2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 福祉, 持続可能な生産と消費, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

2022年度 ユネスコスクール年次活動報告

北海道登別明日中等教育学校
校長 小 西    晃
担当 中 陳 順 子

2022年度の活動内容

本校のユネスコスクールとしてのESD活動は、本校が教育目標に掲げる「高い知性」「豊かな人間性」「健康な心身」「郷土愛と国際性」を実現する上で、重要な役割を果たしている。
過去5年間の文部科学省「スーパーグローバルハイスクール」事業に続いて、「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(グローカル型)」の3年間の指定を受け、Society 5.0を地域から支える人材の育成に向けて様々な事業を行った経験を生かした教育活動を継続している。
そのような中で、本校は昨年度同様、主に①「国際理解」と②「自国文化理解」に焦点を当てるとともに、③「地域課題の解決」、④「郷土」、⑤「共生社会」等を中心とする学習活動に取り組んでいる。
今年度は新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、国内外を問わず外に出ていく活動のいくつかは形を変えて行うこととなった。

①「国際理解」に係わる教育活動の例
・イングリッシュデー(2回生、7月)…英語を中心とした言語活動やアクティビティーを通じて自己表現力や異文化理解を高める目的で、「イングリッシュキャンプ」の名称で1泊2日で行ってきたものである。今年度は昨年同様、宿泊せずに校舎内外を用いて、12名のALTの協力を得ながら、「夢の旅行(日本)」のプレゼンテーションや英語を使ったゲーム等を行い、楽しく学習した。
・語学研修(3回生、12月)…福島県ブリティッシュヒルズにて2泊3日の英語を実践的に活用する語学環境の中、高いレベルの英語でのコミュニケーション能力を育んだ。
・ニュージーランド・オンラインプログラム(4回生希望者、8~11月)…クーラ高校との交流に12名の生徒が参加してオンラインを活用した交流をとおして理解を促進した。
・オーストラリア高校オンライン交流(4回生英語、9~2月)…英語コミュニケーションの授業の一環として、オーストラリアのボーモリス高校の日本語選択生徒とZOOMによる交流を行った。本校から「日本の文化」というテーマで複数の短いプレゼンテーションを行った後、お互いの国の文化の相違について自由に話し合った。とりわけ日本の食やマンガ、アニメーション文化への興味・関心が高く、双方の生徒たちによる活発な意見交換が行われた。
・文化祭での異文化交流…室蘭工業大学の留学生に協力をお願いし、オンラインでインタビューをした動画を編集してクイズを作成し、来場者がクイズに答えながらバングラデシュ、ネパール、ハンガリーについて学ぶ取り組みを行なった。
・インド及びフィリピン留学生との交流(全校、7月~3月)…文部科学省による「アジア高校生架け橋プロジェクト」で来日したインドからの男子生徒とフィリピンからの女子生徒が7月より本校に滞在し、本校生徒宅にホームステイしながら、授業や行事等を通して全校生徒と交流した。

②「平和及び防災(国際交流含)」に係わる学習活動の例
・見学旅行(5回生、12月)…旅行地を海外から関西方面に切り替えて実施した。広島での原爆に係わる講話や、平和記念資料館と平和記念公園の視察ととおして世界平和の大切さについて学んだ。
・JICA災害対策学習(全生徒、10月)…JICA北海道内青年海外協力協会が本道で研修中の外国人を講師として招き、世界の災害対策事情を学んだ。自分たちの住む地域の状況と比較し、共通点や相違点を見つけながら地域に適した災害対策についての考えをまとめ発表した。
③「地域課題の解決」に係わる学習活動の例
・課題探究(4・5回生、通年)…地域課題探究(4回生)、キャリア課題探究(5回生)では、校長を含む全教員によるサポートのもと、個々の生徒が自ら設定した課題について調査や分析、プロジェクト等を行い、その成果を発表した。今年度も課題探究を通して多くの生徒が、登別市やその他の団体と連携してのイベントやワークショップ等を実施したほか、商品開発を行ったり、様々なコンテストに出場するなど活躍した。

④「郷土」に係わる学習活動の例
・地域ウォッチング(1回生、10月)…登別温泉を訪れて、ボランティアガイド会の案内による地獄谷周辺の散策、各事業所でのインタビューや施設見学、入浴体験等を通して、自分たちが住む町の特徴や魅力を調べ、学んだことをまとめ、発表した。

⑤「共生社会」に係わる活動の例
・異年齢交流活動(全校、10月)…中高一貫校の特徴を生かし、全校行事である体育祭における活動や運営などにおいて、異年齢で協力し交流することの意義を学んだ。
・「世界寺子屋運動」への参加(1月~2月予定)…室蘭ユネスコ協会との連携により、ユネスコ有志実行委員会が全校生徒に呼びかけて書き損じハガキを回収する計画である。
・「東日本大震災子ども支援基金」への協力(全校、7月)…文化祭の際に学校オリジナルTシャツ作成して全校生徒と保護者に販売した。収益金は室蘭ユネスコ協会を通して「東日本大震災子ども支援基金」に寄贈する計画である。
・小学生との語学体験活動(4回生、10月)…10月に4回生の生徒が近隣にある幌別西小学校を訪れて、1年生から6年生までの各クラスで英語の授業を行った。小学生が英語を楽しく学ぶことに工夫を凝らしながら計画を立て、地域の先輩としての活動を経験した。

⑥その他
・ユネスコ展示(7月)…文化祭で教室2つを使った展示スペースで世界の諸問題に関する展示物を作成・展示した。また、バザー開催による寄付金を集めや、「リデュ-ス」部門として不要になった服をエコバッグに作り替える活動も行った。
・SDGsについての課題探究学習(3回生、12~3月)…SDGsの17の目標の意義について学び、個々の生徒が選んだ課題と解決方法について調査・分析を行い、発表する。
・社会科・理科施設見学(2回生、3月)…例年は、地元に大規模な製鉄関連工業施設が広がる利点を生かし、2回生が施設見学に行くことになっているが、昨年度に引き続き、コロナ感染拡大のため変更し、午前中は校内研修、その後新しくなった室蘭市「えみらん環境科学館」を訪問し、実験やプラネタリウムを体験して科学について学ぶ計画である。

来年度の活動計画

来年度の活動計画
学校として行う活動については、コロナ感染拡大状況を見極めながら、従来行ってきた活動の内容や形態を工夫することにより、単純な活動縮小とならないように進めていく。特に、本校の開校からの重点である国際理解に関わる活動については、今年度の様々な実践をもとに、生身の海外体験に少しでも近い満足感を得られるような、新しいアイデアによる活動を継続して行う予定である。また、これまで生徒主導で行われてきた活動については、生徒たちの創意工夫をさらに促して、このような状況だからこそ可能で、求められる活動を行えるように支援していきたいと考えている。