2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 環境, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野

 本校は,「地域の豊かな体験学習と多様な交流を通し,豊かな心をもち,ふるさと唐桑を愛する子どもの育成」をテーマとし,ESDを本地域の特色である海をフィールドとした海洋教育ととらえ,ESDの実践を通して「主体的・協働的に学び,様々な問題を自分事としてとらえ,解決するために行動する力」の育成を目標とした。具体的には,①地域の豊かな自然を実感する体験活動,②地域の海洋教育を支える人たちとの連携,③ふるさと唐桑に対する思いを共有し感謝の気持ちを表す場「リアスサミットin唐桑」の開催に取り組んだ。

① 地域の豊かな自然を実感する体験活動
 1・2年では,近くの浜で遊ぶ活動を通して海のにおいや音,風景を五感で感じ取った。地下水や海の環境に興味をもつきっかけとして,サケの稚魚飼育や放流活動にも取り組み,サケが育つ環境に目を向けた。3年では,地元で養殖されているワカメの種付け体験や作業見学等を通し,地域の方や外部講師の協力を得て課題解決を図った。4年では,カキ養殖体験1年目としてカキの種ばさみ作業を行った。また,カキの解剖を通してカキの生態に関する理解を深め,カキ筏の模型作りにも取り組んで漁師さんの苦労と工夫を感じ取った。5年では,カキ養殖体験2年目としてカキの耳つり作業を行った。また,カキが育つ地域の海の豊かさの秘密やプランクトンについての課題探究を進めることで,山と海の関係や,海の環境保全活動の大切さに気付いた。6年では,カキ養殖体験3年目として温湯処理作業やカキの水揚げ作業,カキむき作業等を行った。さらに,3年間のカキ養殖体験を通した学びについてまとめ,海の豊かさや海に関わる人たちの思いを発信した。

② 地域の海洋教育を支える人たちとの連携
 地域の幼・小・中が連携して情報を共有する一つの中学校区として,系統性を踏まえた海洋教育にしていくために,1年生と幼稚園児が合同で海に親しむ活動を行ったり,本校で行う「リアスサミットin唐桑」に中学1年生が参加したりすることで,園児・児童・生徒の交流を計画した。       
 また,本校の学校支援委員会(本校の海洋教育を支える若手漁業者・漁協の職員・漁業従事者のOB,公民館等)による支援要請を継続して行い,地域から学ぶよさを実感させながら,カキ養殖体験,カキ祭でのカキ販売体験,定置網起こし体験,ワカメの養殖等の活動を行った。特に,学校支援委員と繰り返し関わることで若手漁業者が漁業に誇りを持って仕事をする姿を身近に接することができ,ふるさとの海が豊かなことに気付き,よりよい生き方とは何なのかを考えるよい契機となった。

③ ふるさと唐桑に対する思いを共有し感謝の気持ちを表す場「リアスサミットin唐桑」の開催 
 海洋教育に関する学びを発表するとともに,地域の方への感謝の気持ちを伝える場として設定し,全校で取り組んだ。「リアスサミットin唐桑」に向けて準備を進めることで,児童が主体的・協働的に学ぶ姿が見られるようになり,学びの深化が図られ,新たな思考へとつなげることができた。また,参観者が児童の発表を通して地域のよさを再認識したことで,児童の自信につながり,地域の未来をどのようにしていきたいのかについて考えることができた。

来年度の活動計画

 地域の豊かな自然を実感する体験活動と多様な交流を通して,「豊かな心をもち,ふるさと唐桑を愛する子ども」の育成に,継続して取り組む。生活科と総合的な学習の時間を中心に,海をフィールドとした地域の環境,人,産業に関する体験活動を取り入れながら,各学年の課題解決(1・2年「海に親しもう」,3年「ワカメの秘密を探ろう」,4年「カキの秘密を探ろう」,5年「カキが育つ環境を考えよう」,6年「豊かな海を発信しよう」)を図る。また,全校の取組として「リアスサミットin唐桑」の開催や,市内外の小学校との交流の機会を新たに設定することで,地域の自然や人から学ぶ活動を通して気付いたことや考えたことを自分の言葉で伝える等,児童の主体性や協働性を育て,表現力や発信力の向上を目指す。さらに,海に関わる学びの中から地域の課題を見出し,SDGsに関する理解を深めることで,海洋教育を通した地域社会への働きかけや,未来につながる自発的な行動につなげていく。