2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

気候変動, 環境, 福祉, 持続可能な生産と消費, 減災・防災, 健康

本校は、持続発展教育(ESD)の理念と、スーパーサイエンスハイスクールの「科学する力をもった「みりょく」(魅力・実力)あふれるグローバルリーダー育成」という目標を融合させて取り組んでいる。本校のSSH事業の特色は、理系生徒だけでなく、文系生徒も含めた全校生徒を対象に、豊かな未来を創造できる人材育成の取組となっていることである。具体的には学校設定教科として1年生は「探究基礎」、2年生は「課題研究」、3年生は「課題研究Ⅱ」を柱に、問題発見・解決能力の育成に係わる教育、フィールドワークに係わる活動、国際社会に通用する発信力に係わる教育、地域貢献に係わる活動を行った。

① 問題発見・解決能力の育成に係わる教育
例年のように、1年生は基本的な思考方法や視点・手順を学習し、2年生は1年間をかけて、社会科学(文系生徒)、自然科学(理系生徒)に関して、協働的に自分たちで問題点を探し仮説を立て、解決のための作業や行程を立案し、客観的なデータで証明していく課題研究に取り組んだ。

②フィールドワークに係わる活動
上記①とは別に、スーパーサイエンス部の「国指定天然記念物小堤西池のカキツバタ群落の保全」に向けた活動を行った。これは、サンプリングや除草作業など実地調査に重点を置いている。また、刈谷市および周辺地域の在来種植物調査を年2回実施した。自宅周辺500m四方を担当して20種類程度の植物の生息を調査するものである。
これらの活動は継続的なデータを蓄積することが必要で、今年も新たなデータを加えることができ、生徒達は生物多様性や種の保存などの理解を少しずつ深めている。

国際社会に通用する発信力に係わる教育
全校生徒によるポスター発表を課題研究の成果としておこなった。さらに、その発表を英語に訳して口頭発表も行い、情報を全世界に発信する力を育てている。また、校外では、スーパーサイエンス部が全国生徒研究発表会、AITサイエンス大賞、科学三昧inあいち2018、刈谷市理科研究発表会などで学術的な発表を行い、情報発信の力を大きく伸ばすことができた。

④地域貢献
上記①の課題研究のテーマは、「刈谷の観光ルートの確立」「刈谷の特産物のアレンジ」「刈谷の伝統文化(万燈祭)の継承」など地元刈谷市を題材にしたものが多く、地域活性へのヒントとなるよう研究が進められた。また①のSS部の「国指定天然記念物小堤西池のカキツバタ群落の保全」は、生物学的な観点からの研究であるが、保全のPRという観点から研究が進められ、刈谷市観光課や地元地区と連携し「カキツバタ保全PRスタンプラリー」が開催されることになった。地元への大きな貢献はまだまだであるが、意識は高まっている。

来年度の活動計画

 本年度行っている活動は、基本的に来年度も行う予定である。特に、「国指定天然記念物小堤西池のカキツバタ群落の保全」「在来種調査」は本校の研究の中でも2本柱となるもので、データを収集しさらに研究を進め「全国生徒研究発表会」「科学三昧inあいち2018」「刈谷市理科研究発表会」などでの発表も継続していく。それに加え、SSHによる発表の場が多いので、ユネスコスクールとしての発表も考え、今まで多くなかったユネスコスクールの交流も深めたい。
課題研究は、生徒一人(1班)が1年間ずつで成果を求める研究方法になっている。しかし、それでは研究が深まらない恐れがあり、来年度は生徒達へ過去の研究データの提示を行い、今年度を受け継いで研究が行えるように促したい。また、社会科学的な研究がまだ多くなく、防災・貧困・教育などの社会問題の研究も促したい。