2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

世界遺産・地域の文化財等

当校の学校教育目標は「知性の高い生徒になる」である。知性の高い生徒とは,「現在の置かれている状況や直面している課題を的確に把握し,それを乗り越えたり解決したりするために,今何をすべきかを,既有の知識・経験・方法を総動員して探索し,よりよい自己・よりよい社会の実現に向けて真剣に努力する生徒」である。この姿こそ,これからの変化の激しい時代を助け合いながら生き抜くための持続可能な力と捉えている。

当校では,教育ファシリテーション(以下:FT)の考え方と技術を用いて,ESDで重視する能力や態度を育んでいる。具体的には,「批判的に考える力」「他者と協力する力」「コミュニケーションを行う力」「つながりを尊重する力」の育成を目指している。今年度は,教育ファシリテーションを柱に,①FTによる深い学びの授業実践,②総合学習「地域の課題を把握し,課題を解決しようとする活動」に重点を置いて取り組んだ。

①FTによる深い学びの授業実践

ESDの能力・態度である「批判的に考える力」,「他者と協力する力」に重点を置き,FTの考え方を用いて,全教科・特別活動を中心に取り組んだ。具体的には,単元や題材のまとまりの中で,FTによる問題解決型の授業を位置づけ,各教科の特性に応じた見方・考え方を働かせて,生きて働く知識・技能や思考力・判断力・表現力の育成を目指した。生徒は,様々な授業で自分の考えをもち,他の考えを受け入れながら批判的に考察し,他と協働しながら問題を解決する姿が見られた。また,FTを意図的・計画的に機能させていくための教科FTプログラムと特別活動FTプログラムを開発した。合わせて,生徒と教師のFTテキスト「ファシなび!」を活用し,ESDに必要な態度を効果的に育成できるようにした。

②総合学習「地域の課題を把握し,課題を解決しようとする活動」

各教科で育成した資質・能力が総合学習で発揮されるように取り組むとともに,ESDの能力・態度である「コミュニケーションを行う力」「つながりを尊重する力」を重視して取り組んだ。具体的には,5月の総合学習の時間に,生徒が地域の課題を把握するための活動として「新潟愛Land Walking」を行った。シティガイドの方と一緒に地域を歩き,地域の魅力を再発見する。2年次には,新潟市全体に視野を広げて様々な施設や企業を訪問した。これをもとに,学習したことをレポートやポスターにまとめた。この学習をもとに,修学旅行(関西)では,新潟と比較しながら地域の解決策を探り,3年次には,地域を活性化するための「上古町商店PR動画」を作成・提案した。

その他に,生徒会活動の『W&W活動(地域を歩き(walking),地域の現状や課題を知り,地域に貢献する(working)』地域貢献活動では,生徒がお化け屋敷等を企画した。活動後の振り返りから「コミュニケーションを行う力」「つながりを尊重する力」の大切を実感している姿が見られた。

来年度の活動計画

①ファシリテーションについて

 新学習指導要領の全面実施に向けて,改めて学校教育目標を見つめ直し,「社会に開かれた教育課程」に向けて取り組んでいく。教育課程編成を通して,ファシリテーションのこれまでの実践を改めて振り返り,ESDに必要な能力を明確にして,資質・能力を育成していく。また,「主体的・対話的で深い学び」による授業改善と合わせて,ESDに関わる教材を開発し,教科横断的に資質・能力を育成していきたい。

②総合学習について

 学校教育目標の実現に向けて,これまでの総合学習を見つめ直す。当校の三大行事の一つに「演劇」がある。演劇活動では,地域素材である「明和義人」をもとに演劇を創り上げている。この活動を総合学習に取り入れ,ESDに必要な能力・態度を育成していきたい。