2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 環境, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野

本校ではすべての教育活動を通じて、「郷土教育」の充実を図っている。郷土・上宝は雄大な自然と歴史ある伝統的地域であり、誠実で温かな地域性、学校を大事にし、子ども見守る雰囲気のある地域である。しかし、一方では過疎化が進み地域の産業や発展には不安が感じられる課題も持ち合わせている。
こうした地域にある学校として、「ふるさとを愛する 心豊かな たくましい子の育成」を学校理念としている。この理念の下、ESDを『人・もの・ことのつながりをゆたかに広げていく学習を展開すること』と捉えている。そして、このESDの実践を通して、自然体験や伝統文化、地域の歴史の継承活動を維持していき、仲間や地域の方々と触れ合い助け合う中で、人との『つながり』を大切にする子どもになっていくと考えている。さらに、子どもたちは校区のよさや問題点を把握する中で、ふるさとを誇りに思い、自分たちの力でより発展させていこうと働きかけていく力が身につくと考えている。
そこでESDを通した実践の目標を次のように設定した。
・上宝の地域を知り、学び、大切にしようとする地域愛を育んでいく。
・学校の仲間、地域の人と関わることで、人間関係構築力を育む。
・地元を愛する心を発展させ、市、県、国を愛する心につなげ、やがて地球規模で物事を考えることのできる人に育てる。
具体的には、自然体験、環境学習、歴史学習を柱に、①地域を知る活動、②本郷の山やそこに暮らす動物に係わる活動、③米作りに係わる学習、④自然災害や防災に係わる学習、⑤郷土の偉人を学び自分の未来を考える学習を行った。
① 地域を知る活動
1・2年生は、主に生活科の授業でESDに取り組んだ。学校の周りにある花や虫、木々や川、水にふれ、豊かな自然に囲まれていることに気づかせた。そして、そこに暮らす人々と声をかわし地域の人々と触れ合う活動を通して、上宝の良さを肌で感じる体験活動を行った。
具体的には、「町たんけんをしよう」「町の人とあいさつしよう」「地域の不思議を発見しよう」「人々の暮らしをみてみよう」「やさしい町・上宝」「地域で遊ぼう」「地域のよいところをみつけて発表しよう」などの教材を開発し活動した。

② 本郷の山やそこに暮らす動物に係わる活動
3年生は、総合的な学習の時間にESDに取り組んだ。地域の山「いさご山」に春夏秋冬と季節ごとにのぼり、年間を通して、豊かな自然、山の自然の特徴や移り変わりを感じ取ることができた。この登山には地元の森林組合の専門職がガイドを行い、様々な花や木々、虫や動物の名前や特徴等をその場で詳しく学ぶことができた。また、木や花を持ち帰り、草木染をしたり、木のキーホルダー、しおりなどを作成したりするなど、自然のものを使って楽しんで学ぶこともできた。

 

③ 米作りに係わる活動
5年生は総合的な学習の時間にESDに取り組んだ。本郷は米どころであり、毎年全国のコンクールで金賞を受賞する地元の農家に、米の先生として指導をお願いし、子ども達と地域の力で、うるち米を栽培した。今年度は、コロナ禍にあり十分な活動はできなかったが、水やり、観察、稲刈り、脱穀、精米、米販売、しめ縄作りなど、たくさんの作業に取り組んだ。また、「第23回米・食味分析鑑定コンクール」に収穫した米を出品し、小学校の部で特別優秀賞を受賞することができた。
米作りを通して、お米の大切さを知り、作業の苦労や工夫を学び、米作りの喜びを味わうことができた。また、地域の方の苦労や知恵から、協働して働くことの大切さやふるさとへの愛を育むこともできた。

 

④ 自然災害や防災に係わる活動
4年生5年生は、総合的な時間の学習でESDに取り組んだ。地元の山・焼岳を中心とした自然災害の現状を知り、その防災について、防災活動に係わる方から話を聞いたり、実際に災害に遭われた方の体験を聞いたりした。また、地域の環境について学び、水、川、環境、砂防、山岳救助、西穂高岳独標登山、筑波大学教授によるナダレンジャー講話、飛騨山脈ジオパーク推進協議会職員による講話等、様々な活動を体験することで、総合的に防災に関する知識を身につけ、自然や命を守るために大切なことを学ぶことができた。
地域のNPO法人神通砂防の方や、栃尾の砂防センターの方々、環境衛生団体の方、地元の災害体験者の方などたくさんの方から、具体的な話を聞き、直接現場での体験活動を通して、防災意識を高めることができた。

 

⑤ 郷土の偉人を学び、自分の未来を考える学習
6年生は総合的な学習の時間でESDに取り組んでいる。地元の偉人、江戸時代に百姓一揆のリーダーとして自分の命を懸けて人のために生きた「本郷村善九郎」について学び、人としてどう生きるか、自分の生き方を見つめ高い理想を持ち未来を創造することについて考えることができた。
「本郷村善九郎の学習」では、歴史民族資料館、高山陣屋、本郷の本覚寺などに行き、見学や講話を通して善九郎の生き様を学んだ。
また、学習発表会「はちの子会」で、善九郎の生き様を劇にし、下学年や教職員に見てもらうよう準備している。

 

各学年の①~⑤の活動は、1年間を通じて取り組み、その学びの発表の場として、学校文集『はちの子』の発行と、学習発表の場『はちの子会』がある。
1年間の学びをまとめた文集は、保護者、地域の全家庭に配布している。学習発表の場「はちの子会」は、各学年が1年間の学びを劇やプレゼンなどにして自分達で作りあげ発表している。

来年度の活動計画

令和4年度も本年度の活動を継続して行う。
・1・2年生は、地域の探検や発見、そして地域の人とのつながりの機会をもち、充実させていく。
・3年生は、地域にある自然や動物のことを、体験活動を通して詳しく追求し、そうした活動の中からでてきた疑問やより調べてみたい内容について、深めていく。
・4年生は、地域の自然環境、災害、防災について追及するとともに、被害にあった地域の学校などと交流が出来るとよいと考えている。
・5年生は、「米作り」の学習を継続して行っていく予定である。また、来年度は金賞受賞をめざし「米・食味分析鑑定コンクール」に出品していきたいと考えている。
・6年生は、本郷村善九郎の学習を継続して行う。さらに体験学習を通して学ぶこと、そして地域の語り部などにも話を聞いたりし、学習を深めていく。