2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 減災・防災

本校は,「他者と共によりよい未来を創造し,自分らしく幸せに生きる」生徒の育成を目指している。防災学習とESDを関連づけており,地域人材とのつながりを重視する体験活動及び探究活動を通して,「自ら学びよく考え,課題解決に主体的,創造的に取り組む態度を育成する」ことをねらいとした。具体的には,災害発生時に必要な判断力や,発生後に対応できる知識や技能を身に付ける「(1) 体験的学習」,階上地区住民に聞き取り調査を実施し,聞き取った結果からの気付きや学び,教訓を「正の財産」として次世代へ伝える「(2) 探究的学習」,そして気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館での館内ガイドや意見交流を通じて震災の風化・意識の低下を防ぐ「(3) 伝承活動」の3つを柱として,総合的な学習の時間(39時間)を中心に各教科・領域で横断的な学習を行った。

(1) 体験的学習

①学年毎防災学習

1年生は,気仙沼市危機管理課の方から「地震・津波のメカニズム」の講話を受けた。2年生は,消防署員の方から救急救命講習を受講した。また,養護教諭から止血法や包帯法などを学んだ。3年生は,階上小学校の1~4年生へ,防災紙芝居や塗り絵,カルタなどを活用して防災啓発活動を行った。また,その学習を視察に来たアクサ・ユネスコ減災教育プログラムの参加者の先生方と意見交流を行った。

②総合防災訓練

11月3日(日)の気仙沼市防災訓練に合わせ,午前中は地区住民の一員として地区毎に避難訓練を行った。訓練では,避難所の受付や,安否確認の手伝いなど,地区の一員として中学生ができる活動を行った。
午後には本校体育館で避難所初期設営訓練を行った。生徒が学校にいることを想定し,大人に引き渡すまでの初期設営を行うことを目的としており,各委員会で役割を分担して行った。また,階上小学校の児童全員,気仙沼向洋高校の生徒十数名も避難者役や設営の手伝いとして参加した。さらに,今年度は設営途中で大人に引継ぎ,大人の指示で避難所運営の手伝いを行ったため,より実践的な訓練をすることができた。

(2) 探究的学習

昨年度までの防災学習の結果から,東日本大震災の風化を防ぎ,震災の教訓を次の世代に伝承していくことが重要と考え,部活動毎に全校生徒が19グループに分かれて地区住民20名に震災当時の様子について聞き取り調査を行った。聞き取った内容から得た気付きや教訓をもとに,グループごとに紙芝居や劇,ポスターなど,それぞれが発表方法を工夫してまとめた。12月の参観日に,保護者や地区住民,防災教育推進委員,近隣の高校生や教員の前で防災学習発表会を行った。2部構成で,第1部では,セッション形式で3回ずつ発表を行った。第2部では,地域の方々との意見交換を行った。進行等はすべて生徒が務めた。また,階上中学校区志教育実践発表会でも全校生徒が同様に発表した。
ガイダンスやまとめの際には東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授から指導助言をいただいた。

(3) 伝承活動

2学年全員が国語の「説得力のある提案をしよう プレゼンテーション」という題材のまとめ発表として,岩沼西中学校の2年生175名に対して気仙沼市震災遺構・伝承館の管内ガイドを行った。9月から有志で語り部活動をしていた生徒たちが,各グループのリーダーとなり学習を進めた。当日は10グループに分かれて交流した。

来年度の活動計画

令和2年度も,防災学習を柱に,地域人材とのつながりを重視する体験活動及び探究活動を充実させ,令和元年度の実践を継続し,さらに内容を深めていきたい。総合的な学習の時間,各教科・領域を含め全ての教育活動において,ESDの視点に立った横断的学習(探究学習)をより意識して実践していきたい。そのためにも,向かうべき課題を見極め,全校で系統的な学習に取り組めるように,カリキュラムの見直しを図り,地域人材や専門機関等との中・長期的な連携を踏まえた指導計画を作成していきたい。