に奥山として医王山地域の学習を行った。合宿での遠足体験を通して、豊かな自然が残り動植物のすみかとなっていること、奥山の森林が山を守り、栄養分豊かなきれいな水を作り蓄える働きを有することがわかり、県の自然公園として大切に管理されていることを知った。また、秋に金沢大学の角間の里において里山体験を行った。里山にも自分たちの住む街にはない豊かな自然が残っており、動植物のすみかや人々の憩いの場になっていること、木材や食材を生み出す等の働きがあることを知った。一方で、高度成長が始まった50年ほど前から、里山にくらす人口が年々減少し、高齢化、獣害、生態系の崩れなど、自然環境を保全する上で、奥山と街の緩衝地帯としての重要な役割を果たしている里山が荒廃しつつあることに気づいていった。そして、豊かな自然に親しむ、環境を守る取り組みに関わっていこうとする気持ちが子どもたちに高まっていった。

  • 地域の伝統文化・文化遺産に係わる学習

3年生の「小立野校区の秘密を探ろう」では、社会科の校区見学で、自分の町には他の町と違いがあり、それが自慢になることに気づき、町の自慢を発信することを目的に、改めて自分の住む町の良さを調査していった。さらに、総合的な学習の時間とも連携して、様々な施設の見学や、地域の人への聞き取りを行うことを通して、町の自然や歴史、人のよさを実感し、そのよさを町の自慢としてポスターや紙芝居等にまとめ、保護者や地域の人々に発信できた。

4年生の「伝統工芸を学ぶ」では、金沢仏壇の職人の方々を招いて、金沢箔の箔貼り体験を行い、職人の技と工芸品の美しさに興味関心を持った。そこで、金沢市のその他の伝統工芸についても、いつから行われているのか、どのようにして作られるのか等、調べる視点をもち、「華やか金沢」を中心に資料を集めながら調べ活動を行った。その結果、それぞれの伝統工芸には、長い歴史や培われた高い技術、それに支えられた多くの魅力があることを知り、良さを未来に伝えていきたいという思いを持つことができた。それで、そのことを壁新聞に表現し掲示することで学校全体にその良さを発信することができた。

6年生の「金沢の町に学ぶ」では、「金沢の伝統芸能」「金沢百万石まつり」「金沢の歴史的建造物・名所」の3つのグループに分かれ、それぞれが「華やか金沢」や「伸びゆく金沢」、インターネット等で調べ活動を行った。そして、特に伝えたいそれぞれのおすすめをパンフレットにまとめた。互いにパンフレットを紹介し合う活動を通して、自分たちのくらす金沢市についての理解を深め、新たな金沢の魅力を知ることができた。そして、さらに金沢を魅力ある町にしていき、その魅力を世界に発信していきたいという思いを強くすることができた。

来年度の活動計画

3年生以上の学年の総合的な学習の時間を中心に、地域の伝統文化、文化遺産に関わる学習を行い、地域への発信を行っていく。4年生では、健康・福祉に関わる学習を行い、障害者や高齢者との関わりや地域社会のあり方についても活動を進めていく。5年生では、自然環境に関わる学習を行い、身近な里山の自然体験を重ねる中で自然の大切さを学び、地球環境へと繋げていく。6年生では、社会科の学習とも関連を図りながら、国際理解・文化多様性に関わる活動を行い、日本国内だけでなく世界に目を向ける子の育成に取り組んでいく。さらに、今年度から行っているパラリンピックを教材とした障害者スポーツを経験することを通して、障害者への理解や努力することの素晴らしさについて考えさせていきたい。