2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 福祉, その他の関連分野

印旛特別支援学校は、印旛特別支援学校本校とさくら分校において、「夢や目標の実現を目指し、健康でたくましい児童生徒の育成を図る。」ことを教育目標とし、本校では地域との交流と社会参加について、さくら分校では生徒主体の防災教育について、それぞれ活動を行っている。

・印旛特別支援学校(本校)「地域との交流と社会参加」

本校ではESDの実践を通して、地域との交流や、自助・共助の力を養い、発達段階に応じた地域との連携や卒業後の社会参加を目標とした。具体的な活動については、地域との交流学習を柱に小学部、中学部、高等部の児童生徒の実態に応じた内容の計画を立てている。例年、地域の小学生や近隣大学の関係者を招いた交流活動を行ったり、地域のごみ拾い活動を行ったりしているが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い実施できないものもあったため、各学部で内容の見直しを行った。今年度の取り組みについては、以下のとおりである。

  1. 小学部

小学部では今年度、全体で活動を行うことはできなかったが、低学年の児童は近隣の小学校との交流学習を行った。 コロナ感染予防対策のため、直接的な交流は行わず手紙や動画でのやり取りとなった。

初めに近隣の小学校の同学年から手紙と朝顔の種をもらった。プレゼントをもらったことを伝えると、本校の児童たちからは「プレゼントのお返しをする!」と声が上がり、お返しにメッセージと動画のプレゼントを贈った。お返しのプレゼントを渡す際のみ本校の昇降口前で顔を合わせ、代表者の児童同士が前に出てプレゼントの受け渡しを行った。後日メッセージと動画を観た小学校の子どもたちから「今度は一緒に遊びたいと思った」「仲良くしたいと思った」などの感想をもらった。直接的な交流をすることはできなかったが、お互いに良い交流ができたのではないかなと感じた。また、実際に会うことの大切さを改めて感じ、来年は実際に会って交流することができたら良いなと思った。

  1. 中学部

今年度は、コロナ禍ということもあり、地域との交流をすることができなかった。そこで、中学部3年生は、生活単元学習で「将来の生活を経験しよう」を行った。この単元は、3つのグループ(①「窓清掃グループ」②「ほうき清掃グループ」③「ローラーキャッチャー受注グループ」)に分かれて、将来に向けて働く力を養うことを目標に、中学部から高等部の生活、また、その先の高等部卒業後の生活も意識できるように取り組んだ。①、②の清掃では、特別支援学校清掃検定の種目に沿って清掃の仕方を身に付けた。これは、高等部の作業学習を意識したものである。③は高等部卒業後の作業所を体験した。本単元では、「あいさつ」「返事」「報告」といったことも大切にし、日常生活でも汎化できるように学習に取り組んだ。本単元をとおして、「返事」や「報告」をきちんと相手の目を見て伝えたり、あいさつをきちんとできるようになったりしてきた。将来の生活につながる学習となった。

  1. 高等部

高等部では例年通り、卒業後の進路に向けた校内実習を年1回、現場実習を年2回(1年生は1回)行った。校内実習は、学年や学級の隔たりを無くし、仕事内容別のグループで二週間活動する。現場実習では、実際に生徒が生活をしている地域にある施設や企業で二週間の実習を行う。どちらも、生徒が卒業後の進路を決定するために必要な経験であると同時に、施設や企業の方々にとっても、地域で生活をする生徒の実態や様子を知ってもらう良い機会となった。加えて、今年度は、「実習壮行会」と「実習報告会」の様子を本校ホームページで公開した。生徒の発表や実習中の様子を公開したことで、より多くの人に高等部の生徒が卒業後に働く環境や実習を通して将来を考えている姿を知ってもらうことができた。

 

・印旛特別支援学校さくら分校「生徒が主役の防災教育2021」

さくら分校では、平成28年度から、一斉避難訓練等の学習と合わせて、生徒が主体的に学ぶ機会を設け「防災の学び」の日を設定している。1日を通して、授業を全て防災に関連付けた学習を行っている。1年生は「災害時の生活」をテーマに、避難生活について調べ学習をした。2年生は「2019年10月に起きた豪雨災害」をテーマに、学校周辺の被害状況について地域の人々にインタビューをした。3年生は「自らの命は自らが守る」をテーマに、自分の町のハザードマップや学校からJR佐倉駅までの通学路の中で危険なところなどを調べた。「防災の学び」の当日は、各学年1時間ずつ学習の発表を行った。各グループの発表後に設けられたチャットを活用した質問コーナーで、各クラスから積極的に質問や感想が出てきた。また、2年生の発表では、災害の対応策を学ぶために、地域の方々にインタビューをすることで外部と関わりを持つことができた。

今後は、「共助」の理解をさらに進めて、学校の防災教育の取り組み等を地域住民に積極的に情報提供し、ともに地域の防災・減災に向けて考える機会をもつことが、生徒のみならず、継続的に地域全体の防災・減災意識を高めることにつながっていくのではないかと考える。

来年度の活動計画

本校、さくら分校共に来年度も今年度の計画をベースに予定している。感染予防策を講じた上で、実現可能な範囲で行いたい。活動に制限のある中でも、今まで行ってきた活動の積み重ねを継続・維持できるよう、実施内容や感染予防を工夫していきたい。地域の方々との交流に関しても、直接的な関わりについては状況を判断して活動の実施可否を決定する。

本校

 ①小学部  近隣小学校との交流学習

 ②中学部  職業体験

 ③高等部  現場実習

 ④全校行事 いんば祭り、よしきりフェアなどの行事

さくら分校

 ①年間を通じて総合的な探求の時間での防災教育を継続する。

 ②「防災の学び」を始めとした横断的な授業の展開

 ③さくら分校が学び舎としている千葉県立佐倉南高校との防災行事の交流

引き続き、実際の災害を想定しやすい体験型の訓練や、主体的な活動を多く取り入れた「防災の学び」の実施を行い、生徒と職員が相互に防災意識を高め合う授業を行う。