2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 減災・防災, エネルギー, 環境, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費

 本校は、「地域や社会に生きる一員として、公のために行動する」を活動テーマに、ESDを「人と人がつながる活動」の手段と捉え、ESDの実践を通して「地域や世界の人々と協働・連携を円滑に進めるためのコミュニケーション能力の育成」「次世代を考えて生活する力(世代間倫理)の育成」を目標とした。
具体的には、防災学習、環境学習、福祉学習を柱に、①防災に係わる活動、②環境保全に係わる活動、③卒業生や小学生との交流、④福祉に係わる活動、⑤他地域の中学校との交流を行った。

① 防災に係わる活動
本校では遠足を防災の観点から捉え、中学2年生が同じ校区の小学校2年生の手を引いて遠足場所に行き、地域の炊き出しによる昼食、そして、自宅まで送り届けるという「防災遠足」を実施した。最初から最後まで生徒は目を輝かせながら主体的に活動した。地域の方に見守られながら中学生が小学生をエスコートする姿は、まさに中学生の地域貢献の在り方を示すものであり、実施前に予想していたものをはるかに上回る教育効果を感じた。

② 環境保全に係わる活動
  約10年前から続いている「大好き泉川の日(地域とともに行う環境美化活動)」の運営を、本校奉仕委員会が担っている。校区内を自分たちの目で確認し、どこをどのようにきれいにしたいのかを企画・立案して泉川校区まちづくり連合自治会環境美化部に掛け合うことは、中学生にとって大変なことだが、回を重ねるごとに充実した活動になっている。その結果、多くの地域の方々や全校生徒の約半分の参加にまで成長し、自分たちの手で地域を美しくしていこうと大変意欲的な活動となっている。
  
③ 卒業生や小学生との交流
夏休み、冬休みを利用し、公民館等で「学習会」を開催した。本校卒業生と連絡を取り、講師として招いて本校生徒の補充学習を行った。夏休みは小学生も参加し、中学生が講師の立場も体験した。この活動を通して、普段は接する機会の少ない異年齢の児童や高専生・大学生等とじっくり交流でき、これからの地域の発展や持続可能な社会づくりに貢献していくことを考える機会にもなった様子である。

④ 福祉に係わる活動
本校には「奉仕の日」という、半日を掛けて資源回収行う日が年間3回ある。ただ単に自宅から資源を持ってくるだけではなく、事前に地域に出向いて実施の意図を伝え、当日は地域を回って各家庭の資源を回収する。30年以上も続くこの活動は、学校と地域を何度も往復し、たくさんの地域の方々とコミュニケーションを取ることができる本校伝統の行事である。高齢者や独居の方々に大変好評であり、地域の方から頼りにされる体験や、感謝の言葉を受けることは本校生徒にとって地域貢献を行う際の励みにもなる。また、異世代との交流を大切にしているこのよき伝統を次世代へ引き継いでいくための最適の伝統行事と言える。また、社会福祉協議会及び民生委員の方々と共同で地域に住む独居高齢者宅を1年生が訪問している。訪問した独居の方だけでなく、いっしょに訪問した地域住民との交流を図ることもでき、交流関係が広がった。
⑤ 他地域の中学校との交流
  山口県光市立浅江中学校(コミュニティー・スクールの先進校であり、循環型社会を地域とともに目指している)を地域の方とともに訪問した。今年度で3年連続の合同リーダー研修会である。高度なプレゼンテーション力を発揮する浅江中の生徒やそれを支える地域の方々の姿に、本校の生徒も教師も、そして地域の方々も刺激を受けた。そして、お互いの学校の取組を発表しあい、意見を交流させながら今後の活動について考えを深める活動となった。今後も自分の考えをわかりやすく相手に伝える表現力やプレゼンテーション力の向上をESDの実践を通して高めていこうと考えている。

来年度の活動計画

 これまでに行われてきて行事について、これまで「何のためにやるのか」「その教育的効果は何か」「ESDの観点で捉えるとどうなのか」という視点で考え、取捨選択し、改善を加えてきた。その結果、どれもが年々充実したものへと生まれ変わっている。本年度は、循環型社会を築いていくための「未来の担い手」となる生徒の育成に力を入れて活動を行ってきた。月1回の専門委員会に地域の連合自治会専門部から責任者に来校していただき、よりよい地域の創造を考えていく場としている。来年度はこの場をさらに充実させ、生徒が地域の担い手としての自覚がもてるように地域と連携していきたい。