2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 気候変動, エネルギー, 環境, 持続可能な生産と消費

 本校では,「地域」と「環境」を柱として,総合的な学習の時間を計画している。1年次では,地域の環境についての調べを行い,2年次では名古屋分散学習を利用して地域から県へ,さらに,3年次では修学旅行を利用して県から全国へと見識を広げている。「環境」の調べを軸に置く中で,さまざまな人と出会い,企業で働く人の思いに触れたり,働くことの意義を考えたりする中で,将来の自分のあり方や,どのように社会の一員として生きていくかを体系的に考えさせたいと考えている。それが持続可能な社会づくりをめざす社会の一員を育てること(ESD)となると考えている。
 今回,2年生では,「持続可能な社会を目ざそう~企業の取り組みから学ぼう~」をテーマにESDの実践を行ったので紹介する。

◎ 持続可能な社会づくり(ESD、SDGs)に関わる活動 「持続可能な社会を目ざそう~企業の取り組みから学ぼう~」の実践を通して

① 目標
 ESDに取り組む企業の思いや具体的な活動を学ぶことを通して,環境問題などのさまざまな問題を自らの問題として捉え,これからの生き方を考えることができる。
② 実践の内容

 本実践では名古屋分散学習をESDの観点から捉え,社会認識を育てる手段として活用する。名古屋は三大都市の一つであり,日本の経済を支える有名な企業もたくさんある。有名な企業であれば,メインの生産活動に加えて,持続可能な社会を目ざす取り組み(環境対策や社会貢献など)が確立されている場合が多い。名古屋分散学習を利用し,持続可能な社会を目ざす取り組みをしている企業にねらいを定め,ESD的な視点をもって調べ学習を進めていけば,ものやサービスといった企業の表の面だけでなく,よりよい社会を目ざしたさまざまな異なる面に気づくことができると考えた。

 まず,名古屋にある有名な企業について知っていることやどんなイメージをもっているか話し合うと,スーパーで企業の商品を見たり,TVのCMで見たりして,ものやサービスの生産活動を行っていることは理解していた。そこにESD,そしてそれを目ざす17の目標であるSDGsという視点を与え,企業が取り組んでいる環境問題や社会貢献事業などの新たな一面に目を向けさせた。インターネット等を使い調べ学習を進め,興味のある活動を行っている企業に絞り,同時にSDGsも「7エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「8働きがいも経済成長も」「11住み続けられるまちづくりを」「12つくる責任つかう責任」に絞られていった。さらに調べを進めるうちに実際に名古屋に行って見たり聞いたりしないとわからない疑問が具体的に出てきたので,その疑問を原動力として名古屋分散学習へ向かうこととなった。

 名古屋分散学習では,企業に訪問し,インタビューの時間をとっていただき,SDGsの取り組みについて学んだ。目的意識をもって生き生きと活動した生徒たちの様子が見られた。その後,名古屋分散学習でそれぞれが学んできたことを関わらせていく時間を設定した。ここで,SDGsというカテゴリーに分けたことが生きてきた。多岐にわたる企業の取り組みが整理でき,共通点や相違点に気づきながら,「持続可能な社会づくり」という大きな共通の目標に向け,それぞれの企業ができることに取り組んでいる図式が見えてきたからである。また,生徒たちは,企業の取り組みが自分の身近なところにまで枝葉を伸ばしていることから自分と社会のつながりを感じたと振り返っている。現在の自分ができること,未来の自分のありたい姿など持続可能な社会の一員としての自分とは何かを問い直し,新たな価値観をもつことができた。

来年度の活動計画

 本校では「環境」を軸とした活動をメインに、3年間を見通した総合的な学習を行っている。今年度はさらにESDやSDGsを前面に押し出した活動を取り入れた。「環境」はメインだが、そこから派生する様々な事象をSDGsと照らし合わせ、焦点化させていくことが有効であるとわかった。また、総合的な学習だけではなく他教科ともかかわりをもたせた横断的な捉えや、1年間ではなく3年間の見通しを持った縦断的な捉えも必要である。「環境」がメインは来年度も大きく変わることはないが、柔軟に他教科、他事象を関わらせながらESDに取り組んでいきたい。