2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困

本校は、「Global Welfare(地域・国際社会の中でよりよく生きる)」を学校理念として、地域に貢献し持続可能な社会の発展に貢献できる人材の育成を目標としている。その実現のため教育課程においては、主に「福祉教育」「国際理解教育」「環境教育」の面から様々な学びや体験の機会を設けたり、総合的な探究の時間を軸に探究活動の充実を図ったり、各教科・科目においても、学習内容がSDGsとどのように関連しているかを生徒に明示する「SDGsカレンダー(旧称ESDカレンダー)」を作成したりしている。またこうした学びを地域に関連付け連携して、身近な地域課題の発見と解決を探ることを通して、考え方や視野の拡大や行動の変容を志向するESDを推進している。以下、より具体的に報告する。
本校は本年度入学生から単位制普通科となり、新たに学校設定教科「地域」を立ち上げた。科目として、保育・介護・障がい者支援等に関わりボランティア精神を培うことができる「地域社会福祉(Ⅰ・Ⅱ)」や生物多様性を守る活動や学びを通して持続可能な開発を考える「地域環境保全」がある。「地域社会福祉」ではボランティア活動を必須とし、『揖斐川流域クリーン大作戦』や『池田っ子まつり』『いびがわマラソン』を始め、地域の各種清掃活動やイベント運営協力、また『徳山ダム上流に実のなる木を植えよう大作戦』といった植樹活動などにも参加し、実地を通じてボランティア活動への理解を深め、望ましい姿勢や態度形成を図った。なおボランティアについては全校生徒に「SDGsパスポート」配付し、その活用を勧めている。また「地域環境保全」では、絶滅危惧IA類に選定されている地元の淡水魚ハリヨの研究と保護を軸に授業を展開し、岐阜協立大学の森誠一教授による特別授業や地元住民による「ハリヨを守る会」とともに生息数調査や繫殖地の清掃活動なども行った。国際関係としては、次年度国際系列を選択する1・2年次生を対象として、朝日大学の留学生別科に所属する各国・地域からの学生との異文化交流事業である「エンパワーメントプログラム」を実施した。また大垣ユネスコ協会主催『グローバルイシューワークショップ』に参加した生徒もいる。これらは英語学習と同時に文化の多様性や国際課題を直に認識する良い機会となった。また既設の選択科目「社会福祉基礎」では、コロナ感染対策としてオンラインではあったが、近隣の揖斐特別支援学校の高等部とオンラインで相互紹介や作業学習交流を実施した。
「総合的な探究の時間」ではグループ別にSDGsや地域課題に関連したテーマを設定し、探究的な学びを通して単なる調べ学習に終始せず、「自分が地域や社会のために何ができるのか」「実践するためにはどのような知識や能力を身に付けなければならないのか」を身に付けることを意図している。活動を進めるにあたり、スーパーバイザーとして朝日大学の教授陣や学生に助言をもらったり、地域自治体や地元企業に話を伺ったり意見を交流したりしており、これが契機となって、町の魅力探究とSNS発信について自治体から連携の働きかけをいただいている。また探究活動の成果は校内発表のほか、『SDGs Questみらい甲子園東海エリア大会』(岐阜県教育委員会等後援)に3グループが、「マイノリティに向き合い、だれもが過ごしやすい社会へ」(多目的トイレ、制服のバリエーション)「地域・学び・医療=繋がる人々の「輪」」(地域の医療従事者不足)「養老鉄道応援団を広めよう!私たちの鉄道を存続させるために」(地域の交通インフラ問題、持続可能な開発および持続可能なライフスタイル)でエントリーしている。
探究学習関連では『池田町キャリア教育プログラム』を活用し、朝日大学の大友克之学長に『未来への扉-持続可能な地域社会に貢献できる人材とは?』の演題で探究学習の意義をご講演いただくとともに、同大学のウクライナ人学生3名によるウクライナの現状についてのプレゼンテーションと質疑応答を行った。これは地球市民としての在り方や平和について直接的に考えるまたとない機会となった。また同プログラムによる『学校を飛び出して地元で活躍するオトナを取材しよう!』という取材活動では、本校1年生6名が3グループに分かれて事前講座受講から実際の取材、記事のまとめ、発表を行った。
最後に体制に関して、今年度から「ボランティア部」と「ユネスコ委員」を設立した。前者は学校設定科目「地域社会福祉」とも一部リンクしており、先述したものを含め多くのボランティア活動に参加した。また地域の補導員と共同で通学路安全点検を行うなど新たな試みも始めた。また「ユネスコ委員」は1年生対象の「家庭クラブ委員」を2・3年生にも拡大したもので、こちらも生徒会の委員会としての立場で各種ボランティアなどの活動を始めている。

来年度の活動計画

今年度新たに設置したり整備したものが多く、またコロナ禍のため活動に制限があったりしたため、これらを有機的に連動させながら充実させたり、見直しや再構築をしたりすることが次年度計画で求められることになる。例えばボランティア活動においては、より多くの生徒が能動的に参加し主体性に動けるように、全体の体制づくりや授業や部活動の内容の精選を行う。またコロナリスクにより、福祉や国際といった直接交流の難しかった分野での実現可能性の追求も必要である。さらには、小・中・高・大学や地域社会とのつながりをより意識し、積極的な情報発信と交流に活かしたい。