2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 持続可能な生産と消費

2022年度 ユネスコスクール活動報告書

本校は「善く生きる子」を学校教育目標として掲げ、ESDをカリキュラム・マネジメントの柱として教育活動を進めている。本校のESDのテーマは、「ふるさと甚目寺 かかわる つたえる つながる」である。その大きなテーマを礎として、1年生「学校周辺や幼稚園・保育園との交流」、2年生「地域の商店街や施設との交流」、3年生「地域の防災」、4年生「地域の自然環境」、5年生「地域の産業」、6年生「地域の文化遺産」とそれぞれ学年の活動テーマを設定した。また、以前から取り入れていたSDGsとの関連をはっきりと示し、その視点をもたせて活動に取り組ませることを目標とした。しかし、2021年度に引き続き、2022年度も新型コロナ感染症の影響により、人とかかわる活動を自粛せざるを得ない状況にあった。前年度よりいくらか活動の制限は緩和されたものの、学年によっては、テーマに沿った活動を十分に行えなかったり、テーマの範囲内で活動内容を大幅に変更したりした部分があった。

 

① 防災に関わる学習

市の安全・安心課と連絡をとり、ボランティア団体「防災ネット」の方々を迎え、3年生を対象として出前授業を行った。災害が起こった際、どのように避難すべき

か、避難するときにどうしたらよいかを教わった。新聞紙でスリッパを作れること、毛布が担架の代わりになること、段ボールでベッドを作れること、ペットボトルと懐中電灯で周囲をより明るくすることができることなど、さまざまな工夫を学んだ。身近なものを用いて、自分や周りの人の身を守ることができるということを知るよい機会となった。

② 地域の文化・文化財に関わる学習

あま市は、近代七宝焼の祖である尾張七宝焼を擁する地区(あま市七宝町)がある。市内にある尾張七宝焼に関する総合施設「七宝焼アートヴィレッジ」より講師を迎え、4年生を対象に「七宝焼き体験」の出前授業を行った。あらかじめ自分で考えたデザインをもとに、釉薬をのせ、電気窯で焼き、オリジナルの七宝焼きのキーホルダーを作った。地元の伝統工芸の素晴らしさを感じるとともに、後継者不足という深刻な問題を抱えている事実を知り、伝統工芸を絶やさないためにはどうすればよいかについて考える機会となった。

6年生は、毎年度、希望者を募り、学校の隣にある甚目寺観音の節分会(豆まき)に参加している。2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大により行事が

行われなかったが、2021年度も2022年度も実施され、参加することができた。実際に壇上にあがり、参拝者に向けて力強く豆をまくという体験をすることで、日本の伝統行事にふれるよい機会を得ることができている。また、節分が訪れる前に甚目寺観音の境内の清掃も行っている。自分たちが暮らす町にある重要文化財を、自分たちの手できれいにしようとする奉仕の心を育む機会となっている。

 

③ 持続可能な生産と消費に関わる学習

5年生では、地域の産業について調べるため、夏に取材活動を行う予定であったが、思うように進めら

れなかった。実際に事業所を訪問することはできなかったが、地元の特産野菜である「小松菜」「方領大根」や、伝統工業である刷毛づくりについて調べた。どちらも地域にお住いの方やお勤めの方が講師として来校し、そ

れらの歴史や現在の状況などを教えてくださった。日本が抱えるさまざまな課

題にも目を広げ、甚目寺の産業につなげていった。甚目寺の農家や職人が減少していることに気付いたり、地元の産業に関心をもったりすることができた。

 

④ 甚目寺小学校ESDのまとめの活動

6年生では、「未来の甚目寺」をテーマに、市の企画政策課の方による出前授業を実施している。これからも住み続けたい町にするために、自分たちに何ができるか、現在どんな問題があるのかなどを探ったり調べたりする。1~5年生まで、主に総合的な学習や生活科で学んできたことを基に、自分たちで調べたことを、各々が新聞にまとめた。現在のあま市や甚目寺地区の現状を見つめ、持続可能な社会にしていくために自分たちがどのようなことができるかについて一人一人が考えた。

来年度の活動計画

来年度の活動計画

本年度も、コロナ禍という状況により、人とかかわる活動を自粛せざるを得ない現状があり、テーマに沿った活動を十分に行うことができなかった学年もあった。このような時代にあっても、地域とのかかわりが途切れぬよう、さまざまな角度から活動の進め方を考えていきたい。

本年度は、ESDカレンダー通りの活動を進めることが難しかったので、引き続き各教科の単元を確認し、アフターコロナの時代も見据えながらESDカレンダーの見直しを図っていく。

また、ESDで育みたい態度・能力についても、教科の特性を考えた上で、どの態度・能力を育んでいくかを示し、SDGsとの関連も考えさせた上で各教科の授業も進めていきたい。