2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境, 福祉

本校は,「未来の気仙沼市を支える人になろう」を活動テーマに,ESDを地域を支える人材を育成する場と捉え,総合的な学習の時間の年間指導計画に位置づけ実践した。ESDの実践を通して身につけさせたい資質や能力を,積極的に人とふれ合う力(かかわる),自分から課題を発見し探求する力(もとめる),他者と協力しようとする態度や力(はたす)と捉えて実践をした。

① 地域の環境と防災に係わる活動

第1学年は,地域の可能性を探り,震災時や災害発生時に避難,対応できる力を養うことをねらいとした。

東日本大震災が起こった当時条南中学校に勤務していた教員から,震災直後の条南地区や学校生活の様子について話を聞いた。中学生や大人たちがどのような行動をとり,何に不便や困難を感じていたかを知る事で,地域の防災への意識を高めた。また,地域の消防職員を招いての防災講話や救急救命講習を行い,災害時や緊急時に求められるふさわしい対応を学んだ。さらに,避難経路を調査するためのフィールドワークを実施し,グループごとに「防災マップ」を作成し発表した。以上の活動を通して,生徒たちは身近で具体的な課題に迫ることができた。

② 地域から学び自らの将来を考える学習

第2学年は,仕事をする人々の心掛け(考え方や行動)を学び,自らの夢を実現しようとする力を育むことをねらいとした。

進路講話では,デザイナー,ダンサー,料理人として気仙沼市内で働く,いずれも気仙沼市出身の20代の講師を招いて講話を聞いた。「働くことの意義」「働きがい」「社会人としてのマナーや礼儀」など,実際に地域で働いている人々の思いや何に魅力を感じて仕事をしているかなど,貴重な話を聞くことができた。生徒たちは年代の近い講師の方々から話を聞き,自分の将来への関心を高めたり,今やるべきことは何かについて考えを深めたりした。

③ 地域に貢献する活動

第3学年は,自己と地域の関わりを考え,地域の一員としての役割を果たす力を養うことをねらいとした。

各々のテーマに対するプレゼンテーションをゴールとした探究活動に取り組んだ。3学年の探究課題「地域に貢献する」に対して一人一人が個人テーマを設定し,自分の将来や今,生き方を視点に取り組んだ。

「観光」「産業」「福祉」などの観点から地域の課題を探り,自分の選んだテーマの中から地域に役立ち,福祉の一環として認知症に関する講話を地域の福祉団体の職員から,地域貢献の在り方についてはNPO法人の代表者や地域で起業している方を講師として招いて講話をいただいた。地域貢献や働くことは中学生にとって遠い将来のことのように感じるが,地域を思う心があれば誰でも地域に役立つ人材になることを実感した。

来年度の活動計画

ESDの学習活動については「総合的な学習の時間」の中で計画し,実践を積み重ねていく。学習活動については地域を学習素材にして外部機関と連携を図りながら,より探究的な活動を取り入れて次年度の活動計画を立案していく。これまでも3年間の系統性を考えた内容ではあったが,来年度以降は更に強化し,1,2学年での学びの中から地域の課題を見いだして3学年で課題解決につながるよう改善を図りたい。また,1,2年生の学習が小学校の学習の積み上げとなるような工夫も必要である。今年度は各学年で外部機関と連携し,積極的に人とかかわる力が育ってきた。来年度は自ら課題を発見し探究する力を伸ばしていけるような取組を工夫したい。