2020年度活動報告
本年度の活動内容
生物多様性, 減災・防災, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権, 健康, 食育
本校は、小中一貫で「グローバルな視点」からの児童・生徒の育成を目指しており、学習指導要領に示されている持続発展教育を実施しているが、各教科等の学びを統合したり、有機的に関連付けたりすることを意図的に行っている。そうすることで生徒自身が持続可能な社会の構築に向けての当事者意識をもつものと考える。
それには、教科等で培った持続発展教育に関する知識・理解等を、総合的な学習の時間や特別活動の時間を利用して行動化することが大切である。教育活動全体で持続発展教育に向かう共通理解を、生徒と教師、保護者、地域・社会に図ることになるからである。必要な教育資源(様々なネットワーク、実践資料等)を獲得し、その意義を共通理解しながら生徒とともに活動に取り組んでいる。
① 生徒会活動におけるユネスコスクール活動 本校は、生徒会活動において、ユネスコスクールの四つの基本分野に基づいた委員会活動を推進している。具体的には、「ユネスコスクール活動認定」として、ユネスコスクールの4四つの基本分野に基づいた委員会の活動を表彰し、全校にユネスコスクールの理念および取組について校内放送等を通じて発信している。 前年実施した牛乳パックリサイクルなどは、新型コロナウイルスの影響で実施を見送らざるをえなかったが、実施可能な活動を精選し、継続して取り組むことができた。具体的には、環境教育に関しては、生徒会役員会の世界寺子屋運動への継続的な参加を行っており、今年度は、書き損じはがきの回収を実施した。1月中旬の段階で200枚を超えるはがきを回収しており、今後も継続していく。 異文化理解教育の推進に関しては、委員会活動の一環として、諸外国の伝統的なスポーツを紹介するポスターの掲示や、日本語の起源や、諸外国において日本文化が取り入れられた例を紹介する取り組みを継続した。 地球規模の問題に対する国連システムの理解については、開発途上国の現状を伝える本をはじめとした学校図書館におけるESD特設コーナーの設置、開発途上国の問題を周知するプリントを作成、配付した。 健康に関しては、水飲み場におけるソーシャルディスタンスの確保のため、間隔を設ける印を作製したり、図書室の利用の際の感染予防対策のアイデアを出し合う活動を行った。これらの取組に対しては、教師の指導・確認のもと入念に行ったが、生徒自身がアイデアを考える機会を設けることで、生徒自身の感染予防意識の向上につなげることができたと考える。
② 社会参画力を育む総合的な学習の時間の実施 当校は、変化の激しいこれからの社会において、地球的な規模の問題や課題の解決に向けて、英知を結集して取り組むことができる人材の育成を目指している。よって、これからの社会の問題やその在り方について着目したとき、社会で必要とされる資質や能力、持続可能な社会の構築に向けて自らが参画していく力や態度、いわゆる社会に参画する力が求められる。 これらを踏まえ、社会参画力を育成する総合的な学習の時間を実施している。生徒は、自らの興味・関心に基づいた課題を設定し、インタビュー活動や他者に発信する探究的な学習を行っている。 第3学年では、ジェンダー・環境・異文化理解等、ユネスコスクールの四つの分野とも関連するテーマについて研究する生徒も多い。1年間の学習を終え、生徒は、主体者意識をもち、理想とする社会の実現のために自分たちにできることを具体的な行動で述べてようとしていた。研究の課題に対する結論を自分ごととして捉え、実生活で実践できることを伝えようとしている姿から、社会の一員として一翼を担うことの意識や態度を身に付けていたといえる。 また、第1学年では、今年度は新型コロナウイルスの影響で起こった問題に対する課題を生徒一人一人が設定し、どのような対策を講じることができるのか、どのような生活を心がけることができるのかなど、学習を行っている。例えば、「接触感染アプリの普及状況」「業種ごとの感染予防対策」「不安に感じていること」など、設定している課題は様々である。これらに対してアンケートやインタビュー活動を実施し、個々の課題の解決に向けて学習を行っている。年度末には、1年間の学習のまとめを発表する機会を予定している。
③ 旅行的行事におけるESDとの関わりを意識した学習 今年度は、防災教育の一環として、学校行事と教科の学習との接続を意識した取組を行った。第2学年において、学校行事で野外学習を実施する際、家庭科の防災学習の一環で学んだ「ハイゼックス炊飯袋」を使用し、野外炊事学習を行った。このハイゼックス炊飯袋は、お湯でお米を炊くことができ、災害発生時などにも使用することができる。 ④ 学校給食における異文化理解 また、年に数回、世界の国々の料理を提供する日を設けている。その中で、その料理の特徴や、どのように食べられているかについて給食だよりで生徒に周知することで、世界の食に対する理解を深める取組を行っている。例えば、中国料理の紹介では、テンメンジャンで味付けをした中華そぼろごはん、千切り野菜の入った黒酢あんかけをかけた揚げたタラなどを提供した。 |
来年度の活動計画
昨年度から実施している、生徒会活動におけるユネスコスクール活動を生徒が計画・申請する仕組みについては次年度も継続して実施していく。加えて、活動の承認による全校生徒の意識の向上だけでなく、生徒会の組織の一つである、放送専門局と協力して、全校へのユネスコスクールの4つの基本分野を全校に周知する活動などを実施することで、自分の所属する委員会以外の活動に対しても意識を高めることができるような取組を実施していきたい。
また、3年生の総合的な学習の時間においては、次年度はSDGsの十七の目標との関わりの中から、どのような社会問題が身の回りにあるのかを考え、その上で生徒が個々の課題を設定できるような単元計画を考えている。その他、学校行事や委員会活動においても十七の目標を意識することで、自分たちが今行っていることがどのような社会問題と関わっているのかを意識しながら学習を行うことができる。