2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境, 福祉

本校は、「未来の気仙沼市を支える人になろう」を活動テーマに,ESDを地域を支える人材を育成する場と捉え,総合的な学習の時間の年間指導計画に位置づけ実践した。ESDの実践を通して身につけさせたい資質や能力を,積極的に人とふれ合う力(かかわる),自分から課題を発見し探求する力(もとめる),他者と協力しようとする態度や力(はたす)と捉えて実践をした。

① 地域の環境と防災に係わる活動

第1学年は,地域の可能性を探り,震災時や災害発生時に避難,対応できる力を養うことをねらいとした。

東日本大震災が起こった当時条南中学校に勤務していた教員から,震災直後の条南地区や学校生活の様子について話を聞いた。中学生や大人たちがどのような行動をとり,何に不便や困難を感じていたかを知る事で,地域の防災への意識を高めた。

また,グループ毎に防災に係わるテーマを設定して探求活動を行った。主なテーマは,「地域に起こった災害の歴史を学ぶ」「新しい避難場所」「条南中学校4階で避難生活ができるか」「中学生がケアセンターを開くには」「異なる特徴を持った世帯が災害避難」「災害時の明かりのために僕たちができること」等である。災害を地震や津波に限定せず,『自然災害から安全に避難するにはどのようにすればよいか』や『避難所での生活について』など身近で具体的な課題に迫ることができた。

② 地域から学び自らの将来を考える学習

   2学年は,仕事をする人々の心掛け(考え方や行動)を学び,自らの夢を実現しようとする力を育むことをねらいとした。

   進路講話は全3回。第1回目は気仙沼公職安定所の職員を講師から,「働くこと」について講話をいただいた。第2回目は気仙沼商工会議所から紹介していただいた市内6つの事業所の方に来校いただき,「はたらきがい」についての講話をいただいた。実際に地域で働いている人々の思いや何に魅力を感じて仕事をしているかなど,貴重な話を聞くことができた。尚,第3回目は1月下旬に行う。地元の起業家を講師に招き,地域との関わり方等について講話をいただく予定である。

   職場体験は全2回。7月と10月に実施した。市内の事業所に協力いただき,一度目の体験で課題になったことや反省点を二度目の体験学習で生かすことができた。たくさんの人々が係わって地域が動いていることを実感したことで,地域の活性化には人の力が大きいことに気付き,自分の将来の在り方を考えるきっかけとなった。

③ 地域に貢献する活動

3年生は,自己と地域の関わりを考え,地域の一員としての役割を果たす力を養うことをねらいとした。

「観光」「産業」「福祉」の観点から地域の課題を探り,自分の選んだテーマの中から地域に役立つ提言をするために探求学習をおこなった。「観光」では食や土産品,観光スポットの魅力などに着目した。「産業」では漁業や農業,林業の観点から地域をよりよくするための提言を考えた。「福祉」では,お年寄りや外国人にもやさしい地域づくりや公共交通機関の利便性に目を向けた。また,福祉の一環として認知症に関する講話を地域の福祉団体の職員から,地域貢献の在り方についてはNPO法人の代表者や地域で起業している方を講師として招いて講話をいただいた。地域貢献や働くことは中学生にとって遠い将来のことのように感じるが,地域を思う心があれば誰でも地域に役立つ人材になることを実感した。

来年度の活動計画

ESDの学習活動については「総合的な学習の時間」の中で計画し,実践を積み重ねていく。学習活動については地域を学習素材にして外部機関と連携を図りながら次年度の活動計画を立案していく。これまでも3年間の系統性を考えた内容ではあったが,来年度以降は更に強化し,1,2学年での学びの中から地域の課題を見いだして3学年で課題解決につながるよう改善を図りたい。また,1,2年の学習が小学校の学習の積み上げとなるような工夫も必要である。今年度は各学年で外部機関と連携し,積極的に人とかかわる力が育ってきた。来年度は自ら課題を発見し探求する力を伸ばしていけるような取り組みを工夫したい。